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どうしてる? 高齢者の「お金の管理」

高齢になると、判断能力が衰えたり認知症になってしまったり、体が思うように動かず銀行に行くことが難しくなったりと、様々な理由から自分のお金の管理が難しくなることがあります。
多くの高齢者は、家族、特に子供にお金の管理を任せることが多いようですが、それにより親族間でトラブルになることも少なくありません。
特に、お金に余裕のある高齢者の方がもめやすい印象です。
ご本人も家族も嫌な思いをせずにお金の管理ができるよう、いくつかの方法をお話したいと思います。
1. 使えるお金を計算し出納帳をつける
基本中の基本ですので、出納帳をつけられている方は多いかと思います。
ただ、この方法をきちんと行うことでトラブルが回避できている方も多いです。
ポイントは、一人きちんとしたキーパーソンがいること。
お金の管理に責任を持つ人を作らないといけません。
使えるお金の計算に関しては、
・預貯金
・月々の固定費や介護費用、生活費などの変動費
を把握し、行います。
高齢者ですので、急な体調不良で入院することもあれば、介護費用がかさむこともあるでしょう。
少し余裕を持って計算することをお勧めします。
その上で、使えるお金をはじき出し、ご本人がお金を使用できるなら渡したお金や銀行からおろしたお金を、そうではないなら、キーパーソンが使用したお金をきっちりと記録に残しましょう。
お金の引き出しの際には、よほどでなければご本人も同行してください。
そして、おろしたお金やご本人に渡したお金に関しては、できるだけご本人の自筆で出納帳に記入してもらいましょう。
2. 親族が後見人になる
判断能力が十分でない高齢者の財産の管理や契約の締結を行うために、後見人制度というものがあります。
この制度は、かなり複雑ですので細かい説明は省きますが、親族がなる場合と弁護士等の専門職がなる場合があります。
あまりにも財産が多かったり、親族間での財産トラブルが懸念される場合には、専門職の後見人がいいと思いますが、そうでないようであれば親族が後見人になることでお金を管理できます。
以前は、専門職が後見人になることが多かったのですが、ここ数年、親族が後見人になっているケースが増えてきたように思います。
ご本人が、知らない人に財産を委ねるよりも安心できるという理由もありますが、どちらかといえば、今までは何となく家族の誰かが財産管理を行う風潮があったけれども、家族同士のトラブルが後を絶たなかったという理由の方が大きいように感じます。
家庭裁判所に申し立てを行ったり、報告をしたり、後見人の負担が全くない訳ではありません。
もし、子供がキーパーソンであれば、後見人にならなくてもお金の管理をすることは不自然ではないので、なぜわざわざ後見人になるのかと思われるかもしれません。
しかしながら、きちんと管理しているお金でも他の親族にあらぬ疑いをかけられる心労を考えると、少し面倒な部分があっても後見人として管理を行うメリットは大きいといえます。
3. 専門職の後見人をつける
弁護士や司法書士などの専門職の後見人を利用する方法もあります。
専門職ですので、費用が高くなるというデメリットはありますが、親族間でお金の管理・使用方法についてもめていたり、ご本人の財産の額が大きいようであればこちらをお勧めします。
専門的な資格と知識がありますので、不動産や金融資産があり、そちらの方もきちんと守ってほしいという希望がある場合には、はじめから専門職の後見人を選んでおくと、いざという時に他に弁護士に相談する手間が省けるというメリットもあります。
財産管理はしっかりと話し合いを

ご本人がいつまでも判断能力がしっかりしている場合はいいのですが、そうでない場合、必ず誰かがお金の管理をしなくてはいけません。
その使い道によって、仲の良かった兄弟や親族がもめることも多々あります。
そういった事態に陥らないよう、元気なうちから先々の財産管理をどうしていくのか、ご本人とご家族の間でしっかりと話し合いの場を設けておくことをお勧めします。(執筆者:佐々木 政子)