金融庁の発表によると、住宅ローンの延滞件数は全国で39万件です。
近年では4.5万件のペースで増加しています(新型コロナウイルスによる延滞は考慮せず)。
延滞が増加している要因としては、都市部を中心に物件価格が上昇し、オーバーローン状態になっている家庭が増加しているためと考えられます。
物件を売却したとしても、物件価格の2極化が進んでいるため、最終的には住宅ローンだけが残ってしまう事態も考えられます。
今回は、金融機関に相談に行くと必ず提案されるであろう、保証人を追加する方法の是非を考えます。
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目次
保証人を追加できれば、返済は楽になるが
まず保証人を追加する意味ですが、例えばご主人だけが債務者であった場合に、奥さまも金融機関と保証委託契約を結び連帯保証人となることを言います。
ただし、連帯保証人となるには、奥さまにも継続的な収入があることなどが条件となります。
しかし家庭内においては、奥さまの収入もご主人の住宅ローン返済の足しにしていることが多く、このような局面においてはあまり有効とは言えません。
そこで、金融機関などから提案されるのが、ご夫婦のご両親や兄弟姉妹などが金融機関と保証委託契約を結び、連帯保証人となる方法です。
ご両親には年金収入、兄弟姉妹には給与収入などがあるのが一般的ですから、ご主人と連帯保証人になれば、返済余力が増すのは確実です。
親族がどこまで援助してくれるのか
このような局面において、1番力になってくれるのはご両親であることが多いようです。
特に、住宅取得資金贈与などで資金援助してくれたご両親であれば、子供夫婦が住宅ローン返済で苦しんでいる姿は苦痛でしかありません。
このような形でご両親が援助してくれている間に、延滞を解消し家計の無駄を省くことができれば、正常復帰も可能となり、ご両親の援助も減らせるかもしれません。
ただし、上記のような形で親族が連帯保証人となって延滞を解消するという方法が、最近はうまくいかないことも多いようです。
原因は、ご両親に余裕がなくなっていることや、親子関係が希薄になり、そのような頼み事がそもそもできないためです。
延滞して初めてわかる、住宅ローンの恐ろしさ
住宅ローン申込時に、将来の延滞を考える人はほとんどいないでしょう。
しかし、毎月の返済額を試算した時に少し多いかなと感じた人は、オーバーローンのサインかもしれません。
上記の方法は、延滞を解消する一助になるかもしれませんが、その後も住宅ローン返済に追われて生活しなければなりません。
住宅ローン返済に振り回されないためにも、申込前の見極めが何より大切です。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)