【読者の質問に「荻原博子」が回答】両親が懸命に貯めたお金を受け継いだ。失いたくない大切なお金の預け先は?

マネーの達人読者さまからのお便り

「マネーについては全くど素人です。去年田舎の両親が一生懸命働いて貯めたお金を受け継ぎました。いつも私や孫達の事を大切に想ってくれていた両親でした。2人ともサラリーマンでしたので決して大金とは言えませんがせっかく遺してくれた預金を紙切れにはしたくありません。
現在の日本経済世界経済をみると不安定でバブルのように感じてしまいます。資産防衛に最適な方法を教えて頂けないでしょうか。」アラフォー主婦さまより

失いたくないお金なら、しっかり銀行や郵便局に預けておきましょう

くれぐれも、投資などしようとは思わないように。

金融庁が、今年3月末までに国内29の銀行で投資信託を買った個人客を調べたところ、46%が損をしていることがわかりました

中には、10%から50%の損を人も約1割いて、50%以上損をしているという人もいました

投資は、儲かることもありますが、損をすることもあります。

だとしたら、

失いたくないお金を投資などにまわしてはいけません

こういうと「でも、銀行に預けておいても、ほとんど利息がつかないじゃないか」という言葉が返ってきそうですが、今はデフレという状況です。

荻原博子さんが読者の質問に回答

デフレはまだ続きます

以前の記事で書きましたが、デフレでは物の価値が下がって相対的に貨幣価値が上がります

銀行に預けても利息はつかないかもしれませんが、預金しているお金の価値は上がっているのです。

しかも、すでに経済は世界的に減速方向に向かっています。

こんな時に投資するなら、投資資金を失っても後悔しない覚悟が必要です。

世界経済だけでなく、日本経済にも、今後3つの大きな減速要因があります。

減速要因1:アメリカとの貿易摩擦による経済の減速

日米問題

トランプが迫るFTAで、日本経済は振り回される

9月の米首脳会談で、安倍首相はトランプ大統領と二国間の自由貿易(FTA)のスタートに合意させられてしまいました。

このニュースを、政府は日米物品貿易交渉(TAG)という新しい枠組みだと発表しました。

外務省の共同声明の日本語訳

「日米物品貿易協定 (TAG)について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する。」

原文

for a United States–Japan Trade Agreement on goods, as well as on other key areas including services, that can produce early achievements.

アメリカ大使館のサイトの日本語訳

「早期に成果が生じる可能性のある物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定の交渉を開始する」

FTAはどうなったか?

安倍首相が「FTAしはしない」と言い張ってきたので、政府も「FTAとは異なる」と苦しい言い訳を編み出したのでしょうが、これは明らかにFTAで、アメリカのペンス副大統領も「FTA交渉を始める」と言っています

しかも、この日本とのFTAの中に、トランプ政権は「為替条項」という、貿易相手国が不当に為替で自国通貨を安くしたら、アメリカがこれに報復するぞという条項を盛り込もうとしています

すでに、新しい北米自由貿易協定(NAFTA)には、通貨安誘導への報復措置を認める「為替条項」を盛り込んでいると公表していています。

日本は、日銀が大幅な金融緩和で円安になっているので、これをネタに「為替操作国」の疑いをかけられた経緯もあるので、この条項を盾にアメリカに有利な条件を引き出されて、さらには円高に向かう可能性が充分にあります

減速要因2:オリンピックが終わることで予想される不況

オリンピック不況

借金減らして、現金増やせ

オリンピック後の不況については、いろいろなところで言われています。

私も3年ほど前に自著「10年後破綻する人、幸福な人」でなぜ起きるのかということを詳しく書いたのでここでは割愛しますが、

「カジノが成長戦略」

などと情けないことを言っている状況では、まずこのオリンピック後の不況は避けられないでしょう。

減速要因3:日銀の金融緩和の副作用が引き起こす金融不安

出口の見えない金融不安

いまや日本の金融機関は、日銀の低金利政策で首を絞められ、カードローンでの無理な貸付や、やってはいけない「かぼちゃの馬車」のような融資に手を染めるしかないところまで追い込まれています。

 関連記事:なぜ業者は「儲かる投資」をわざわざ人にすすめるのか? 本当にうまい儲け話なら、自分でやるはず。

しかも、日銀そのものが、日本の国債の4割を所有し、上場企業の約4割の大株主になっているという異常な状況で、先々どうなるのか見えません

この、出口が見えない金融政策が、黒田総裁退陣後に日本経済にどのような悪影響を与えるのかは誰にもわからない状況。

わかっているのは、

やりっぱなしの政策の後始末をするには、かなりの痛みを伴う

ということだけです。

アメリカ株も調整局面に入り、アメリカと中国の貿易摩擦などさまざまな問題を抱える中で、世界経済も減速し始めています

このまま世界不況になると、金利の引き上げをしてきた欧米は金利を下げて経済を底支えするという手が打てますが、これ以上金利を下げられない日本は、打つ手なし。

そんな厳しい経済環境の中で虎の子の大切なお金を守ろうと思ったら、借金があったら返し、借金がないなら現金で失わないように貯金しておくのが賢明でしょう。(執筆者:荻原 博子)

この記事を書いた人

荻原 博子 荻原 博子»筆者の記事一覧 (36) http://www.ogiwarahiroko.com/

経済ジャーナリスト
1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「どんとこい、老後」(毎日新聞社)、「お金は死ぬまえに使え」(マガジンハウス)、「ちょい投資」(中央公論新社)など著書多数。
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