【高額介護合算療養費制度】概要や注意点 「医療費」と「介護費」の重なる自己負担額を軽減 

50代以降、年を経るごとに増えていくものの1つとして、医療費と介護費があります。

高齢化社会では1つの世帯で両方の費用が同時期にかかることも珍しくなく、負担は軽いものではありません。

そんなときには、医療費と介護費の自己負担額軽減策として「高額介護合算療養費制度」を利用することができます。

「高額介護合算療養費制度」とは?

介護と医療

高額介護合算療養費制度とは、毎年8月から翌年7月31日までの間に支払った医療保険と介護保険の合算額が、決められた額を超えた場合、差額を支給してもらえる制度です。

上限額の一例としては、70歳以上の課税世帯で年収約370万円未満の場合は、1年間の上限額は56万円、同じく70歳未満の場合は上限額60万円です。

このように、年齢と収入によって自己負担の上限額が決められています

なお、

・ 医療費の自己負担が上限額までになる「高額療養費制度」

・ 介護費の自己負担が上限額までになる「高額介護サービス費制度」

を利用している場合は、両制度にて支給された額を引いたうえで高額介護合算療養費制度の計算を行います。

(参考:厚生労働省 高額介護合算療養費制度について(pdf))

「高額介護合算療養費制度」利用の条件

医療保険と介護保険を合算するにあたっては、世帯内で同じ医療保険であることが条件です。

また、70歳未満の方の医療保険は、1医療機関あたり1か月の自己負担額2万1,000円以上(入院、外来、医科、歯科全て別々にして計算)の場合のみ、高額介護合算療養費制度にて合算可能です。

支給額の一例

介護サービスを受けている69歳の母

年収550万円の41歳の息子と同じ医療保険に加入

年収370万円~770万円で70歳未満の場合は、負担上限額が67万円です。

69歳の母が介護サービス費を年間44万円自己負担して、年収550万円の41歳の息子が医療費を年間48万円自己負担した場合、44万円と48万円を合わせた額の92万円から、高額介護合算療養費の上限額である67万円を引いた25万円が支給されます。

「高額介護合算療養費制度」利用の手順

申請書を出す

介護保険の運営元である市区町村への手続きと、加入している医療保険組合への手続きの両方が必要です。

1. 介護保険を運営している市区町村に「支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書」を提出して、介護保険を利用している者への支給申請と自己負担額の証明書請求をします。

2. 申請書を受けた市区町村から「自己負担額証明書」が交付されます。

3. 世帯で加入している健康保険組合などに「自己負担額証明書」を添付して支給の申請をします。

4. 健康保険組合などが支給額を計算して、市区町村に支給額を連絡します。

5. 健康保険組合などから「高額介護合算療養費」、市区町村から「高額医療合算介護サービス費」が請求者へ支給されます。

「高額介護合算療養費制度」利用の注意点

介護保険か医療保険のどちらかの自己負担額が0円の場合は、高額介護療合算養費制度を利用することができません

また、入院時の食費や差額ベッド代、住居費なども支給の対象にはなりませんので注意しましょう。

公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」によると、介護に関して以下のような結果が出ています。

一時的にかかった費用の平均:69万円

月々にかかった費用の平均:7万8,000円

介護期間の平均:4年7か月(55か月)

金額も期間もあくまで平均値ですが、平均寿命が延びている現状を考えると、思わぬ費用がかかってしまう可能性もゼロではありません。

流動的に使える資金をある程度用意しておくと、本当の意味での転ばぬ先の杖となります。

介護費や医療費が増えてしまう前に、できる限りの対策を考えてみるといいかもしれません。(執筆者:大川 真理子)

この記事を書いた人

大川 真理子 大川 真理子(おおかわ まりこ)»筆者の記事一覧 (22) https://fpsoudanmado.goodlp.jp/

グッドライフプランニング代表
AFP・2級ファイナンシャルプランニング技能士。元々病院受付の仕事をしていたが「診察代が結構かかる」という患者さんとの世間話をきっかけに医療費を始めとしたお金の勉強を始める。現在は、講座・相談業務・執筆を中心としたファイナンシャルプランナーの活動を行う。趣味は梅酒作り。
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