現代日本の高齢化は深刻で、日常の当たり前のことに目を向けてみても、他者の支援が必要である高齢者は増加傾向にあります。
日常生活を送る中で必ず発生してしまうものの1つとして「家庭ごみ」があります。
他者の支援が必要な高齢者の中には、収集場所まで運ぶことが困難な方もいます。
そのような時に役立つサービスの1つとして、お金をかけずに利用できる「ごみの在宅収集」というものがあります。
今回は、利用料無料が嬉しい「ごみの在宅収集サービス」について紹介します。
目次
ごみの在宅収集とは
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ごみの在宅収集は、加齢に伴う身体機能の低下や心身に障害があることなどの原因により、ごみを収集場所まで持参することが困難な方を対象に家庭まで訪問してごみ収集を行ってくれる制度です。
市町村等の自治体が実施主体となって行われている事業であるため対象者の条件は各自治体によって多少異なりますが、
ということがこの事業を利用できる共通条件です。
その他の条件として自治体で多くみられる項目には、
・ 1人暮らしや高齢者のみの世帯であること
などがあります。
ほとんどの自治体で利用料金が無料
利用したい最大の理由は、ほとんどの自治体で利用料が無料であるという点です。
日常生活に介護が必要になりゴミ出しをすることが困難になった場合には、誰かしらの支援を受けることが必要になります。その役割を職業としているごみ収集業者に依頼すれば、必要な時にごみ処理をお願いすることが可能です。
しかし、ごみ収集業者にゴミ出しを依頼する場合には、回収をお願いするごみの大きさや重さに応じた回収料金を支払う必要があるため、経済的に負担がかかってしまうことがあります。
同様に、介護保険サービスである「訪問介護サービス」を利用してゴミ出しの支援を受ける方法も考えられますが、多くのごみ収集所はゴミ出しをして良い時間が決まっています。ごみ出し可能な時間は早朝であることが多いため、ヘルパー派遣が難しく依頼を受けてくれる事業所が見つからないことも珍しくありません。
その点、自治体が実施するごみの在宅収集は、利用頻度や一度に収集してくれるごみの量に一定の制限があるものの、その利用料は無料であることがほとんどです。
ごみ収集業者や訪問介護サービスの活用をするよりも、経済的な負担を抑えられると考えられます。
安否確認をしてくれる場合がある
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ゴミの在宅収集サービスの実施主体が市町村等の自治体であるため、そのサービス内容はそれぞれの市町村等で異なります。
自治体によってはごみ収集時に併せて、他のサービスを付帯させているという事例もあります。ごみ収集の付帯サービスとしてよく見られているサービスが「安否確認」です。
1人暮らしの最大の心配事は安否です。そこで、安否確認に役立つ活動の1つとして「見守り訪問」というものが展開されている地域は少なくありません。
見守り訪問とは、1人暮らし等で孤立しがちな高齢者を中心に、民生委員などをはじめとする地域住民が定期的に自宅を訪問し、安否確認を行う活動のことを指します。
それと同様の内容である安否確認をごみの在宅収集を利用している方に対して実施する自治体があるのです。
ごみの在宅収集時に声をかけてくれたり、予約されていた日時にごみが玄関前に出されていない時に指定されている連絡先に連絡を取ってくれる場合もあります。
これらの安否確認もごみの在宅収集サービスの付帯サービスとなっているため、無料で実施をしてもらえるのです。
ごみの在宅収集と併せて安否確認を行ってくれる場合があるということは、このサービスを利用するメリットであると言えます。
近隣とのトラブルも回避できる
自宅で日常生活を送る中で、ごみ処理は非常に大きな問題です。
高齢者の多くが1人暮らしや高齢者のみの世帯の生活において、子ども達に頼れる環境の方ばかりではありません。
ごみは適切に処理しなければ、生活環境の悪化のみならず近隣とのトラブルの原因にもなりかねません。住み慣れた地域で長く生活するには、近隣との関係も非常に重要です。
介護保険サービスを利用する前に、お住まいの自治体の活動にもぜひ目を向けてみてください。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)