目次
そもそもヤングケアラーとはなにか
ヤングケアラーとは簡単に言うと、「親などの介護をする18歳未満の子供達」です。
ちょっと想像できないと思う人もいるかもしれません。
例えば、シングルマザーで親子二人暮らしをしていたとします。
親が交通事故で障がいになったり、加齢現象が関係する疾患(例えば介護保険制度の特定疾患等)によって介護が必要になった場合、その子供が親の介護をしないといけない状況に追い込まれることがあります。
「勉強や学校はいいから、親の仕事を手伝わなければならない」という戦後の日本をイメージします。
具体的にヤングケアラーが担う介護内容をみてみます。
・ 薬を飲ませたりする
・ 衣類の着替えの手伝い
・ 他の兄弟の世話
・ 本人への精神的なサポート
・ アルバイトなどの労働
みなさん、どのように感じたでしょうか?
勿論、小学生の低学年ではできないような内容ですが、中学生にもなれば少し無理すれば可能なことだと思います。
しかし、その年頃の子供が優先するべきことは勉学です。
なので、通常は十分な勉学ができていない子供たちが多いです。
ヤングケアラーが引き起こす5つの問題
1. 勉学に集中できない
先にも少し触れましたが、ヤングケアラーが勉学に対して十分取り組めない、集中してできないという問題があります。
そして、結果的に勉強の遅れへのつながるのです。
2. 社会から孤立しやすい
子供の世界だって社会性というものがあります。
子供同士のコミュニケーションや部活や学校生活などです。
生活の中心が介護となることで、子供社会から孤立しやすくなるという問題もあります。
3. 適切な介護・看護が受けられい
介護を受ける本人が適切な介護や看護が受けられない問題があります。
これは、介護者が子供で未熟であるが故に、介護や看護に関する制度を理解しておらず、本人の身体状況に合わせたケアができないのです。
4. 介護している本人の将来に経済的悪影響がある
勉学に集中できず、遅れが出ると高校進学できなくなる可能性があります。
そうなると、職業を選ぶ選択肢も狭くなり十分な収入を得られなくなることも考えられます。
まだまだ中学卒業だと将来への不安は付いてまわる時代ではないでしょうか?
5. 社会保障制度を十分に活用できず貧困に陥りやすい
日本には優秀な社会保障制度があります。それは「生活保護制度」です。
ヤングケアアラーはこの制度自体について認知していない場合もあるかもしれませんし、申請方法等を含めた正しい知識がない可能もあります。
そうなると、本来国が保障してくれる「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する(日本国憲法25条)」ことができないことも考えられます。
いわゆる貧困状態に陥るということです。
ヤングケアラーに対する取組み
国の政策
ヤングケアラーは今後増えると私は考えています。
先ほどヤングケアラーが引き起こす問題として触れたように、本人にとってのデメリットが大きいばかりか社会問題にもなるでしょう。
少子高齢社会で一人の子供が親の世話や介護をする負担が増えることは間違いありません。
18歳未満という年齢で不利益な生活になることがないように、今の段階で国は政策を考える必要があるでしょう。
地域での取組み
今のこの時代なので、地域や近所の人が他人の家庭に入ることは難しいでしょう。
しかしながら、地域のなかで孤立させるような事だけは避けなければなりません。
学校を通しての情報提供や、民生委員の役割も重要だといえるでしょう。
学校での取組み
地域と同様で、ヤングケアラーが所属する学校がどこまで介入できるのか課題はあるでしょう。
ただ、ヤングケアラーである子供(児童・生徒)に対しては、正しく理解して、学校や家庭での様子についてはしっかり向き合って観察していく必要があります。
そして、子供(児童・生徒)が困ったとき手を差し伸べられる状態にしたり、別の関係機関につなぐ役割はあると思います。(執筆者:陽田 裕也)