と考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
お金を特定の人に残す手段として、生命保険を活用される人も多いです。
しかし生命保険の受取人が孫だと、相続税の負担が大きくなる可能性があるため注意しなければなりません。
そこで今回は、生命保険の受取人を孫にした場合に相続税負担が増える理由や対策について解説します。

目次
生命保険の受取人を孫にすると相続税負担が増える理由
生命保険の受取人を孫にすると、ここでご紹介する3つの理由で相続税の負担が増えてしまいます。
(1) 相続税の非課税枠が適用されない
生命保険の死亡保険金は、受取人固有の財産とされており、遺産分割の対象になりませんが、みなし相続財産として相続の課税対象となります。
生命保険の死亡保険金を法定相続人が受け取った場合、相続税の非課税枠が適用されて相続税の負担を軽減できます。
しかし孫は、法定相続人に該当しないため、相続死亡保険金を受け取っても非課税枠が適用されません。
死亡保険金に非課税枠が適用される場合、「500万円 × 法定相続人の数」で計算された金額が相続税の課税対象から除外されます。
例えば、法定相続人が妻と子供2人の合計3人で、死亡保険金が1,500万円だった場合、相続税課税対象となる金額は0円です。
しかし、死亡保険金の受取人を孫にすると、1,500万円まるまるが相続税の課税対象となってしまいます。
(2) 2割加算が適用される
財産を相続した人が、被相続人の配偶者または一親等以内の血族のどちらでもない場合、相続税が2割加算されるルールが存在します。
そのため、孫が受け取った死亡保険金に課税される相続税も2割加算されて、相続税の負担が増えてしまいます。
(3) 相続開始の3年以内に贈与された財産は相続税の課税対象になる
相続税の課税対象となるのは、相続によって得た財産だけではありません。
相続開始前の3年以内に、被相続人から贈与された財産も、相続税の課税対象となります。
もし相続が開始される3年以内に、死亡保険金を受け取った孫が、被相続人から他の財産も贈与されていた場合は、贈与された財産の金額と死亡保険金額の合計に対して相続税が課税される仕組みです。
既に支払った贈与税分については、相続税の課税対象から控除されます。
しかし、財産が贈与税の基礎控除(=110万円)であっても課税の対象となります。
孫が法定相続人になる条件
相続税の負担を減らすためには、孫の相続税負担を減らすために孫が「法定相続人」でなければなりません。
孫を「法定相続人」にすることで、生命保険の非課税額が適用され、2割加算は適用されなくなるからです。
仮に被相続人の子供が死亡している場合は、孫が代わりに「法定相続人」となります(代襲相続)。
ただし、子供が生前に相続放棄をしていた場合は孫は代襲相続になれません。
また、孫と養子縁組をすることで、孫を「法定相続人」にもできます。
一方で、孫を「法定相続人」にしても相続開始前3年以内の生前贈与は相続税の課税対象となります。

もっとも負担のない方法を選ぼう
生命保険の受取人を孫にすると、生命保険の非課税枠が適用されず、2割加算が適用されるなどの理由で、相続税の負担が増えてしまいます。
せっかく孫のために財産を残してあげたいと考えても、税金の負担が発生してしまっては悲しいです。
財産を孫に渡す手段は、相続以外にも暦年贈与や教育資金の一括贈与など、さまざまな方法が考えられます。
ご自身やお孫さんにとってもっとも負担のない方法を選んでみてください。(執筆者:品木 彰)