還付申告は、納め過ぎた税金を戻すための手続きです。
「医療費控除」や「住宅ローン控除」を適用する場合や「年末調整」ができなかった場合に還付申告手続きを行います。
申告書を提出して一定期間以上経過しても税金が還付されない場合には調査対象になっている可能性もありますので、今回は還付金の戻りが遅い理由について解説します。

目次
還付金は申告後1か月から2か月以内に戻ってくる
還付金が戻ってくる速度は、確定申告書の提出方法で変わってきます。
確定申告書を書面で作成した場合には、還付されるまでの期間は1か月から2か月程度です。
一方で、e-Taxで還付申告した場合には3週間から4週間程度で還付されるため、同じタイミングで還付申告をしても税金が戻ってくる時期は異なります。
また、書面申告とe-Tax申告のどちらであっても、申告期限ギリギリに申告書を提出した場合には税務署の還付手続き処理が追いつかずに、還付されるまで時間がかかる傾向にあります。
訂正申告すると還付時期が遅くなる
訂正申告とは、申告期限内に申告書を再度提出することを言い、後に提出した申告書が有効な申告として取り扱われます。
訂正申告書を提出した場合には、還付される時期は通常よりも遅くなると思ってください。
複数の申告書が提出された場合には、税務署は当初申告との内容の違いや添付書類の不足がないかの確認作業を行います。
税務署によっては数万件の申告書が提出されるため、確認作業には意外と時間を要します。このような内部的な事情によって還付する時期が遅くなります。
還付金額が多いとチェックが慎重になる

確定申告において、税務署は毎年「不正還付」の有無に目を光らせています。
不正還付は、経費や所得・税額控除を水増しして課税対象となる所得を減らしたり、本来支払っていない税金を源泉徴収税額として計上して不正に還付金を受けることを言います。
還付金は、先に支払った税金(源泉徴収税額)がないと受けられません。
不正還付が疑われる場合には源泉徴収された支払先を調べるために、いったん還付手続きをストップするこもあります。
源泉徴収税額の支払先の記載がない場合、会社の実態や支払っている金額の整合性を確認できるまで還付金を戻すことはしません。
また、確定申告書の記載漏れがある人や還付金額の多い人は正しく申告していたとしても、確認作業の関係で還付が遅くなっている可能性も考えられます。
法定添付書類を提出していないと還付金は戻らない
確定申告書に添付する書類には、任意のものと義務のものがあります。
自営業の人が経費として払った領収書は任意書類なので、添付しなくても問題ありません。
一方で、「住宅ローン控除」を適用する場合の書類は、添付義務のある書類です。
法定添付書類の提出も特例適用要件の1つなので、法定添付書類の提出をすべて確認できるまで税務署は還付金を振り込みません。
2か月以上還付金が戻ってこない場合は税務署に確認する
2か月以上還付金が戻ってこない場合には、税務署に問い合わせてください。
税務署は、申告内容が正しければ早々に税金を還付しなければなりませんし、申告内容に誤りや不足書類があれば指摘する必要があります。
税務署の内部で還付処理が遅れていることや、最悪のケースでは担当者が申告書を放置していることも予想されます。
なお、管轄税務署に問い合わせる場合には、手元に提出した申告書の控えがあるとやり取りがスムーズにできますので、書類を準備してから連絡してください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)