高齢化社会の中で、日常生活に介護が必要な方もそれに伴って増加しています。
加齢や疾病などで介護が必要となった場合、家族などですべての介護を担う方もいますが、介護サービスを利用する事を選択する方もいることでしょう。
しかし、介護サービスを利用するためには費用が多くかかり、それを負担する事が困難な方も少なくありません。
その費用を負担せずに済む方法として、そもそも要介護状態になる事を防止する「介護予防」に力を入れていく事が重要なのです。
今、社会が介護予防に注目しています。
今回は、要介護状態にならないための介護予防のポイントや活用できる社会資源などについてご紹介していきます。

目次
閉じこもりを防止しよう
現代社会は人とのつながりが希薄化しており、昔と比較すると孤立しやすい社会になっています。
昭和の時代は「向こう三軒両隣」などという言葉があったほど、近隣とのつながりは強いものでした。
そのため、近所の人が困っていれば、誰かが気が付き自然と手を差し伸べ助け合って生きていく事ができた社会だったのです。
しかし、核家族化や機械化が進んだことにより、日本では1人でもある程度生きていく事が可能な社会に変化してしまいました。
その結果、定年退職をした後に自分から何かの活動をしたり、友人と積極的に連絡を取るなどの行動を起こさなければ、自然と「閉じこもり」になってしまうのです。
閉じこもり状態になると、人との関わりがなくなり会話をしなくなって「うつ状態」になったり、出掛ける事がなくなる事で筋力低下を引き起こす事もあります。
要介護状態になる危険性を秘めているため、防止に努める事が要介護状態への移行を防止すると言えます。
防止するためには、日頃から趣味を持ったり、積極的に人と活用する事などが推奨されています。
・ 趣味活動など楽しめる事
・ やりがいを感じられる事
などを見つけて取り組む事が、閉じこもりを防止し要介護状態への移行を防止する事にもつながっていきます。

自分の健康状態を把握しておこう
人間の体は加齢に伴い能力が低下し、若い頃と同様の生活をしていたとしても、知らず知らずのうちに異常値を示す数値があったり、病気にかかってしまっている事も少なくありません。
もしも、自分が気付かないうちに健康状態が悪くなってしまい、大きな病気を発症してしまえば身体機能や認知機能が低下し、要介護状態に陥るリスクが高まります。
それらのリスクを減らすためには自分の健康状態を把握しておく事が重要です。
自分の健康状態を把握するために定期的に健康診断を受けても良いですが、定期的に通う事ができなかったり、健康診断に高いお金を払いたくないという方もいるでしょう。
そんな方は「特定健診(40歳以上74歳以下)」や「後期高齢者医療健診(75歳以上)」を受けることをおすすめします。
特定健診や後期高齢者医療健診は無料または安価で自分の健康状態を把握でき、病気の治療や進行防止につなげる事ができます。
自分の健康状態を正しく把握する事で、要介護状態への移行を防げる可能性を高めていくようにしましょう。

地域支援事業を活用しよう
地域支援事業とは、要介護状態を予防するために市町村が実施主体となって行われる事業になります。
地域支援事業は介護サービスを利用するための条件とは少し異なり、介護保険の認定を受けなくても65歳以上であればすべての方が利用できる「一般介護予防事業」と呼ばれるものもあります。
地域の公民館などで開かれる認知症予防を目的とした脳トレ教室や体操教室などを開催し、それに参加する事で体力や認知機能の維持、向上などを目的としています。
利用するための料金は無料または教材費のみの低額で実施している事がほとんどで、実施場所も自分の住んでいる地域に近い場所を選ぶ事もできます。
また、講座によっては会場までの送迎も準備しているものもあるため、調べてみると良いでしょう。
地域支援事業は地域包括支援センターが中心となって運営をしています。
自分が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターに連絡し、情報を集めた上で参加を検討する事をおすすめします。
地域支援事業をうまく活用する事で、将来的に要介護状態になるリスクを減らす事につなげる事ができるでしょう。

介護予防に努める事は重要
要介護状態になるかもしれないという不安は、多くの方が感じている事です。
そのリスクを減らし、不安感を軽減するために自分自身で行える事は行い、予防に努める事は重要な事です。
介護費用がかかるまえに、できることはトライしてみませんか。
しかし、自分ひとりだけでは行えない事、分からない事も多いです。
同じ立場に置かれている人と仲間になったり、専門家の知識を活用する事でその不安を解消していく事が、不安なく楽しく生活する事につながっていく事でしょう。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)