所得税の住宅ローン控除や贈与税の住宅購入資金の非課税制度などを利用する際には、確定申告手続きが必要です。
確定申告をしないと、最悪の場合には特例を利用できなくなるケースもありますのでご注意ください。

目次
特例制度は確定申告手続きをしてはじめて適用される
特例には併用できない制度もあり、たとえば住宅ローン控除と不動産売却の3,000万円控除の特例は、一緒に利用できません。
そのためどの特例制度を利用するかは、納税者自身が判断しなければならず、税務署側が特例適用を勧めることはありません。
また、特例適用を受ける場合には、確定申告書で特例適用の意思表示をする必要があります。
特例適用の意思表示をしないで申告書を提出すると、

特例適用の手続きは期限内申告が原則
特例制度の多くは、期限内申告も適用要件ですので、期限内に申告書を提出しないと特例を利用できない可能性もあります。
しかし、期限内に申告書を提出できなかった場合でも、提出が遅れたことに「やむを得ない理由」があると判断された場合には、申告期限を過ぎた後でも特例適用が認められます。
ただし、「やむを得ない理由」に該当するか否かは税務署が申告書ごとに確認を行い、「やむを得ない理由」に当たらないと判断すれば特例は適用されません。
そのため申告書は、期限内に提出することを心掛けてください。
贈与税の特例は申告期限を過ぎたら適用不可
贈与税の住宅取得等資金の非課税制度や、相続時精算課税制度を利用する場合には、「やむを得ない理由」を考慮する規定が存在しません。
したがって、
贈与税の申告書の提出期間は、翌年2月1日から3月15日までの1か月半ですが、令和元年分(2019年)の確定申告書の提出期限は、新型コロナウイルスの影響により1か月延長されました。
申告期限自体が延長された場合には、延長後の期限(令和元年分の申告期限は令和2年4月16日)までに申告書を提出すれば特例は適用されます。

確定申告期間前から申告準備をしておく
税務署職員時代、贈与税の住宅取得等資金の非課税制度などは「申告しなくても自動で適用される」と思っている方をたくさん目にしてきました。
税務署は法律に基いて、特例の適否を判断しますので個人的な事情を加味することはありません。
そのため特例を適用する場合には、確定申告期間前から書類をそろえ、期限内に申告をしてください。(執筆者:税務署勤務12年 平井 拓)