前回はつみたてNISAの商品特性や、選び方・組み合わせ方の考え方を解説しました。

第7回目となる今回は、つみたてNISAの「運用方法」にスポットを当てて考察してみたいと思います。

初心者の方からすると「何かした方が良いのではないか?」と考えると思いますが、ここにつみたてNISAでの資産運用がうまくいきやすい人と、そうでない人との差があると筆者は考えています。

つみたてNISAに大きな期待を抱かない

つみたてNISAしたから お金がどんどん 増えちゃうかな~

「つみたてNISAで買えるものは利益がすごい!」と考えるのは初心者の落とし穴です。

基本的に投資信託は長期分散積立投資に向いている金融商品です。

ただ、特別に儲かる金融商品というわけではありません。

単一指数の投資信託の場合、基本的にどれを買ってもその対象の市場の平均と同じような成績になることが予想されます。

そして複数指数(バランス型)の場合は、単一指数よりも控えめな運用成績になるでしょう。

1年間という期間で区切って考えた場合、頻繁に20%程度の値下がりをすることがあります。

また、世界的な金融危機が発生すれば半分程度になることもあるでしょう。

そのため過度に「つみたてNISAに期待している」人の場合、その年の経済状況によっては「せっかく始めたけど、あんまり良くないな」と感じてしまうことも十分に考えられます。

途中解約できることはデメリット

つみたてNISAのメリットとして「いつでも解約できる・現金化しやすい」というものがあります。

これは初心者の方にとっては、メリットであると同時にデメリットである、とも思います。

つみたてNISAで投資を始めても、わりと頻繁に目減りをする時期が来ることが予想されます。

経済全体が不況の時は、「せっかく始めたけど、あんまり良くないな」と感じてしまうがゆえに「売ってしまう・解約できてしまう」という、積み立て投資での資産形成においてのミステイクを誘発しやすい一面があるからです。

運用成績が悪い時ほど、人は投資信託を売ってしまいやすいので、いつでも解約できることは初心者にはデメリットだと考えます。

積み立て投資で将来の収益率を上げる方法

つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)で将来の資産額を大きくする方法はシンプルです。

それは

景気が悪い時にも積み立てを中止しない

ことです。

例えば、つみたてNISAで資産形成をしている人がいるとします。

金融危機時などに次のように考えるのは資産形成がうまく行かない典型的な考え方ではないでしょうか。

「つみたてNISAで選んで積み立てている投資信託が軒並み値下がりしている」

「変なものを選んでしまった。これではだめだ」

「損失を広げたくない! そうだ! 売ってしまおう!(損切りなどと呼ばれる行為)」

よくある考え方かもしれませんが、これでは資産形成が思うようにいきません。

積み立てによる資産形成において重要な行動は、「安い時にも積み立てを続けることにより、将来的に高い時に売り、大きな資産を手にする」ことにあります。

金融危機時などに、慌ててつみたてNISAを解約するのは、かえって資産運用を難しくしてしまう行為です。

安い時に売らず、買い続けることがつみたてNISAのコツです。

積み立て投資での正しい金融危機時の考え方

積み立て投資における金融危機時の合理的な考え方はどのような物でしょうか。

筆者の考える一例は次のようなものです。

「つみたてNISAで選んで積み立てている投資信託が軒並み値下がりしている」

「やった! これで将来の期待収益率が上がるぞ! もっと下がったらうれしいな!」

「絶対に売らないぞ! だって今売ったら大チャンスを逃すことになってしまうもの!

私が今するべきことは「何もしない」で積み立てを続けるだけだ!(結果として何もしない)」

文章にすると非常にシンプルですが、多くの場合は、人の持つ損失回避的な心理が影響して、先ほどのように反対の感情を生み出し、損をしやすい行動を誘発しがちです。

つみたてNISAで投資信託の価格が下がったら、本当は喜んでいいと思っています。

つみたてNISAでの20年後の出口戦略を考える

つみたてNISAでの20年後の出口戦略を考える

つみたてNISAでの非課税枠の20年という期間がたった後の、出口戦略はどのようにしたら良いのでしょうか。

売るべきでしょうか?

いいえ、筆者は「すぐに解約をしないと生活費が足らない事態でない以外は、売らずに「何もしない」でいい」と考えています。

※仮に一括投資(積立ではない)をして、運用利率3%で運用できた場合のお金の増え方(税・手数料無視)図表は筆者作成

【期間10年】

元本40万円 → 53万円
元本100万円 → 134万円

【期間20年】

元本40万円 → 72万円
元本100万円 → 180万円

【期間30年】

元本40万円 → 97万円
元本100万円 → 242万円

【期間40年】

元本40万円 → 130万円
元本100万円 → 326万円

上記はあくまでも一括投資でのシミュレーション一例ですが、つみたてNISAでも、非課税期間が終わった後も「何もしない」ことでお金が大きくなる可能性があります。

非課税期間が終わった投資信託は売らず、そのまま放っておいて成長させてもいいのです。

そして、老後など公的年金だけで生活ができなくなった時に、初めて取り崩せばよいだけではないでしょうか。

もちろん、現役時代であればその他のiDeCoやつみたてNISAでの積み立て投資は継続していて構いません。

積み立て投資の基本的な考え

本記事ではつみたてNISAでの運用方法について考察しました。

・ つみたてNISAの投資対象は大きく下がることがある

・ 積み立て投資では安い時は「うれしい時」

・ 大きく下がっても何もせず、安い時に買うことが重要

・ 20年たっても収入がある現役時代なら無理に売らず、売るのはお金が必要な時

この考え方はiDeCo(個人型確定拠出年金)でも通常の課税口座で行う積み立て投資においても基本的に共通だと考えています。(執筆者:佐々木 裕平)

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