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保険の解約を検討する場合の手順と計算方法 支払いが苦しくなったらまずは確認。

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保険の解約を検討する場合の手順と計算方法 支払いが苦しくなったらまずは確認。
「毎月の保険料が高いので見直したい。」

「今解約すると損をするけど続けなければいけないの?」

「保険で資産形成を考えていたけど、つみたてNISAの運用に変更したい。」

新型コロナの影響で働き方が代わり、収入の見通しが変化すると気になるのが毎月の出費です。

2020年3月の急落相場で投資を初めた方のなかには「早くも高い利益が出ていて資産運用の魅力を知った」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

・ 生活費の捻出のために、保険料を下げたい。

・ 毎月5万円も保険料を払うなら、株や投資信託で運用したい。

このように悩まれている方のために、保険の解約を検討する場合の手順をお伝えします。

加入している保険の種類と目的を棚卸しする

保険の大前提は、「まさか」が起きた時の保障です。

まさかのときのための保険

生活資金や投資資金捻出のために保険を解約することで、家族を守れなくなっては意味がありません。

保険は「わずかな人にしか起きない不運を経済的にカバーするためのもの」です。

・ 世帯主が突然に帰らぬ人になってしまった。

・ 若くしてガンになり、その後何度も入退院を繰り返して医療費が膨大になった。

このような、人生が変わってしまうような万が一の不運が起きてしまった人を助けるために保険は存在します。

このような保険の仕組みを相互扶助と言います。

一般的に保険で保障すべき優先順位

【保険加入の優先順位】

1. 世帯主の死亡保障

2. 医療保障

3. 配偶者の死亡保障

4. 教育資金・老後資金の準備と保障

夫婦2人ともフルタイムの共働き世帯は「3. 配偶者の死亡保障」を考慮せず、「1. 世帯主の死亡保障」を夫の死亡時、妻の死亡時の場合で分けて経済的リスクを考える必要があります。

保険証券を全部出してみて、あなたの加入している保険の保障内容をこの分類通りに並べてみてください。

例えば、

「ガンの保障が手厚い医療保険」→ 2. 医療保障

「米ドル建ての年金保険」→ 4. 教育資金・老後資金の準備と保障

といった具合です。

保険料が多い人に見られる傾向

私がFPとして相談業務を行っていると、「保険料が高過ぎるので見直したい」とおっしゃる方の多くが、この分類の優先順位を考えないで保険に加入しています。

「医療保険に毎月2万円も払っているのに、死亡保障型の保険にはほとんど入っていない」というケースなどは典型です。

老後の積立用の保険に手厚く入っているが、死亡保障が十分ではないというケースも見受けます。

しかし、今入っている保険を解約すると、

「今まで払った保険料がもったいない。」

「今解約すると元本割れする。」

という思いがあり、なかなか見直しを進められない人は多いのです。

保険の見直しを考える際には、自身にとって必要な保障を導き出すことで、保険の取捨選択を冷静に行えます。

必要な死亡保障金額の計算方法

必要な保険の計算方法

自身に必要な保険を考える場合の手順は、死亡保障から考えることです。

自身に必要な死亡保障のための保険は、以下の手順で導き出せます。

手順1. 残された家族の生涯の支出を計算する

残された家族の生涯の支出は次のように計算できます。

ア. 配偶者と子供の毎年の生活費 × 子供が自立するまでの年数

イ. 配偶者1人の生活費 × 子供が独立後に配偶者が生きる年数

ウ. 教育資金、葬儀費用、結婚援助などイベント支出

生活費のうち、住宅ローンを抱えている方は、世帯主が亡くなることで住宅ローンがなくなりますが、管理費や修繕費などの維持費がかかることに注意しましょう。

手順2. 配偶者の収入を把握する

配偶者の収入を計算する際には、生涯年収を計算する必要があります。

この時に、配偶者の老齢年金も忘れずに計算する必要があります。

手順3. 社会保険を把握する

社会保険を把握する際には、死亡保障、医療の保障、老後保障を分けて考える必要があります。

ここではまず死亡保障を見ていきます。

社会保険における死亡保障とは、一般的に「遺族年金」のことです。

遺族年金には、子供か子供がいる配偶者に支給される遺族基礎年金と、配偶者に終身で支給される遺族厚生年金があります。

ここでは年金の詳しい仕組みは割愛しますが、大枠の考え方として「残された家族の自立を最低限支援する制度」と考えると理解しやすいと思います。

例として、以下の家族の場合で簡易的に計算してみます。

夫:30歳、年収600万円、月収50万円
妻:30歳、年収70万円、夫の扶養
子:3歳、大学まで進学予定

【夫が死亡した場合の遺族年金】

遺族基礎年金:
約100万円/年、妻は子が高校を卒業するまで受け取れる。

遺族厚生年金:
約61万円/年、妻は生涯受け取れる。

中高齢寡婦加算:
約58万円、妻は遺族基礎年金が終了してから65歳まで受け取れる。

なお、妻が正社員として働いて十分収入があり、65歳以降に老齢厚生年金を受け取る場合、遺族厚生年金の額が老齢厚生年金の額より小さい場合は、遺族厚生年金は支給停止になります。

また、夫の死亡時に妻が30歳未満である場合は遺族厚生年金は5年の有期になります。

妻の年収が夫の死亡時に850万円以上あると遺族年金は支給されません。

年齢が若い妻、年収が高い妻は自立できる可能性が高いと判断されているものと思われ、保障が限られてしまいます。

手順4. 企業の保障を把握する

企業が従業員に付加している保障は、かなりのバラツキがあります。

主に確認すべき制度は、死亡退職金、弔慰金、教育資金の保障です。

大手企業だと、遺族のために死亡退職金と弔慰金の制度を準備しているケースは少なくありません。

お勤め先の福利厚生ガイドブック等に目を通しておきましょう。

基本的に死亡退職金と弔慰金は、就業年数、役職、年齢などによって段階的になっています。大まかに言うと、会社に尽くした人ほど手厚いということです。

年齢が高くても、転職で入ってきたばかりの場合、死亡退職金の額が十分ではない場合がありますので、注意が必要です。

子供がいる家庭に万が一のことがあった場合、年間に100万円以上の教育資金を給付する会社もあります。

このような、社員の家族に優しい制度を持つ企業は素晴らしいと思いますが、社員の方々が制度を把握してないケースが多いというのが実情です。

手順5. 貯蓄でカバーできそうかを検討する

貯蓄が十分にある場合には保険は不要という通説があります。

しかし、貯蓄は使うと減ってしまうことに注意が必要です。

海外留学や独立起業などで資金が減ってしまう予定はないかを確認する必要があります。

手順6. 民間の保険を検討する

ここまでで、以下のプロセスを見てきました。

(1) 残された家族の生涯の支出を計算する

(2) 配偶者の収入を把握する

(3) 社会保険を把握する

(4) 企業の保障を把握する

(5) 貯蓄でカバーできそうか検討する

(1) の金額を、(2)~(5) の金額の合計で引き算をする必要があります。

配偶者の収入などは変化してしまうので、現状可能な限りで計算するしかありません。

例えば、(1) から(2)~(5) を足した数字を引いた答えが以下のようになったとします。

2億円 – 1億6,000万円 = 4,000万円

ここで初めて、民間の保険で保障すべき死亡保障の金額が4,000万円だということになります。

配偶者の死亡保障も同様に考えられます。

必要な医療保障を検討する

必要な医療保険はなにかを考える

医療保障を考える場合は以下の手順になります。

手順1. 社会保険の医療保障

病院で保険診療を受けた場合、現役世代が支払う医療費は、実際の医療費全体の3割です。

その他に大きな病気やケガをしてしまった際の、社会保険の保障内容もみておきましょう。

傷病手当金

傷病手当金とは、大まかに申し上げると、業務外の病気やケガで仕事を4日以上休む場合月の収入の約3分2が、最長で1年6か月受け取れる制度です。

この制度は、個人事業主が加入している国民健康保険にはありません。

高額療養費制度

高額療養費制度は、月の健康保険対象の医療費が自己負担限度額を上回った場合、自己負担限度額を上限に医療費が払い戻される制度です。

自己負担限度額は、収入によって異なります。

約3万5,000円~25万円を超える金額まで大分差がありますので、自身の年収の自己負担限度額は把握しておくようにしましょう。

その他の社会保険

その他に、介護保険、労災保険、雇用保険などもありますので、把握しておくことで保険の入りすぎを防げます

貯蓄は、介護費用、傷病による休業、失業時の生活費に当てられますので、万能であることは言うまでもありません。

全てを保険でカバーする必要はないことを覚えておきましょう。

手順2. 勤め先ならではの保障を把握する

付加給付は、勤め先が加入している健康保険組合によってある場合とない場合があります。

付加給付は、高額療養費制度で説明した毎月の医療費の自己負担額を、健保独自の規定でさらに引き下げるという制度です。

自己負担額は2万円前後に規定している場合もあります。

【1か月の医療費が100万円の場合】

月収が50万円位の方は高額療養費制度で自己負担額は約9万円です。

付加給付の規定がもし2万円ならば、自己負担額が9万円ではなく2万円で良いということです。

手順3. 貯蓄でカバーできそうかを検討する

よく保険の相談をする際に「貯蓄でカバーできるなら保険はいらない」というアドバイスを聞きます。

しかし、このように単純に考えることは危険です。

例えば、医療保険やガン保険を検討する際、胃ガンで1か月間入院し、医療費と差額ベッド代等の諸費用込みで、40万円がかかると想定したとします。

この場合、100万円や3,000万円の貯蓄がある人は、保険に入る必要がないのでしょうか。

もしくは3,000万円の貯蓄がある人は、保険に入る必要はないのでしょうか。

必ずしもそうとは言えません。

闘病が長引くリスク

例えばガンであれば最近は治るケースが増えています。

治るケースが多いということは、生きている以上再発する場合や別のガンになるリスクもあるということです。

5年に1回ガンになり、1回あたりの治療費を諸費用込みで40万円とすると、25年で200万円かかります。

もし、そのうち1回でも先進医療を利用した場合、先進医療の金額を300万円とした場合、この例ではガンの治療だけで、500万円も支出したことになります。

高齢になる程、かかる病気はガンだけとは限りません。

現在は、病気によっては入院保障が無制限という保険もあります。

銀行で勤めている時に、

「主人が長期入院でいつ退院か全くめどが立たない。医療費はずっとかかるので、定期預金を下ろしに来た。」

というお客様はいらっしゃいました。

医療費のために資産を取り崩すのは非常に不安なものです。

中には、家族に資産を残すために治療を放棄する方もいるそうです。

病気になった時に、すでに資産を取り崩してしまっているということも考えられます。

貯蓄があれば保険は不要とは言い切れません。

手順4. 必要な医療保険を検討する

医療保険でカバーすべき保障は、社会保険や付加給付、貯蓄ではカバーできない医療費です。

そう考えると医療保険で押さえておくべき医療費が見えてきます。

・ 高額の先進医療の治療費

・ 再発を繰り返す複数回の治療費

医療保険は1回くらいガンで入院する程度を想定した場合、「入る必要はない」という結論になります。

しかし、老後に何度も入院を繰り返すことを想定した場合、繰り返し保険金が下りるものに入っておくと経済的理由で治療を諦めなければならない可能性を下げられます。

教育資金・老後資金の準備と保障

長期にわたる教育費

ここで考える教育資金と老後資金とはあなたが生きている場合を想定したものになります。

教育資金

教育資金は、計画的に貯めていく必要があります。

小学校、中学校、高校、大学は公立なのか、私立なのか、早めに計画しておきましょう。

大まかな計算ですと、私立だと教育資金は小、中、高、大それぞれで、年間100万円~130万円程度はかかると想定しておきましょう。

保険で教育資金を貯める場合、一般的に「学資保険」を利用します。

しかし、現在は低金利になっているので資産運用効果は乏しく、給与天引きで貯蓄ができる点や死亡保障がついているという点にメリットは限られています。

老後資金

保険で老後資金を準備する場合、終身年金受け取りを前提に考えると、「何歳まで生きるのか」という答えのないテーマを考えずに済みます

また、終身年金を前提に考えることでつみたてNISAやiDeCoなどのように取り崩しを前提とした資産とも分けて考えられます。

【終身年金で受け取りたい金額の計算式】

老後の生活に必要な資金 -(公的年金 + 企業年金 + その他の収入 + 資産を取り崩す額)= 終身保障の年金保険で毎年受け取る金額

上記の中で、企業年金、その他の収入、資産の部分は想定とズレが生じやすいので、保守的な計画で考えると良いでしょう。

保険を見直す

自身の保険が、適切に保障をカバーしているか見てみましょう。

毎月の保険料が高いと感じている方の多くは、医療保障か老後保障が手厚くなっている傾向があります。

一方で、その場合、保険料の割に死亡保障が薄いという場合が少なくありません。

掛け捨て型の保険は、多くの方が「不運が起きなければ返ってこないお金」と認識されえており、保障内容のグレードアップか、保険料の減額が可能ならば、見直しの判断は難しくありません。

今の保険に疑問を感じたら、すぐに行動しましょう。

保険はインターネットの比較サイトで閲覧できますが、10~20社の保険会社と提携している乗り合い代理店に相談する手もあります。

「代理店の人が会社に都合の良い商品を勧めてくるのでは?」という心配もあります。

その場合、インターネットで調べた保険料の安いプランを提示することで、顧客の知識が高いことを証明すれば、販売する側もクレームを避けるために最良の提案をしてくれる可能性が高くなります。

貯蓄型の保険の見直し

保険を見直すポイント

貯蓄型の保険は見直した場合の損失と、見直さなかった場合の機会損失を数字で比べることが有効です。

養老保険や個人年金保険のような、貯蓄型の保険も払込期間満了前に解約すると、元本割れするか、良くて払い込んだ保険料が取り返せる程度の金額になってしまいます。

【貯蓄型の保険の損失額の計算例】

毎月の保険料 × 払い込んだ月数 = 払い込んだ保険料の額

5万円 × 60か月 = 300万円

払い込んだ保険料の額 – 解約返戻金の額 = 解約した場合の損失額

300万円 – 210万円 = 90万円

損失額:90万円

ここの計算で重要なことは、「30%も損をした」という概念で判断するのではなく、「〇〇円」という金額で理解する必要があるということです。

保険を見直す場合の見込みの利益を計算する

例えば、子供が社会に出るまでの死亡保障を厚くするために、貯蓄型の保険を解約し、掛け捨て型の収入保障保険に入ったとします。

掛け捨て型の保険は、貯蓄型の保険と比較して、解約返戻金がない代わりに、少額で高い金額の保障を受けられます

保険料が浮いた分を、しっかり運用すれば、損失を埋め合わせられる場合があります。

具体例で見てみましょう。

例:5,000万円の死亡保障を付加するために、毎月の保険料が5万円の貯蓄型保険を解約月1万円の収入保障保険に加入した場合

個人年金保険の損失額:90万円(先述の「貯蓄型の保険の損失額の計算」より)

浮いた分の保険料4万円を30年間、投資信託で平均3%の運用ができた場合、払い込んだ金額の合計額は、1,440万円ですが資産は約2,330万円に増えることになります。

つまり、保険の見直しで得られるリターンは

2,330万円 – 1,440万円 – 90万円 = 800万円

です。

もし現在加入している毎月5万円の貯蓄型保険の30年後のリターンが800万円を下回っている場合、死亡保障のアップと、運用効率アップの可能性があるという結論になりますので、見直しの余地があるということです。

もちろん、資産運用に関しては年間3%で運用できるという保証はないので、リスクを理解したうえでの判断ということになります。

「年金保険に加入した時は、資産運用のことを全く知らなかったので、大きな金額で申し込みをしてしまったが、勉強をしたらうまく運用できる自信がついたので、保険の見直しをする。」という方は少なくありません。

保険の見直しをする場合は、必要な保障額を死亡と医療と教育・老後資金に分けて計算し、自身の保険がバランス良くカバーしているかを確認します。

アンバランスがあった際には、掛け捨て保険はすぐに商品を見直します。

貯蓄型保険は解約した場合の損失を金額で表し、その損失を埋め合わせる術があるか、いっそ許容してしまうかを検討するという手順で考えると、冷静に判断ができます。

入ってしまうと見直しが大変

このように考えると、保険は入ってしまうと見直しが大変になることがわかります。

とりあえず入るのではなく、加入は広く情報収集を行ったうえで慎重に検討しましょう。(執筆者:1級FP技能士 遠藤 功二)

《遠藤 功二》
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遠藤 功二

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し金融機関に就職。 証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当したが、雇われFPとして働くことに限界を感じる。FP資格やMBAをとっても、会社にお金で縛られていたら何もできない。「お金のためだけに働くつまらない生き方を他の人たちにはさせたくない。」という志をもち、お金が原因で不幸になる人を少しでも減らすべく、教育特化のFPとして奔走中。 寄稿者にメッセージを送る

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