贈与税はお金をもらったり、無償で不動産の名義変更した際に課税対象となる税金です。
贈与税は所得税と同様、確定申告手続きが必要になりますが、所得税以上に申告する機会が少ない税金です。
そこで今回は、贈与税の確定申告時に知っておきたい4つのポイントについて解説いたします。

目次
1. 贈与税の申告者は受贈者が手続きを行う
贈与税の申告書は、財産をもらった側の「受贈者」が申告手続きを行います。
財産を渡した側の「贈与者」は、贈与税の申告手続きはしませんので、たとえば孫へ住宅取得資金を贈与した際は、贈与税の申告についてもお話しましょう。
贈与税の申告期間は、財産をもらった翌年2月1日から3月15日までの1か月半と、申告期間の開始は所得税(翌年2月16日から3月15日)よりも半月早いです。
贈与税の申告書の提出先は、申告する時点で受贈者が住んでいる場所を管轄する税務署です。
財産をもらった時点ではA税務署管内に住んでいても、申告時点でB税務署管内へ引越した場合、贈与税の申告書はB税務署へ提出することになります。
2. 年間110万円以内の贈与であれば申告不要
贈与税には年間110万円の基礎控除額があるため、贈与金額が110万円以内であれば贈与税は無税です。
贈与税の納税額が発生しない場合、原則贈与税の申告書の提出は不要です。
贈与税の納税額が発生しないケースでも申告が必要となる例外としては、
・ 特例制度を適用したり、
・ 過去に相続時精算課税制度を利用した時の特定贈与者から再び財産をもらうケース
などがあります。
なお贈与税の納税額が発生していなくても、納税義務がないだけで申告できないわけではありませんので、納税額0円の贈与税の申告書を提出することは可能です。
3. 特例制度を適用する場合は必ず期限内に申告すること
贈与税の特例制度を適用する際は、必ず申告期間中に手続きしてください。
贈与税には住宅取得資金の非課税制度や、相続時精算課税制度などいろいろな特例制度が存在します。
特例制度を利用する際は、要件をすべて満たしていることはもちろんのこと、確定申告により特例を適用する意思表示が必須です。
勘違いしやすいケースとしては、特例制度は自動的に適用されると思っていた場合や、申告する人は受贈者ではなく贈与者だと誤認していた場合などがあります。
贈与税の特例制度のほとんどは期限内申告が絶対条件であり、申告期限を1日でも過ぎてしまうと特例適用が一切認められなくなりますので注意しましょう。
また特例制度が適用できなくなったとしても、贈与を取り消すことは基本的にできませんので、特例を活用して贈与する際は期限内に確定申告手続きを完了させてください。

4. 税務署以外で手続きする贈与税の特例制度も存在する
贈与税は税務署が管轄する税金ですが、「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税制度」と、「結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」の申請手続きの窓口は金融機関です。
両制度は金融機関を経由して申告書を提出することになり、贈与を受ける時点で手続きが必要となりますのでご注意ください。
また受贈者は、金融機関で専用口座を開設するなどの手続きを行うことになりますので、事前に特例制度の要件や贈与金額、必要書類を確認してから贈与することをオススメします。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)