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「離檀料は法律で決まっている」は誤解 。お盆に考える墓じまい、お金と手続きの順番

シニア 葬儀
「離檀料は法律で決まっている」は誤解 。お盆に考える墓じまい、お金と手続きの順番
「離檀料は法律で決まっている」は誤解 。お盆に考える墓じまい、お金と手続きの順番

お盆の帰省でお墓参りをしながら、「この先、お墓をどうするか」を家族で話し合う方もいるでしょう。墓じまいで気になる離檀料は、法令で一律の支払い義務が定められているわけではありません。墓石の撤去費や改葬先の費用、必要な手続き、高額な請求を受けた場合の相談先を家計目線で整理します。

離檀は檀家をやめること

特定のお寺に所属する家を檀家といい、檀家をやめることを離檀といいます。所属先のお寺は旦那寺、または菩提寺と呼ばれます。檀家とは、お布施や会費を納めてお寺を支える代わりに、葬式や埋葬、法事などの供養を引き受けてもらう関係で、個人単位ではなく家単位で結ばれるのが一般的です。この仕組みは江戸幕府の寺請制度に由来し、制度そのものは明治維新後に廃止されたあとも、風習として残りました。今の檀家と寺院の関係は、法律に基づくものではなく慣習の上に成り立っています。ここが離檀料を考えるうえでの出発点です。

離檀のきっかけになりやすいのが、お墓をめぐる2つの決断です。1つ目は改葬で、墓地、埋葬等に関する法律第二条第三項では「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。」と定められています。2つ目は墓じまいで、法令上の定義がない慣習的な言葉ですが、お墓を解体・撤去して墓地を更地にし、管理者に返還することを指します。

離檀料に法律上の決まった支払い義務がない理由

離檀料はお布施のひとつとされ、法律で一律に支払いを義務付ける規定はありません。信教の自由も認められており、お寺を離れて宗派を変える際に、法令上当然にお金を払う必要が生じるわけではありません。実際、離檀料の支払いや金額を定めた規定は、墓地、埋葬等に関する法律にも宗教法人法にも置かれていません。法令で一律の義務がない以上、支払わなかったことだけを理由に、離檀そのものが認められなくなるわけではありません。

ただし現実には、慣習として離檀料が支払われるのが一般的です。払う義務はないけれど払うのが通例、という割り切りにくさが離檀料の悩ましさです。

離檀料のほかにかかるお金

見落としやすいのが、離檀料以外にかかるお金です。離檀そのものより、そのあとお墓をどうするかで金額は大きく動きます。

「離檀料は法律で決まっている」は誤解 。お盆に考える墓じまい、お金と手続きの順番

(参照元:ALSOK「離檀料」/さがみ典礼「離檀料」/鎌倉新書「第17回お墓の消費者全国実態調査」)

墓石の撤去は石材店や専門業者に依頼します。閉眼供養は魂抜きとも呼ばれ、墓石を撤去する前に故人の魂をお墓から抜く儀式で、宗教儀式であるため法令上の定義や義務はありません。新しいお墓の費用は、選ぶタイプによって大きく変わります。表の平均購入金額は、鎌倉新書の第17回お墓の消費者全国実態調査で、2025年1月から12月に「いいお墓」経由で購入した回答者を集計したものです。

改葬に必要な市町村長の許可と書類

寺院墓地では、たとえ自分の家のお墓であっても、自分たちの判断だけで遺骨を持ち出せるとは限りません。注意したいのが、この手続きが「届け出」ではなく「許可」にあたる点です。墓地、埋葬等に関する法律第五条第一項は「埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。」と定めています。許可を受けて初めて改葬ができます。法令上の改葬にあたる場合、この許可は必須です。

許可を出すのは、遺骨が今ある場所の市町村長です。同法第五条第二項は、改葬に係る許可について「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする」と定めており、許可が下りると第八条に基づいて改葬許可証が交付されます。申請書の提出先も同じ市町村長です。同法施行規則第二条第一項では「法第五条第一項の規定により、市町村長の改葬の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を、同条第二項に規定する市町村長に提出しなければならない。」と定められています。用意する書類は次のとおりです。

「離檀料は法律で決まっている」は誤解 。お盆に考える墓じまい、お金と手続きの順番

(参照元:墓地、埋葬等に関する法律施行規則第二条/大津市「墓じまい、改葬許可申請について」)

とくに見落としやすいのが、申請者とお墓の名義人が違うケースです。施行規則第二条第二項第二号は、墓地使用者等以外の人が申請する場合に、墓地使用者等の改葬についての承諾書か、これに対抗することができる裁判の謄本などを添付するよう定めています。名義が親や祖父母のままのときは、まず自分が墓地使用者等にあたるかを墓地の管理者に確かめ、あたらないのであれば、お寺にも役所にも動く前に家族の間で承諾書を取り付けておきます。

同項第三号には「その他市町村長が特に必要と認める書類」も置かれているため、これ以外に必要な書類は自治体によって変わります。受入証明書を求める大津市のような自治体もあれば、京都市のように手続案内で受入証明書を必須書類として示していない自治体もあります。事前にお寺と役所の双方へ確認しておくと確実です。

もう1つ見落としやすいのが、遺骨の行き先です。改葬許可申請書には「改葬の場所」を記載するため、行き先が決まっていないと申請ができません。離檀を申し出てから墓石を撤去し、改葬を終えるまでには相応の期間がかかります。お盆の帰省を機に動き出すなら、時間には余裕を持たせておきましょう。

高額な離檀料を請求されたときの相談先

金額が法で決まっていないぶん、社会通念上相当とはいえない高額な離檀料を請求されてしまうことがあります。

こうした場合でも、いきなり争う姿勢を見せる必要はありません。まずは相談という形で住職とよく話し合い、それでも折り合いがつかないときは、檀家総代や宗派の本山に相談する方法があります。解決しないときに頼りになるのが法律の専門家で、知り合いの弁護士がいなければ地元の弁護士会や法テラスにまず相談します。法テラスの民事法律扶助は、経済的に余裕のない方が法的トラブルにあったときに無料で法律相談を行い、必要な場合には弁護士・司法書士の費用等を立て替える制度です。無料法律相談は収入と資産が資力基準以下の方が対象で、費用等の立替えにはこれに加えて、勝訴の見込みがないとはいえないことなどの要件を満たす必要があります。

離檀の第一歩は家族と住職への相談

離檀料に法令で一律に支払いを義務付ける規定はありません。それでも慣習として支払われているのが実情で、金額に決まりがないぶん、伝え方と順番が結果を左右します。先祖代々の遺骨を動かす決断です。自分だけで判断せず、まずは家族や親族と話し合い、そのうえで住職には、これまでの感謝とともに相談という形で伝えましょう。改葬には市町村長の許可という手順があり、必要な書類も自治体ごとに違います。家族が揃うお盆は、お墓の先行きを話し合える数少ない機会です。

《編集部》
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