
「金利が上がると、債券の価格は下がる」。ニュースでよく聞くわりに、理由は案外説明しにくい関係です。カギは、あとから発行される新しい債券の存在。手持ちの債券との見比べが起きるから、価格は金利と逆に動くのです。
債券のしくみ。利子の割合は「表面利率」として発行時に決まる
債券は、国や企業がお金を借りるために発行する証書です。買った人はお金を貸した側になり、利子を受け取りながら、満期には額面金額が戻ってくるのが基本です。
この利子の割合が「表面利率」で、日本銀行は「発行時に決められた利息の割合」と説明しています。固定金利型の債券なら、表面利率は満期まで変わりません。一方、世の中の金利水準(市場金利)は景気や金融政策で動き続けます。債券は満期を待たずに市場で売買もでき、そこで付く値段(債券価格)も日々変わります。
金利が上がると、持っている債券は新しい債券に見劣りする
市場金利が上がった場面を考えてみます。あとから発行される債券には、通常、そのときの金利水準に見合った表面利率が付きます。ところが、手持ちの固定金利型の債券の利子は、発行時のままです。
仮の数字で比べてみましょう。額面100万円・表面利率年2%の債券を持っているあいだに市場金利が上がり、新しい債券の表面利率が年3%になったとします。1年分の利子は、手持ちの債券が100万円×2%=2万円、新しい債券なら100万円×3%=3万円。毎年1万円の差が付きます。
こうなると、同じお金なら新しい債券のほうが有利ですから、手持ちの債券は100万円のままでは買い手が付きにくく、売るには価格を下げるしかありません。これが「金利が上がると債券価格が下がる」の正体です。市場金利が下がったときは逆で、高い表面利率が付いた手持ちの債券の人気が高まり、価格は上がります。
下がった価格で買えば「利回り」が上がる。だから新旧が釣り合う
仮に、さきほどの債券の価格が96万円まで下がったとします。買った人は毎年2万円の利子に加えて、満期には額面の100万円で償還されるため、差額の4万円も受け取れます。この投資額に対する収益の割合が「利回り」です。
価格が下がるほど、買う人の利回りは上がります。つまり債券価格の下落は、古い債券の利回りが新しい金利水準と釣り合うところまで進む調整です。財務省が公表する国債の金利も、実勢価格をもとに算出した「最終利回り」です。
なお、発行体が支払不能に陥らない限り、満期まで持ちきれば額面金額で償還されるため、値下がりが実際の損になるのは満期前に売却するときです。また、個人向け国債(変動10年・固定5年・固定3年)は市場で売買する債券と仕組みが別で、財務省は「実勢金利が変動しても、元本部分の価格は変動しない」と説明しています。

「なぜ下がるか」が分かれば、金利のニュースは怖くない
金利と債券価格の関係は、新しい債券と見比べられるという単純な事情から生まれています。金利が上がれば固定された利子は見劣りして価格が下がり、下がった価格が利回りを新しい水準へそろえていきます。この流れを押さえれば、金利のニュースが債券に何を意味するかが読み取れます。迷ったら、新しい債券との見比べを思い出してみてください。


