
夏に帰省して、誰も住まなくなった実家の戸を開けたという方は多いはずです。家財を運び出すだけでもまとまった費用がかかり、手が止まります。片付けに公的な補助が出ると聞いても、探す先を間違えると見つかりません。出し手は誰なのかをはっきりさせて、この夏のうちに一本電話をかけてみませんか。
実家を前にして立ち止まった50代の戸惑い
「一軒まるごとの片付けに、思っていた以上のお金がかかると言われまして。」関東地方で会社勤めをする50代の女性は、親から引き継いだ実家の玄関先で足を止めました。台所にも押し入れにも家財が残り、庭木は道路側へ張り出しています。
片付けの費用に公的な補助が出ると人づてに聞き、まずは国の窓口を探しました。ところが、申し込む先らしいページに行き当たりません。役所へ電話をかけるにしても、取り次ぎ先の部署の名前が思い浮かびません。空き家の相談は市民課なのか、住宅の部署なのか。そこで手が止まりました。
空き家の窓口が市区町村になる理由
空き家の対策は、空家等対策の推進に関する特別措置法が土台になっています。この法律は、区域内の対策を担うのは市町村(特別区を含む)だと定め、国と都道府県はその市町村を支える側に置きました。第29条は、国と都道府県が市町村の対策費用に対する補助などの財政上の措置を講ずるものとする、と書いています。
お金の流れが国から市区町村へ向かうので、住民が申し込む窓口はその先にあります。国土交通省の空き家対策総合支援事業も、市区町村が空家等対策計画に基づいて進める取り組みを支える事業として令和8年度の予算に組まれています。

制度の名前も担当課も市区町村ごとに違う
群馬県渋川市には「空き家家財道具等片付け支援事業補助金」があります。家財道具等の処分と運搬に要した費用の3分の2、限度額は5万円で、窓口は市民協働推進課の移住定住支援係です。静岡市の「静岡市空き家片付け事業補助金」は片付け費用の2分の1以内で、限度額は20万円。担当は住宅政策課です。
名前も金額も担当課もそろっていません。どちらも市の空き家バンクへ登録することを条件にしていますが、その条件の立て方も市区町村ごとに違います。受付は年度ごとに始まり、予算の範囲内で運用される建て付けです。
探す先は一つ、住所地の役所
国土交通省と総務省の調査では、令和7年3月31日時点で1,741市区町村のうち1,541、割合にして88%が空家等対策計画を策定済みでした。空き家対策計画を策定済みの市区町村は多いということです。公式サイトで「空き家」と検索し、出てきたページの問い合わせ先へかけてみてください。制度があるかも、今年度の受付が続いているかも、その一本で分かります。


