「確定申告で税金が戻ってくる!」なんてキャッチーなタイトルもありますが、確定申告をしたら逆に税金が増えるケースもあります。
申告義務がある人は確定申告をする必要はありますが、申告義務がない人は
のも選択肢です。
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確定申告義務があるのは税金を納める申告の人

所得税の確定申告で申告義務があるのは、納税申告をする人です。
特例を適用する場合や事業者は例外ですが、年末調整をした会社員や公務員は、職場で精算しているので、給与以外の収入がなければ確定申告をする必要はありません。
また税金の還付申告は、義務ではなく権利です。
そのため納税申告の無申告は税務署から指摘されますが、還付申告は手続きをしなくても指摘されることはありません。
医療費控除は必ずしもプラスとは限らない
医療費控除を適用することで税金が還付されることは知られていますが、医療費控除だけで多くの税金が還付されるケースはあまりありません。
医療費控除は、原則10万円を超えて支払った医療費が対象です。
保険金などで補填された場合には、保険金を差し引いた後の金額が医療費控除の対象です。
また医療費控除額が、そのまま還付されるわけではなく、医療費控除額に所得税の税率を乗じたのが還付される金額です。
医療費控除の計算例
支払った医療費… 15万円
補填した保険金… 4万円
所得税の税率… 10%
(11万円-10万円)× 10% = 1,000円(還付される所得税)+ 復興特別所得税
所得税の税率は所得金額に応じて税率が上がるため、同じ医療費控除額でも、所得が多い人ほど還付される金額は多いです。
還付申告を受けるために確定申告を作成する手間暇や、税務署の相談会場に行く交通費を考えると、医療費控除の申告をした方が損をすることもあります。
配当所得など「源泉分離の所得」の確定申告を行う
上場会社の配当金を受け取っている人は、事前に税金が天引きされているため、配当所得の申告は原則不要です。
一方で、配当金以外の収入がない人は、確定申告をすることで、事前に納めた配当所得の源泉徴収税額の還付を受けることも可能です。
注意点
確定申告をすることにより、配偶者控除や扶養控除の対象から除外されることがあります。
配偶者控除は所得金額が38万円以下であることが条件であり、確定申告で所得金額が38万円を超えた場合には、配偶者控除や扶養控除の対象外となります。
そのため自分は税金が還付になっても、
ので注意してください。

税務署は「管轄する税金」の説明しか行わない
所得税は還付になる場合でも、申告したことにより住民税の負担が増えるケースはあります。
所得税は税務署が管轄する税金ですが、住民税などは市区町村が管轄する税金なので、税務署に住民税についての質問をしても、税務署職員は回答しません。
そのため所得税の還付を受ける際は、住民税についても確認する必要があります。(執筆者:平井 拓)