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戸籍の束を何度も持ち回らずに済む。法定相続情報証明制度が役立つ人、役立たない人

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戸籍の束を何度も持ち回らずに済む。法定相続情報証明制度が役立つ人、役立たない人
戸籍の束を何度も持ち回らずに済む。法定相続情報証明制度が役立つ人、役立たない人

お盆の帰省を機に、亡くなった親の相続手続きを進めようと考えていませんか。預金口座や不動産など手続き先が複数あると、戸籍書類一式を何度も提出する負担が生じます。法定相続情報証明制度の仕組みと、役立つケース、相続分は証明されないなどの注意点を整理します。

この制度が証明するのは「相続人の範囲と続柄」

法定相続情報証明制度とは、相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)と戸除籍謄本などの束を法務局(登記所)に提出し、その記載に基づいて登記官が内容を確認したうえで、認証文を付した写しを交付する制度です。確認されるのは戸籍書類から分かる範囲までで、相続放棄や遺産分割協議の結果は対象外です。

一覧図に記載されるのは、被相続人の氏名、最後の住所、生年月日および死亡年月日と、相続人の氏名、生年月日および続柄です。被相続人の最後の本籍と相続人の住所は任意記載です。つまりこの制度が証明するのは、誰が法定相続人で、亡くなった方とどういう続柄なのかという「範囲と続柄」までです。

ここで注意したいのが、その続柄の書き方には選択の余地があることです。法務局の記載例は、戸籍に記載される続柄のほか、申出人の選択により続柄を「子」と記載することも可能としたうえで、「ただし、続柄を「子」と記載した場合は、相続税の申告等、これを利用することができない手続がありますので、ご留意ください。」と続けています。相続税の申告を予定しているなら、続柄は戸籍のとおりに記載しておくのが無難です。

見落としやすいのが、相続分はここに入らないという点です。法務局は「相続人の法定相続にかかる持分を記載することはできません。」と明記しています。相続分を示す必要がある手続きでは、遺産分割協議書など別の書類が求められます。

戸籍の束を何度も持ち回らずに済む。法定相続情報証明制度が役立つ人、役立たない人

一覧図を作るのは申出人本人でなければならない、と思われがちですが、そうではありません。法務省民事局の案内は「相続人又は代理人が以下のような法定相続情報一覧図を作成」としています。代理人になれるのは、法定代理人、民法上の親族、そして資格者代理人です。資格者代理人は弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士に限られます。

申出先は、被相続人の本籍地(死亡時の本籍)、被相続人の最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地のいずれかを管轄する登記所から選べます。郵送で申し出ることもできるため、選んだ登記所が遠方でも足を運ぶ必要はありません。

なお、制度の利用そのものに費用はかかりません。認証文付き一覧図の写しは、相続手続きに必要な通数を無料で交付してもらえます。ただし、無料なのは制度の利用と写しの交付までです。法務局も、戸籍謄本の取得には所定の手数料が、郵送による申出や一覧図の交付に当たっては所定の郵送料が必要になると注記しています。郵送料は、受け取るときだけでなく申し出るときにもかかる往復分と見ておいてください。

戸籍の束を何度も持ち回らずに済む。法定相続情報証明制度が役立つ人、役立たない人

表のとおり集めれば足りる、とも限りません。被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となるときなどは、被相続人の戸除籍謄本に加えて被相続人の親等に係る戸除籍謄本の添付が必要になる場合があります。

とくに勘違いされやすいのが住民票の扱いです。必ず要るのは被相続人の住民票の除票であって、相続人全員の住民票ではありません。相続人について必ず用意するのは戸籍謄本または抄本です。相続人の住民票記載事項証明書が要るのは、一覧図に相続人の住所を記載する場合だけで、住所の記載は相続人の任意とされています。

ただし、住所を書かない選択が常に得というわけではありません。法務局は、一覧図に相続人の住所を記載しておくと、その後の手続きで各相続人の住所を証する書面の提供が不要となることがある、と案内しています。しかも、写しの交付を受けた後に住所が変わったことによる再申出はできません。住所を載せるかどうかは、申出の時点で決め切っておく必要があります。

申出人の本人確認書類は、例示されたもののうち「いずれか一つ」で足ります。ただし、戸除籍謄本が交付時に返却されるのに対し、この書類は返却されません。住民票記載事項証明書の原本を他の相続手続きにも使いたいのであれば、原本と、原本と相違がない旨を記載して記名したコピーを併せて提出してください。

使う前に押さえたい注意点

便利な制度ですが、誰にでも使えるわけではありません。亡くなった方や相続人が日本国籍を有しないなど、戸除籍謄抄本を提出できない場合は利用できません。

相続放棄をする人がいるケースも押さえておきたいところです。一覧図は戸籍謄本などをもとに作成するため、実際には相続しない人であっても、法定相続人であれば記載が必要です。相続放棄した事実は一覧図には表れないので、相続税の申告など実際に使う場面では、相続放棄に関する書類を別途求めることがあります。

再交付にも限定があります。一覧図は申出日の翌年から起算して5年間保管され、その間は写しの再交付を申し出できますが、申し出できるのは当初の申出人に限られます。他の相続人が希望する場合は、当初の申出人からの委任が必要です。受け付けるのも当初の申出をした登記所だけです。

必要な書類が不足していたり一覧図に誤りがあったりすると、登記官から直すよう求められます。申し出ればその場で写しが出るとは限らないため、期限のある手続きを控えているなら早めに申し出ておくのが安全です。写しをどのように扱うかは提出先ごとの運用によるため、主要な取引先の金融機関には、写しで足りるのか追加の書類が要るのかをあらかじめ確認しておくと安心です。

判断の軸は「出す回数」

法定相続情報証明制度は、相続人の範囲と続柄を公的に証明してもらい、戸籍書類一式の代わりに使える仕組みです。相続分までは証明されないこと、続柄を「子」と記載すると相続税の申告等には使えないこと、無料なのは交付までで戸籍の取得手数料と郵送料は自己負担になること。これらを押さえておけば、途中でつまずく場面は減ります。銀行が複数あるなど、同じ戸籍書類を何度も出し直す場面が多いほど効く制度です。手続きの回数と戸籍の量を見てから着手してみてください。

《編集部》
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