介護保険を利用するには、どの程度介護が必要かについての身体的な状態をチェックする要介護度の認定を受ける必要があります。
要介護認定で、要支援1・2、要介護1~5の結果が出ていないと使えない、ということはご存じの方が多いかと思います。
ただ、この要支援と要介護、単に介護度の重い軽いの違いだけではありません。
実際に介護保険を利用されている方にも、根本的な制度が違う別物であるということはあまり知られていません。
そして、要支援者(要支援1・2)の場合は、サービス料の計算方法も要介護者(要介護1~5)とは違う場合があります。
その中でも、同じようなサービスに見えて料金が違うものもあります。
今回は介護サービスの料金をメインに要介護者と要支援者の違いをご紹介させていただきます。

目次
要介護者(要介護1~5)のサービスの場合
要介護1~5の方は、例えば訪問介護のヘルパー、デイサービス、訪問看護等は、1回の訪問ごとの料金が決まっており、利用した回数分だけ請求が来ます。
ですから、キャンセル等でサービスを利用しなければ料金は発生しません。
逆に、追加で利用をすればその分の利用料を支払います。
レンタル品だけは1か月ないし半月の請求になるのですが、それ以外は単純明快な料金設定です。
要支援者(要支援1・2)のサービス 月額固定のサービス
要介護者が利用した回数分の利用料に対して、要支援者のサービスでは、月額固定の利用料になっています。
「1回いくら」の計算ではなく、「1か月いくら」の月額固定です。
さらに複雑なことに月額に加えて利用できる回数にも制限があります。
月額固定のサービスは、
・「通所介護(デイサービス)」
・「通所リハビリテーション(デイケア)」
があります。
このうちの「訪問介護」、「通所介護」はさらに細分化されていますので、それは次に詳しくご説明します。
月額のサービスは、週に1回、2回などと回数も決まっており、それに応じた額を支払います。
注意しておきたいところは、週に1回のサービスをキャンセルしても1か月の料金は変わらないという点です。
そして、多くの場合、ケアプランで週に〇回と決められています。
例えば、週に1回とケアプランに記載されその料金設定になっていればそれ以上の利用はできないことになります。
「この週だけ2回利用したい」という融通もききません。
訪問介護の場合は、要介護者であれば身体介護と生活援助が分かれており、料金は前者の方が高いのですが、要支援者の場合はそれもありません。
サービス内容が何であろうが、1か月の料金は同じです。
デイサービス、デイケアの場合も、要介護であればデイの規模や利用時間に応じて細かく料金が変わるのですが、要支援者の場合にはこちらも一律の料金になっています。

「訪問介護」「通所介護」はさらに種類が分かれている
要支援者の訪問介護、通所介護は正式なサービス名も要介護者の場合と異なります。
要支援者が利用する訪問介護、通所介護は「介護予防・日常生活支援事業」と呼ばれています。
これは、前述した1か月月額固定であり、かつ、
・「基準緩和サービス」
の2種類に分かれています。
この2つの料金はかなり開きがあります。
基準緩和の方がだいたい2~3割料金が低くなります。
現行相当サービス
現行相当を利用する方は、難病であったりガン末期であったり認知症であったり、とにかく何か専門的な知識を持つ職員のフォローが必要であると、市町村や地域包括支援センターが判断した場合に選択します。
基準緩和サービス
基準緩和は、そこまで専門的に介助をしなくても大丈夫、と判断した場合に利用します。
要支援者の介護サービスの現状
そもそもが、要支援者の介護保険の財源を抑えるために考えられたサービスですので、料金が安くなる分、介護保険の負担を少なくできる狙いがあります。
そうなると、いいこと尽くしのように思いますが、料金が抑えられるということは事業所に入るお金が少なくなります。
ですのでこのサービスを敬遠する事業所も多く、事業所探しには時間がかかる傾向にあります。
とはいえ、現行相当のサービスを利用しようと思っても、市町村等の会議をへて、その上で「現行相当がふさわしい」という結果が出なければ利用できません。
どちらにしても、今現在では、要支援者の訪問介護、通所介護のサービス探しには時間がかかるようになりました。
まとめ

簡単に要支援者のサービスについてお話させていただきました。
要支援者の為の日常生活支援事業は、国が一律の単位や基準を決めている要介護者のサービスとは違い、市町村が全権を担っています。
ですので、サービスの充実具合や見つかりやすさなどは各市町村によってかなり差があります。
要介護者の介護サービスのように簡単ではないので、混乱されることも多いのですが、ご自身に合った介護サービスを選ぶことで、少ない介護費用で介護サービスを受けることができ暮らしに充実感と安心感を持つことができます。
わからないことは納得するまでケアマネージャーに聞いてみてくださいね。
相談しているうちに自分にはこんな介護サービスがあったらうれしい! と気づけることもあります。(執筆者:佐々木 政子)