所得税の住宅ローン控除は、居住物件を購入するためにローンを組んだ時に適用できる制度です。
夫婦で購入した物件に住宅ローン控除を適用していた場合、離婚しても引き続き制度は利用できます。
そこで本記事では、離婚後も継続して住宅ローン控除を適用する際のポイントと注意点についてご説明します。

目次
住宅ローンの支払いは継続すること
離婚後も住宅ローン控除を適用した物件に住み、継続してローン支払っている場合には、引き続き制度を利用できます。
一方で、対象物件を所有し、住宅ローンも支払っていても、別の物件に住み替えた人は住宅ローン控除を適用できません。
また財産分与で自宅の持分が変更したり、住宅ローンの返済人が変わる場合は、住宅ローン控除の適用できる金額も変化しますのでご注意ください。
財産分与で持分を取得した場合は追加で適用できる
財産分与により、相手が所有していた自宅を取得した場合、追加取得した持分に対しても住宅ローン控除を適用できます。
また追加取得部分に住宅ローンがあれば、住宅ローン控除の金額が増えるケースもあります。
なお追加取得した部分に住宅ローン控除を適用する場合、当初に申請した住宅ローン控除の内容が変わるため、確定申告により再申請の手続きが必要です。
住宅ローンが残っていないとローン控除は適用できない
住宅ローン控除は、適用する年の年末時点のローン残高に基づき控除額を計算します。
そのため適用期間よりも前にローンの返済が完了した場合、住宅ローン控除は適用できなくなります。
また住宅ローン控除は、適用する本人名義でローンを組んでいることが条件です。
実際にローンを返済していても、借入金の名義が他人(離婚した相手など)だと住宅ローン控除は適用できません。
住宅ローン控除に変更内容があれば税務署に確認すること

離婚後も、当初住宅ローン控除を適用した時と同じようにローンを返済していれば、問題なく控除を受けられます。
しかし適用物件から退去したり、自分以外の人がローン返済をすれば、その時点で住宅ローン控除は適用できなくなります。
また住宅ローン控除の適用2年目以降は、会社の年末調整で控除を受けることも可能ですが、財産分与で取得した部分に住宅ローン控除を適用する場合、もう1度確定申告が必要です。
確定申告期間中は、税務署も大変混雑していますので、手続きする前に電話で必要書類を確認し、1度で手続きが終わるように準備を整えてから税務署に行ってください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)