鶏むね肉は、安くて、高タンパク、低カロリーで知られています。節約と健康の両面で活用したい食材です。
しかし、「味が淡白」「固くなりやすい」「パサパサする」など調理に苦手意識をもっていませんか。
今回は、鶏むね肉がいかに高コスパ食材であるかを具体的な数字をもって検証し、柔らかく仕上げておいしく食べるコツとレシピを紹介します。
なお、文中の食材の価格は筆者が作った際に実際にかかったものです。

目次
鶏むね肉の栄養と価格
鶏むね肉の代表的な栄養素はタンパク質です。
日本人の食事摂取基準(2020年度版)によると、疾病予防の観点からタンパク質の1日の摂取推奨量は18~64歳の成人男性で65g、女性で50gとされています。
タンパク質含有量の比較
家庭でもよく使う鮭と豚小間切れ肉のタンパク質量を比較してみましょう。
100g中のタンパク質含有量は次の通りです。
豚小間切れ肉:20.6g
鮭:19.6g
参照:文部科学省
価格の比較
さらに価格を比べてみましょう。
筆者がスーパーで見たものは次のような価格設定でした。
100gあたりの価格
豚小間切れ肉:128円
鮭:150円
鶏むね肉はタンパク質をとるのに非常にコスパのよい食材だということが分かります。
鶏むね肉を柔らかく調理するコツ
ここからは、鶏むね肉を柔らかく調理するコツをお伝えします。
コツ1. 繊維を断つように切る
鶏むね肉の皮目を下に置いてみると筋繊維の方向がわかります。
加熱することでこの筋繊維が縮み、肉が硬くなるのです。
あらかじめ筋繊維を断つように切ることで焼き縮みを防げます。
肉をたたくことでも同様の効果を期待できます。
コツ2. 粉、油で壁を作る
加熱して筋繊維が縮み、細胞内の水分が押し出されることも肉の硬さにつながります。
そこで、周りを小麦粉や植物油などでコーティングし、水分が流れ出ないように壁を作ることも有効です。
コツ3. 調味料をもみ込む
細胞内の水分を事前に増やしておくのも柔らかく仕上げるのに効果的です。
酒や醤油などの液体調味料をもみ込んでおくのもいいですし、少しの砂糖と塩と水をもみ込むだけでも大丈夫です。
鶏むね肉の柔らかレシピ
柔らかく仕上がるようにコツを抑えたレシピを紹介します。
冷めてもおいしいレシピばかりなのでお弁当にもおすすめです。
1. 鶏むね肉のマヨバター炒め

材料(2人分・303円)
鶏むね肉:1枚(184円)
長ネギ:1本(80円)
〇酒:大さじ1杯(8円)
〇マヨネーズ:大さじ1杯(5円)
〇しょうゆ:小さじ1/2杯(1円未満)
〇鶏がらスープの素:小さじ1杯(7円)
〇砂糖:小さじ1/3杯(1円未満)
〇片栗粉:大さじ1杯(3円)
植物油:大さじ1杯(7円)
バター:5g(9円)
下準備
長ネギを小口切りにして、白い部分と青い部分に分けておく
作り方
(1) 鶏むね肉をひと口大のそぎ切りにして、〇をもみ込む
(2) 植物油を弱火で熱して鶏むね肉を並べ、その上に長ネギの白い部分を散らしてフタをして5分程度蒸し焼きにする
(3) フタをはずして肉を返し、さらに2分程度焼く
(4) 長ネギの青い部分とバターを入れて全体を混ぜる
2. 揚げないチキンカツ

材料(2人分282円)
鶏むね肉:1枚(184円)
〇酒:大さじ1杯(8円)
〇マヨネーズ:大さじ1杯(5円)
〇片栗粉:小さじ2杯(2円)
〇砂糖:小さじ2杯(1円)
〇カレー粉:小さじ2杯(23円)
〇顆粒コンソメ:小さじ1杯(10円)
〇チューブにんにく:1cm(7円)
パン粉:1カップ(21円)
植物油:大さじ3杯(21円)
作り方
(1) 包丁の背で鶏むね肉の身をたたき、適当な大きさに切って〇をもみ込む
(2) パン粉を全面に押し付ける
(3) 植物油を中火にかけパン粉をつけた鶏むね肉を両面色づくまで焼く
3. チキン南蛮

材料(2人分265円)
鶏むね肉:1枚(184円)
塩:ひとつまみ(1円未満)
薄力粉:大さじ2杯(6円)
卵:1コ(20円)
植物油:大さじ3杯(21円)
〇酢:大さじ1・1/2杯(5円)
〇しょうゆ:大さじ1杯(2円)
〇みりん:大さじ1杯(4円)
〇砂糖:大さじ1杯(2円)
〇片栗粉:小さじ1杯(1円)
●マヨネーズ:大さじ2杯(10円)
●玉ねぎのみじん切り:大さじ2杯(10円)
●しょうゆ:小さじ1/2杯(1円未満)
●酢:小さじ1/2杯(1円未満)
●砂糖:小さじ1/2杯(1円未満)
下準備
卵を溶く
〇を合わせる
●を合わせる
作り方
(1) 鶏むね肉をひと口大のそぎ切りにして軽く塩をふる
(2) 薄力粉を全体にまぶして溶き卵にくぐらせる
(3) 植物油を中火で熱して両面に軽い焼き色がつくまで焼く
(4) キッチンペーパーで油を拭き取り、合わせた〇を入れて全体にからめる
(5) 混ぜた●を添える
ちょっとしたコツで柔らかくおいしくなる
鶏むね肉はちょっとしたコツをおさえることで柔らかく美味しく仕上げられます。
安価で栄養価も高い鶏むね肉を節約生活に活用してください。(執筆者:栄養士、管理栄養士 小原 水月)