すでに介護を受けている方やこれからの介護を考えている方にとって、介護費用をどのように負担するかが気になる事項の1つではないでしょうか。
その費用の支払いに年金や貯蓄を使用すると、生活に支障が出るという方も少なくありません。
そんな時に自身が住んでいる土地家屋を処分し、費用を捻出しようと考える方もいるでしょう。
今回は居住環境を変えずに生活や介護で増える支払いに対応できる可能性のある「リバースモーゲージ」について紹介していきます。

目次
リバースモーゲージとは
リバースモーゲージとは、自宅を担保にしてお金を借り入れる制度の事を言います。
借入金は毎月一定額を受け取る方法と一括で全額受け取る方法どちらかを選べ、契約者は毎月利息分を返済します。
その後、契約終了時または契約者が死亡した場合は、元本を一括で返済する必要があります。
それに充てるお金は担保とした家を売却することで捻出できるというしくみです。


注意点は、リバースモーゲージは、銀行などの金融機関や社会福祉協議会が実施していますが、実施機関によっては借り入れたお金の使途に制限が加わる場合があるという点です。
続いて、リバースモーゲージを活用するメリットについて2つみていきましょう。
メリット1. 住み慣れた自宅に安心して住み続けられる
生活費などを得るために持ち家を売却する場合、お金と引き換えに住む場所を失ってしまう場合もあります。
さらに、人は新しい環境に順応する事は時間がかかります。
特に認知症を発症し日常生活に介護が必要な方などは環境の変化に非常に弱いという一面を持っているため、生活環境を変える事に対して不安が残ります。
その点、リバースモーゲージは自宅を担保にお金を借りる事になりますが、契約期間中はその住居にそのまま住み続けられるので、環境が大きく変化する事はありません。
住み慣れた自宅に安心して住み続けられるのは、リバースモーゲージを利用する上で大きなメリットと言えるでしょう。
メリット2. 支出を抑えられる可能性がある
介護が必要になり、専門家に介護をお願いする場合には利用料金の支払いが必要です。
生命保険文化センターが実施した「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」によると、介護にかかる費用の平均は月額7.8万円となっています。

介護費用にあてるお金として、預貯金等を使用したり、資産を売却する方法を選択するという方法もありますが、生活にかかる支出を抑える方法もあります。
その際の選択肢の1つとしてリバースモーゲージの活用も挙げられます。
一般的に自宅を購入する際には現金で一括購入するよりも、ほとんどの方は住宅ローンを組んで購入します。
実施機関にもよりますが、リバースモーゲージの対象となる住宅は、ローンの残債が残っている物も対象となる事が多いです。
リバースモーゲージを活用して受け取ったお金で、住宅ローンを完済し月々の利息を支払う方が支出を抑えられる場合があります。
ただし、リバースモーゲージの場合の金利は変動型であったり、団体信用生命保険に加入ができないなどの制約がある事が多いため、制度を活用する前に詳しく説明を聞く事をおすすめします。
注意点をよく確認しよう
高齢になってから生活環境を変える事は、当人にとって大きな負担です。
生活環境を変える事なく住み慣れた環境で住み続けるために、リバースモーゲージの活用が有効となる場合があります。
「自宅を担保にする」「お金を借りる」と聞くと不安になる方も多いでしょう。
少しずつですがリバースモーゲージという言葉も耳にすることも増えてきました。
リバースモーゲージの制度を理解した上でライフスタイルに合っていると感じた際には、ぜひ活用を検討してみてください。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)