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ボーナス後に転職する前に。退職金が減るケースと税金をチェック

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ボーナス後に転職する前に。退職金が減るケースと税金をチェック
ボーナス後に転職する前に。退職金が減るケースと税金をチェック

夏のボーナスを受け取り、「そろそろ転職しよう」と考え始める人も多い時期です。その前に確認しておきたいのが退職金です。自己都合退職や勤続年数によっては、定年まで勤めた場合より受け取れる額が少なくなることがあります。まずは退職金が変わるポイントと、税金の基本を確認しておきましょう。

夏のボーナスのあと、転職を考え始めた30代会社員

「ボーナスをもらったら、動こうと決めていたんです。」都内の企業に勤める30代の会社員男性は、夏の賞与が振り込まれたのを機に、転職サイトへの登録を済ませました。今の仕事に大きな不満はないものの、より条件の良い職場があるなら挑戦したいと考え、求人を眺めているといいます。

ふと頭をよぎったのが退職金のことです。定年まで勤めれば当然もらえるものと思っていたけれど、途中で辞めた場合はどうなるのか。調べてみると、退職金のルールは会社ごとに大きく違い、辞め方やタイミングで金額が変わると知って驚いたそうです。

こうした戸惑いは、この男性に限った話ではありません。退職金は法律で一律に決まっているものではなく、それぞれの会社の就業規則で定められています。まずは制度の基本から順に見ていきましょう。

退職金制度は1つではない。主な種類と調べ方

退職金は、職場を退職するときに受け取れるお金です。制度の有無だけでなく、自己都合退職・死亡退職・解雇時に支給するか、懲戒解雇時に減額・不支給とするかも会社の就業規則などによります。厚生労働省の令和5年就労条件総合調査では、対象16産業の常用労働者30人以上の民営企業において、退職給付制度がある企業の割合は74.9%でした。

ひとくちに退職金といっても、制度にはいくつかの種類があります。主なものを表に整理します。

ボーナス後に転職する前に。退職金が減るケースと税金をチェック

注意したいのが企業型確定拠出年金です。掛金を出すのは会社ですが、運用商品を選ぶのは加入者本人で、運用の結果によって将来の受取額が変わります。また退職金共済制度には、会社の経営状況にかかわらず共済から直接退職金を受け取れるという特徴があり、会社の退職金と共済の両方を受け取れる場合もあります。

自分の勤務先がどの制度を採用しているかは、就業規則で確認できます。退職金制度を設けている会社では、支給額の算出方法や支払時期などが就業規則に明記されており、社員であれば閲覧できます。転職を考え始めたら、求人を見る前にまず就業規則を開くのが確実な第一歩です。

転職すると退職金はどれくらい減るのか

退職金の額は、多くの場合、勤続年数や退職の理由を考慮して決まります。一般的に勤続年数に比例して支給額は多くなる傾向があるため、定年を待たずに退職すると、その分退職金は少なくなりやすいのです。

さらに効いてくるのが退職理由です。自己都合で退職する場合、定年や会社都合の場合より支給額が少なくなる傾向があります。前述の調査対象企業のうち最低勤続年数を定める企業では、自己都合退職の「3年以上4年未満」が57.0%と最も多く、会社都合の退職でも同区分が45.9%で最多でした。個別の支給条件は勤務先の規程で確認する必要があります。

支払時期も就業規則で定められており、会社によって異なります。決められた支払日を過ぎても支払われない場合は、まず会社に確認し、それでも支払われなければ労働基準監督署などに設けられた総合労働相談コーナーに相談する方法もあります。なお労働基準法では退職手当の請求権の時効は5年とされており、支払日から長く放置すると請求が難しくなります。

退職金にかかる3つの税金

退職金には、所得税・復興特別所得税・住民税がかかります。それぞれの仕組みを押さえておきましょう。

所得税の計算では、退職金は「退職所得」に区分されます。退職所得控除は、勤続20年以下なら40万円×勤続年数(最低80万円)、20年を超えると800万円+70万円×(勤続年数-20年)です。一般の退職所得は原則として控除後の残額を2分の1にして計算しますが、役員等以外でも勤続5年以下の短期退職手当等は、控除後の残額のうち300万円を超える部分に2分の1計算を適用しません。

復興特別所得税は、東日本大震災からの復興財源として2013年1月から課されているもので、税額は所得税額の2.1%相当です。たとえば退職金にかかる所得税が50万円なら、復興特別所得税は1万500円で、合計51万500円を納めることになります。現行の復興特別所得税は、2013年1月1日から2037年12月31日までに支払いを受ける退職手当等が対象です。令和8年度税制改正により、2027年1月1日以後に生ずる所得については復興特別所得税の税率が1.1%となり、新たに防衛特別所得税(所得税額の1%)が創設されます。復興特別所得税の課税期間は2047年12月31日まで延長されますが、合計の負担水準2.1%は変わりません。

住民税は、標準税率で市町村民税6%と道府県民税4%、合計10%です。通常の住民税は前年の所得をもとに翌年度に納めますが、退職金にかかる住民税は例外で、支払いを受けるときに他の所得と分離して課税され、退職金から差し引かれます。

確定申告は原則不要。それでも必要になるケース

退職金の税金は、原則として確定申告をする必要がありません。勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、支給の時点で源泉徴収が済み、課税関係が完結するためです。

一方、この申告書を提出していない場合は、退職金の支払金額に対して一律20.42%で源泉徴収されます。本来の税額より多く引かれていることがあるため、確定申告で精算すれば還付を受けられる可能性があります。また、退職した年の給与などが少なく、使い切れていない所得控除がある場合も、確定申告で退職所得から差し引いて還付につながることがあります。

転職先での年末調整との関係も押さえておきましょう。前職の退職金は退職所得のため、給与を対象とする年末調整には含まれません。一方、前職の給与は転職先の年末調整でまとめて精算してもらえます。給与所得の源泉徴収票は転職先に忘れずに提出しましょう。

受け取った退職金の置き場所

退職金はまとまった金額になるため、受け取ったあとの置き場所も考えておきたいところです。使う時期と目的を分けて考えるのが基本です。

当面使う予定のあるお金は、元本の安全性を優先します。預貯金は預金保険制度の対象で、1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息などが保護されます。国が発行する個人向け国債には変動10年・固定5年・固定3年の3種類があり、年率0.05%の最低金利保証付きで、1万円から購入できます。

当面使わないお金の一部を増やしにいくなら、投資信託のように少額から分散投資できる商品を検討する選択肢もあります。ただし元本保証はなく、値下がりすれば元本割れする可能性があり、運用には手数料もかかります。退職金を一度に投じるのではなく、性格の異なる置き場所に分けることが、後悔を減らす考え方です。

退職金は「辞めたあと」に調べても遅い

退職金は会社ごとの就業規則で決まり、辞めるタイミングと理由で金額が変わります。調査では最低勤続年数を設ける企業が多いものの、自社の条件は規程を見なければ分かりません。税金は申告書を出せば源泉徴収で完結するのが原則です。転職を考え始めたら、求人票より先に就業規則の退職金規程を確認し、金額への影響を織り込んだうえで判断しましょう。

《編集部》
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