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【生前贈与で節税対策】生前から比較的簡単に取り組めること5つと注意点

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【生前贈与で節税対策】生前から比較的簡単に取り組めること5つと注意点

時がきたら誰もが必ず直面する「相続」。

ある一定の額に達しないと、相続税とは無縁であるものの、2015年に行われた相続税の基礎控除額が引き下げられたことで、その対象者は一気に増えることになりました

さらに40年ぶりに相続に関する民法の大改正が行われ、2019年の1月からは順次施行されることが決定されています。

遺産をめぐる「争族」トラブルに巻き込まれないよう、「生前対策」を行うことで、相続が発生してもスムーズに申告を進めることが可能となります

今回は相続が始まる前にやっておくべき、生前にできる節税対策をご紹介します。

生前贈与で節税対策

1. 年間110万円以内の贈与対策!

贈与をすると「贈与税」がかかるのでは? と思われる方も多いと思いますが、年間110万円以内に納めれば無税にすることができます。

例えば子供が3人いたとして、20年間に渡り贈与をすると、

3人 × 110万円 × 20年間 = 6,600万円

預金が無税となります

一人に対して年間110万円以内ではなく、人数に関係なく年間110万円以内です

預金の額が大きければ大きいほど、これは早く対策できるに越したことはありません。

ただし、贈与にあたっての注意点が3つ。

注意点1. 相続開始前3年以内の贈与は課税対象となる

相続が発生する3年以内に相続人へ贈与を実施していた場合は、相続税の対象となる財産として定めらているため、注意が必要です。

注意点2. 贈与の都度、「贈与契約書」を作成する必要がある

はじめから、「3人の子供へ20年間、毎年110万円を贈与する」といった契約をすると、意図して6,600万円を贈与するつもりだったとみなされるため、課税対象となってしまいます。
(このことを「連年贈与」と呼びます)

贈与する際は面倒でも、都度贈与契約書の作成をしましょう。

注意点3. 通帳やカードの管理は親がしない

子供へ贈与したものの、その振込先の通帳やカードを親が管理していた場合、実質的な支配及び管理は贈与者である親が行っているとみなされ、課税の対象となる可能性があります

通帳・印鑑・カードなどは子供へ託しましょう。

2. 巨額の財産の場合、110万円以上の贈与で大幅節税!

巨額の財産の場合

数億円規模の財産がある場合は、毎年110万円以内なんてカバーしきれない! という資産家も存在するかと思います。

そういう方の場合は100万円以上の贈与をしてしまい、あえて贈与税を支払うことで有利になる場合があります

例えば財産総額5億円あるSさんの将来の「相続税」は1億3,800万円(相続税税率:約30%)とします。

そこに節税対策で2人の子供に年間500万円ずつ、合計1,000万円を毎年10年間贈与します

500万円に対する贈与税は

48万円/年 × 2人 = 96万円

の贈与税を10年間継続して支払います。

贈与税として支払う額が960万円

そうすると何もしなかった場合の相続税は1億3,800万円のままですが、毎年500万円を2人の子供に10年間贈与していた場合は相続税は9,800万円、贈与税が960万円で合計1億760万円の相続税になります。

何もしないときと贈与した場合では3,040万円も節税できていることになります

ただし、この贈与税を支払って活用する場合の注意点が1点あります。

注意点

贈与をして有利に動く場合のラインが財産額2億円以上なので、相続税負担率が低い場合は贈与 + 贈与税の支払いで不利になるケースがあります。

どちらが有利かを正確に見極めるには税理士へ相談をしてみると良いでしょう。

3. 「相続時精算課税制度」で、収益不動産を節税!

相続時精算課税制度」は賃貸不動産を子や孫に贈与することで、賃料収入の蓄積を防ぐ相続税対策です

賃貸不動産を所有している場合、定期的な賃料収入があると相続財産が増えていきます。

そこで収益不動産を「贈与」をすることで、この賃料収入は子や孫に入ることから、相続財産の蓄積を防ぎながら、子や孫の財産にすることが可能です。

この制度を適用すれば、20歳上の子や孫に対し、2,500万円までの贈与であれば非課税になります

相続時精算課税制度を利用する際の注意点は3点あります。

注意点1.

賃料収入が子や孫に振り込まれるようになった後は確定申告も必要になるので、注意してください。

注意点2.

賃料収入は建物の名義人に帰属します

贈与後は賃貸人変更を子や孫にし、賃料収入が振り込まれる口座を変更しましょう。

注意点3.

この制度を利用する場合は、先にご紹介した年間110万円以内の生前贈与は利用不可となります。

今後、生前贈与を利用した相続対策を行わないという場合のみ検討すると良いでしょう。

4. 教育資金贈与で1,500万円まで非課税

孫に教育資金贈与

祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合に非課税の対象となる制度があります

具体的な制度としては、孫などに対して1,500万円までの範囲内で教育費を一括贈与できる制度で、教育資金として、金融機関等との一定の契約に基づき、金融機関が取り扱う「教育資金贈与信託」というものを活用します。

例えば、孫の学費がこれからかかってくる場合に、祖父母がこの特例を使用すれば、1,500万円まで一括贈与をしても贈与税が無税となります

この教育資金贈与を活用する際の注意点は大きく2点。

注意点1.

贈与を受けた孫は30歳までにこの教育資金を使い切る必要があります

もし、使いきれなかった場合はその残額に対して贈与税が課税されてしまいます。

注意点2.

この制度を適用するためには「信託銀行等の金融機関」と「教育資金管理契約」というものが必要になります

この契約はほとんどの銀行で取り扱っているので、普段利用している金融機関へ相談してみましょう。

5. 「おしどり贈与」で基礎控除110万&最高2,000万円までの贈与税を無税に

おしどり贈与

おしどり贈与」とは配偶者に2,110万円分までの自宅を贈与できる方法です。

夫婦は20年以上の婚姻期間があることが条件です。

夫婦間で居住用不動産の贈与が行われた場合、基礎控除が110万円適用される他、贈与税が最高2,000万円まで非課税となります。

「おしどり贈与」を適用する場合の注意点は3点あります。

注意点1.

居住用不動産を贈与、購入するための贈与であることです。

長年連れ添った夫婦に自宅を2,000万円分まで無税で贈与することを認めるものなので、単純にお金を渡すだけでは贈与税の対象外となります

注意点2.

贈与税の配偶者控除は一度しか適用されません

ただし、再婚相手が変わっており、かつ20年以上の婚姻期間があれば再度適用することは可能です。

注意点3.

居住用不動産の贈与を受けた配偶者が贈与を受けた年に死亡した場合。

相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に贈与税の申告書を提出すれば、贈与税の配偶者控除の適用を受けることが可能です。

さいごに

以上、生前贈与を活用して相続税対策ができる5つの方法をご紹介しました。

この他にも生命保険や不動産を活用した生前対策などがありますが、今回は比較的手軽に取り組める生前対策をご紹介させていただきました。

適用されるか分からない、相続税対策をしたいとお考えの方は相続を専門にしている税理士へ相談をすると良いと思います。(執筆者: 荒巻 善宏)

《荒巻 善宏》
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荒巻 善宏

税理士法人チェスター 代表 2004年同志社大学卒業、同年、公認会計士第二次試験を合格し、監査法人トーマツへ入所。その4年後、共同代表の福留正明と相続税を専門とする税理士法人チェスターを設立。相続税申告実績は税理士業界でもトップクラスの年間1,000件以上(累計3,000件以上)を取り扱う。 相続税申告サービスやオーダーメイドの生前対策、相続税還付業務等を行う。 <保有資格>:税理士・公認会計士・行政書士・ファイナンシャルプランナー 寄稿者にメッセージを送る

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