「まだまだ元気だから介護とは無縁」と安心していても、不意のけがや病気から突然に介護が必要になることがあります。
原因はさまざまですが、中でも脳梗塞の後遺症や骨折などに伴う身体機能の低下は日常生活に介護が必要となる大きな要因であると言われています。
身体機能の低下が見られた際には、再び日常生活を送るために「リハビリテーション」を受けたいと考える人は少なくありません。
しかし、リハビリのための通院や家族の付き添いが難しいということもあります。
そこで紹介したいのが、リハビリテーションの中でも専門スタッフが自宅を訪問、リハビリをしてもらえる「訪問リハビリテーション」です。

目次
訪問リハビリテーションとは

訪問リハビリテーション(以下、訪問リハビリ)は、リハビリの専門家である理学療法士や作業療法士等が要介護者の自宅を訪問し、リハビリをしてくれるサービスです。
リハビリの内容は主治医の指示に基いて作成されたケアプランに記載された内容を実施します。
主治医の指示に基いた内容が実施されるため、要介護認定を受けていたとしても主治医が必要ないと判断した場合には指示書をもえません。
護認定を受けている方全員が利用できるサービスではないということを覚えておきましょう。
リハビリをお願いすると費用が高いと思っている方も多いことでしょう。
利用料金の特徴と合わせて訪問リハビリのメリットも紹介します。
【メリット1】自宅から出掛けずに利用可能
リハビリを受けられる介護サービスとして「通所リハビリテーション(デイケア)」もあります。
しかし、通所リハビリテーション(以下、デイケア)はそれを実施している事業所まで移動する必要があり、移動する体力がない方には利用が難しいサービスだと言えます。
また、デイケアには大人数の方が通ってくるため、集団が苦手な方にとっては抵抗があるということで利用に結びつかないこともあります。
このようにリハビリを受けられない場合に、身体機能はどんどん低下してしまいます。
訪問リハビリは自宅に専門家が来てくれるため、体力的に外出することが困難な方や集団が苦手な方であっても専門的なリハビリを受けられるのです。
また、自宅という慣れた環境でリハビリを受けられるため、自宅内での実際の生活のどのような部分に不都合を感じているかが明確になり、的確なリハビリを受けられます。
その方の生活で必要なリハビリを受けられれば身体的な負担も軽く、身体機能の向上につながっていきます。
自宅から出掛けずに利用できるということは、訪問リハビリを活用する大きなメリットであると言えます。
【メリット2】低料金で集中したリハビリを受けられる
施設に通ってリハビリを受けるデイケアは1時間単位で料金が決まっているのですがが、提供されるのは1日単位であることが一般的です。
介護サービス利用料のほかに食費や使用した分のおむつ代などが実費として請求されるため、予想以上に料金がかかってしまうことがあります。
一方で、訪問リハビリの最小の提供時間は20分であるため、デイケアよりも低料金での利用が可能です。
また、リハビリ専門職のスタッフが要介護者1人を担当してリハビリするため、短時間でも集中してリハビリを受けられます。
低料金で集中したリハビリを受けられる点は、訪問リハビリを活用するメリットの1つと言えることでしょう。

選択肢の1つに訪問リハビリ
疾病のほかに加齢に伴う身体機能の低下は避けられないことです。 しかし、その低下速度は自身の行動によって変えるられます。
毎日の生活の中で自分でできることは自分ですること、さらに専門職によるリハビリテーションを受けることで身体機能を維持・向上させられます。
また、健康寿命を延ばすことにもつながります。住み慣れた環境で健康に過ごせるよう、あきらめずにリハビリを積極的に取り入れてください。
介護費用と介護負担軽減のための選択肢に訪問リハビリを検討してください。 (執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)