日常生活に他者の支援が必要となった時、それまでは必要としなかった介護用品などを使用しなければならない場合もあり、準備するためのコストが必要です。
介護用品の中でも排泄が自力でできなくなった際に必要になる紙おむつや尿取りパットなどは、基本的には使い捨てであるため、特にコストがかかってしまう介護用品の1つです。
今回は、紙おむつなどの排泄用品を節約するための適切な選び方と使い方ご紹介していきます。

目次
紙おむつの違いを知る
紙おむつにはさまざまな形があり、目的にあわせて設計されています。
紙おむつは、
・ マジックテープで付け外しができるテープ止めタイプのもの
の2種類に大別されます。
リハビリパンツは何かにつかまって立ち座りを自分の力でできる方に適したタイプです。
対して、テープ止めタイプのものは、寝たきりなど日中でも起きることの少ない方の使用に適したタイプです。
一般的にテープ止めタイプの紙おむつのほうが1枚あたりの値段が高いため、リハビリパンツが使用できる身体状態であるならばリハビリパンツを選んだほうがコストを抑えられる傾向にあります。
尿取りパット
失禁するたびに紙おむつを交換するとコストがかかります。
身体状態によっては尿取りパットを併用することで紙おむつが汚れることを防げますので、紙おむつを無駄なく使用できます。
身体状態に合わせた紙おむつを選定することで、排泄用品にかけるコストを下げられるのです。

尿取りパットを適切に使用する
リハビリパンツやテープ止め紙おむつを使用しても、それを穿いたまま排泄に失敗してしまえば紙オムツが汚れてしまい、交換しなければなりません。
特に、尿意を感じられずに排泄のたびに失敗している方であれば、リハビリパンツやテープ止め紙おむつを毎回濡らすことになるため、余計にコストがかかってしまいます。
これを防ぐために、リハビリパンツや紙おむつと一緒に尿取りパットを使用することが効果的です。
大小ある尿取りパットの選び方
健康な人間の1日の平均尿量は1~1.5l、1回当たりの排尿量は200~400mlと言われています。
使用者によって排尿量に大きな違いがあるため、その方に合わせた尿取りパットを選ぶことが大切です。
尿量が多いのに小さな尿取りパットを使ってしまえば、紙おむつに尿が染み出して紙おむつの無駄につながってしまいます。
しかし、尿漏れをしないようにと大きな尿取りパットを使えばコストが割高になります。
・ トイレに自分で行けるかどうか
などを見極めたうえで適切な尿取りパットを選定すれば、無駄に紙おむつやリハビリパンツを濡らすことなく使用できるため、紙おむつにかけるコストを減らせます。
尿取りパットを適切に使用することも排泄用品にかけるコスト削減につながると言えます。

排泄補助用の福祉用具の活用を検討
最後に挙げる節約ポイントは、排泄補助用の福祉用具の活用を検討することです。
紙おむつを使用する理由の1つとして、下肢筋力の低下等でトイレに間に合わないという方が一定数います。
それを解消するために紙おむつを使用される方がいますが、排泄補助用品を活用することで失敗を減らせる可能性があります。
ポータブルトイレの併用も有効
特に寝室からトイレの距離が遠くて移動が困難なことによる排泄の失敗がある場合には、ベッドサイドにポータブルトイレを配置するなど環境整備をすることによってそれが解消できる可能性もあります。
ポータブルトイレなどの福祉用具はレンタルできませんが、介護保険の福祉用具購入費助成の対象となる可能性があります。
担当のケアマネジャーがいる方などは相談してみるのがよいことでしょう。
福祉用具の活用によって排泄の失敗が減り、紙おむつ等の使用も減らせる可能性があります。

介護費用も心身の負担も軽減
排泄行為は毎日のことで、それを我慢するというのは困難なことです。
紙おむつなどの排泄用品は一度必要となると継続して使わなければならず、再利用もできないため費用負担が継続します。
排泄用品の選定の仕方や福祉用具の活用によって介護費用の負担を軽減できる可能性があります。
1日あたりの費用は少なくても、長期に亘れば費用はかさむので早目の検討をおすすめします。
紙おむつや福祉用具の利用で排泄サポートがスムーズになれば、介護費用の軽減とともに心身の介護負担が軽減されること間違いなしです。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)