
相続したマンションの登記事項証明書を見て、土地の名義が見当たらず戸惑う人は少なくありません。分譲マンションでは原則として、土地を使う権利は部屋と一体の「敷地権」として登記されています。ただし建物によっては、土地の所有権持分などが別に登記されていることもあります。見る欄と、相続登記や売買での違いを解説します。
登記事項証明書の表題部にある「敷地権の表示」
マンションの一室を持つために土地を使う権利を、区分所有法は「敷地利用権」と呼びます(2条6項)。敷地利用権には、所有権の共有持分のほか、地上権や賃借権などがあります。このうち登記されていて部屋と切り離して処分できないものが「敷地権」で、建物の登記事項に含まれます(不動産登記法44条1項9号)。
登記事項証明書では、一棟の建物の表題部に敷地権の目的である土地の表示、部屋の表題部に敷地権の表示の欄があり、種類と割合が記録されます(不動産登記規則118条)。種類の欄が所有権ではなく地上権や賃借権なら、土地の所有権ではなく利用権で成り立つマンションです。
分離処分の禁止と、規約による例外
敷地利用権が複数の区分所有者で有する所有権その他の権利なら、部屋だけ、敷地利用権だけを切り離して処分することはできません(区分所有法22条1項)。ただし、規約に別段の定めがあるときは分離して処分できます(同項ただし書)。敷地権の表示がつくのは、土地の権利が登記され、この禁止が働く建物です。
この仕組みは1984年1月1日施行の改正(昭和58年法律第51号)で始まりました。施行時に専有部分が存在していた建物は、法務大臣の指定を受けたものを除き、規約で分離して処分できると定めたものとみなされました(改正法附則8条)。古い建物には敷地権の表示がないものがあり、新しくても規約で分離処分を認めていれば表示はつきません。築年でなく登記事項証明書で確かめます。
相続登記と売買で土地の分はどう動くか
敷地権付きの区分建物では、部屋の所有権や担保権(抵当権など)の登記が、敷地権についてされた登記としての効力を持ちます(不動産登記法73条1項)。建物の相続登記を申請すれば敷地権の分も動き、申請書には敷地権の種類と割合を書きます。相続登記は、相続の開始と所有権取得を知った日から3年以内の申請が義務です(76条の2・2024年4月1日から)。令和6年4月1日より前に相続したことを知り、相続登記がされていない不動産は、2027年3月31日までに申請します。
敷地権の表示がないマンションには73条の特則は及ばず、土地の所有権持分がある場合は土地の登記記録で名義が動きます。相続登記でも売買でも、建物と土地の両方を登記事項証明書で確かめます。分離処分が禁止されている建物でも、敷地権の登記の前の処分は、その無効を善意の相手方に主張できないからです(区分所有法23条)。

登記事項証明書を1通取るところから
土地の権利の形は、築年や売り主の説明ではなく、登記事項証明書の表題部に敷地権の表示があるかで決まります。表示があれば部屋の登記に敷地権の分も含まれ、なければ土地の持分などを別に確かめて申請します。相続や売買の前に法務局で取り寄せ、種類と割合の欄まで目を通しておきましょう。迷うときは司法書士などの専門家に相談を。


