事業経営や不動産経営を行う白色申告者には、「記帳義務」と「帳簿書類の保存義務」があります。青色申告者に比べて、簡易な方法での記帳が認められており、書類の一部については保存期間が短い場合があります。

青色申告者しか受けることができない特典はたくさんありますが、あえて白色申告を選択するという方もいると思います。上記二つの義務を具体的に見ていくと次のようになります。

白色申告者の2つの義務

1. 記帳義務

売上などの収入金額、仕入や経費に関する事項について、取引の年月日や相手方の名称、金額等を帳簿に記載していきます。単式簿記が認められていますので、売上高や、仕入高と言った所得(利益)を計算するために必要な金額の記入のみで大丈夫です。

売上高の入金による預金の増加など、貸借対照表に関連する数字の記入は必要ありません。現金売上や現金仕入の日々の合計額の一括記載、掛売上や掛仕入についての日々の記載の省略など、全般的に簡易な帳簿への記載が認められています。

2. 帳簿書類の保存義務

帳簿や書類については、その種類ごとに保存期間が決まっています。帳簿とは、事業者自らが作成した帳面の事です。帳簿は、法定帳簿と任意帳簿に分けられます。

・法定帳簿 収入金額や必要経費を記載した帳簿
・任意帳簿 業務に関連して作成した法定帳簿以外の帳簿(任意作成の現金出納帳など)

書類とは、決算に関して作成した棚卸表や、請求書・領収書などのことをいいます。
それぞれの保存期間は次のようになります。

・法定帳簿 7年
・任意帳簿 5年
・書類   5年

推計課税を防ぐための記帳と帳簿書類の保存


2014年以降、全ての白色申告者は上述の記帳義務と帳簿書類の保存義務を負わされるようになりました。義務を果たしていないからといって罰則があるわけではありません。

しかし、税務調査があった場合に記帳や書類の保存が十分でないと推計課税という課税の仕方をされる可能性があります。推計課税とは、帳簿書類などで税額を計算することが難しい場合において税務署が税額を確定させるための方法です。納税者の財産の増減などにより、売上高や経費を推測して所得及び税額を決めます

推計課税されると、実際よりも多額の税金が課税される可能性があります。税務調査があるかどうかは時の運次第ですが、いざという時のためにもしっかり記帳と書類の保存をしておきましょう。経営の分析などにもきっと役立つはずです。(執筆者:高垣 英紀)