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親の財産、どこに何がある?お盆に家族で作りたい「財産リスト」

税金 相続・贈与
親の財産、どこに何がある?お盆に家族で作りたい「財産リスト」
親の財産、どこに何がある?お盆に家族で作りたい「財産リスト」

相続でもめる原因は、遺産の分け方だけではありません。「どこの銀行に口座があるのか分からない」「証券口座や保険が見つからない」といった情報不足で手続きが止まることも少なくありません。お盆に家族が集まるこの時期は、財産を一覧にした「財産目録」を作り始めるよい機会です。書き方や記載する項目、注意点を整理します。

財産目録の基本と4つのメリット

財産目録とは、保有する資産と負債を一覧にまとめたものです。建物や土地、預貯金といったプラスの財産だけでなく、借入金などのマイナスの財産まで調べて記載します。

被相続人が生前に任意で作る場合と、相続発生後に相続人が任意で作る場合があり、こうした任意の財産目録に法律上の作成義務はありません。ただし、限定承認(相続人が複数いる場合は全員が共同で行います)をする相続人には相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出する義務が、遺言執行者には遅滞なく目録を作成して相続人に交付する義務が民法で定められています。任意で作る場合でも、目録があると相続の手続きが格段に進めやすくなります。

メリットは大きく4つあります。1つ目は、遺産分割協議を進めやすくなることです。財産の全体像が見えないまま協議を始めると、後から見つかった財産について協議をやり直すリスクがあり、「遺産を隠したのでは」という疑いからトラブルに発展しかねません。

2つ目は、相続税の申告に役立つことです。相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があり、正味の遺産額がこれを超える場合に相続税がかかります(国税庁)。財産を正しく把握できていないと、申告が必要なのに気付かないまま、後から税務署の調査を受ける可能性もあります。

3つ目は相続トラブルの回避、4つ目は遺言書作成の助けになることです。相続人の1人が財産を調べて一覧にしても、他の相続人から疑いの目を向けられることがあります。生前に本人が目録を作っておけば全体像を客観的に共有でき、どの財産を誰に渡すかを検討する遺言書づくりの土台にもなります。

財産目録に記載する項目の例

財産目録に決まった様式はありませんが、プラスの財産とマイナスの財産に分け、次のような項目を押さえて整理すると漏れを防げます。

親の財産、どこに何がある?お盆に家族で作りたい「財産リスト」

同じ金融機関に複数の口座を持っているケースもあるため、金融機関名だけでなく口座番号や残高まで書いておきます。美術品など同じような品が複数あるものは、色や製造年で区別し、写真を添えて特定しやすくしておくのもおすすめです。

財産ごとの記載ポイントと評価額の目安

預貯金は、作成時点の残高を通帳や取引明細で確かめて記載します。住宅ローンなどの借入れがあれば、マイナスの財産として残高も忘れずに書いておきましょう。

不動産は所在・地番や面積を記載し、評価額は土地と建物に分けて考えます。自分で使っている建物の相続税評価額は、固定資産税評価額に1.0を乗じるため固定資産税評価額と同じ額です。土地は路線価方式または倍率方式で評価し、路線価方式では路線価を土地の形状などに応じた補正率で補正したうえで面積を乗じ、倍率方式では固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します(国税庁)。なお、賃貸されている土地や家屋は権利関係に応じて評価額が調整され、令和6年1月1日以後に相続などで取得した居住用の区分所有財産(分譲マンション)は、区分所有補正率を乗じて評価する場合があります。

上場株式などの有価証券は、作成時点の株価を目安に記載しておきます。なお、上場株式の相続税評価では、原則として相続開始日の最終価格で評価しますが、その月・前月・前々月の各月の平均額のうち最も低い価額がそれを下回る場合は、その低い価額で評価できます。

自動車や時計、貴金属などのその他の財産は、名称・数量・評価額を記載します。1個または1組の価額が5万円以下の家庭用の動産などは、一世帯ごとに一括して評価できます(財産評価基本通達)。

相続税の申告で効く財産の区分

相続税の課税対象になるのは、現金・預貯金、株式や債券などの有価証券、土地・建物といった不動産、書画骨董品や車、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金、死亡退職金などです。相続や遺贈で財産を取得した人が被相続人から相続開始前の一定期間内に受けた贈与や、被相続人から相続時精算課税制度を適用して贈与された財産も、原則として対象に含まれます(一定の特例で除かれる財産があり、暦年贈与の加算対象期間は相続開始の時期により異なります)。なお、相続時精算課税で令和6年1月1日以後に贈与された財産は、贈与を受けた年分ごとに年110万円の基礎控除額(同じ年に2人以上の贈与者から相続時精算課税で贈与を受けた場合は贈与額に応じて按分)を控除した残額が加算対象になります(国税庁)。

一方、墓地や墓石、仏壇、仏具など日常礼拝をしている物(骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものを除く)や、宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈で取得し、その公益事業に使われることが確実な財産などは課税対象になりません。被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金と死亡退職金には、それぞれ「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があり、相続人が受け取った合計がこれを超えた部分だけが課税対象になります。なお、相続人以外の人が受け取った死亡保険金や死亡退職金には、この非課税の適用はありません。

また、被相続人の死亡時に現に存在し、確実と認められる借入金や未払金などの債務は、その債務を負担する相続人や包括受遺者が遺産総額から差し引けます。一定の葬式費用は債務ではありませんが、同じく差し引くことが可能です。ただし、生前に購入した墓の未払代金など、非課税財産に関する債務は差し引けず、差し引く人の住所や国籍などによっては控除の範囲が限られる場合もあります(詳細は国税庁の案内で確認してください)。目録の段階でマイナスの財産まで整理しておけば、こうした申告の計算の土台がそのまま使えます。

作成時の注意点。書式は自由でも詳細さが大切

財産目録に決まった書式はなく、手書きでもExcelなどのツールでも作成できます。自筆証書遺言に添付する自書によらない財産目録も、各ページ(両面に記載がある場合は両面)への署名押印のほかに特段の様式の定めはなく、パソコンでの作成が認められています(法務省)。

公的な様式を参考にしたい場合は、裁判所が遺産分割調停の申立書ページで公開している「遺産目録」の書式(土地、建物、現金・預貯金・株式等の3種類、PDFとExcel)が使えます。

もう1つの注意点は、財産を特定できる詳細さで書くことです。特に不動産は、相続税評価額や実際の市場価格などさまざまな評価額があるため、どの評価額を使ったかを明記しておくと後の混乱を防げます。自分だけで手が回らないと感じたら、司法書士や税理士などの専門家に相談するのも1つの方法です。

見える化した一枚が家族への何よりの備え

財産目録は、遺産分割協議・相続税の申告・トラブル回避・遺言書作成のすべてを支える土台になります。ポイントは、プラスもマイナスも漏れなく、財産を特定できる詳細さで書くことです。最初から完璧を目指す必要はありません。まず書ける範囲で一覧にし、通帳や登記事項証明書を確かめながら少しずつ精度を上げていきましょう。家族と話せるうちに財産を見える化しておくことが、何よりの備えになります。

《編集部》
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