※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事お金の価値観診断を更新「旅行・レジャーのお金のかけ方診断」2026年7月

協議書に判を押した後でも、遺産分割はやり直せる。知っておきたい条件と税金

税金 相続・贈与
協議書に判を押した後でも、遺産分割はやり直せる。知っておきたい条件と税金
協議書に判を押した後でも、遺産分割はやり直せる。知っておきたい条件と税金

遺産分割協議書に全員が署名し、相続の手続きは終わったと思っていたのに、後から新しい財産や相続人が見つかったり、話し合いに問題があったことが分かったりすることがあります。「もう判を押したのだから変更できない」と思われがちですが、実際には見直せるケースがあります。ただし、やり直せる理由によって手続きも税金も異なります。

協議書ができた後に問題が見つかったら

遺産分割協議書ができあがると、相続の話し合いは一段落したように感じます。ところが、あとから新しい財産が出てきたり、実は事実を隠されていたと分かったりすることは珍しくありません。いったん判を押した協議は、もう動かせないのでしょうか。

結論から言うと、一定の条件がそろえば見直せます。大きく分けて道筋は3つです。1つ目は、協議そのものが無効で、やり直しになる場合。2つ目は、勘違いやだましがあって、取り消せる場合。3つ目は、相続人全員が納得したうえで、あらためて分け直す場合です。

どの道を通るかで、手続きも、かかる税金も変わってきます。まずはこの3つの地図を持ったうえで、順に見ていきましょう。

新たな相続人や遺産が後から判明したとき

遺産分割協議は、相続人全員が参加して初めて成立します。一人でも欠けた協議は無効となり、あらためて全員でやり直すのが原則です。そのため、後から相続人の存在が判明した場合は、当初の協議をやり直すことになります。協議のときには分からなかった遺産が新たに見つかった場合も、その財産について分け方を決め直す必要があります。

ただし、例外があります。相続が始まった後に認知によって相続人となった人については、すでに遺産の分割が済んでいれば、分割のやり直しまでは求められません。この場合は、自分の取り分に相当する金額(価額)の支払いを他の相続人に請求できると民法で定められています(民法910条)。全員で分け直すのではなく、お金で調整するかたちです。価額の支払いに代えて不動産など現物で渡す場合は、課税関係が変わることがあります。

新たに見つかった遺産が少なく、当初の協議で「記載のない財産は誰それが取得する」と決めていたようなときは、その定めに従えば足りることもあります。どこまでやり直しが要るかは、見つかった財産や相続人の事情によって変わります。

勘違いやだましがあったときの取消し

納得できないという不満だけでは、いったん成立した協議は取り消せません。ですが、勘違い(錯誤)や、だまされた・おどされた(詐欺・強迫)といった事情があれば、取り消せる場合があります。

錯誤による取消しが認められるのは、その勘違いが法律行為の目的や取引上の常識に照らして重要なものであるときです(民法95条)。たとえば、多額の借金はないと聞いていたのに実際には大きな債務があった、といったケースが考えられます。動機の勘違いについては、その事情が協議の前提だと相手に示されていたことが条件になります。なお、取り消したい側に重大な不注意があったときは、原則として取消しは認められません。

だまされたり、おどされたりして判を押した場合も取り消せます(民法96条)。ただし詐欺による取消しは、事情を知らず、かつ過失がない第三者には主張できないという制約があります。取消しを考えるなら、勘違いやだましがあった事実を客観的に示せる資料をそろえておくことが大切です。

取消しには期限もあります。追認できる時(だまされたと気づいた時など)から5年、または協議の時から20年を過ぎると、取り消せなくなります(民法126条)。

相続人全員の合意による再分割

無効や取消しの原因がなくても、相続人全員が「もう一度分け直そう」と合意すれば、いったん成立した協議を解除して分け直すことができます。これは判例でも認められている考え方で、事情が変わって当初の分け方が実情に合わなくなったときなどに使われます。

ここで注意したいのが、全員の合意が欠かせないという点です。一人でも反対する人がいれば、合意による再分割はできません。その場合は、無効や取消しの原因があるか、行き先が決まっていない遺産があるかを検討します。有効な協議書で遺産全部の行き先が決まっている場合は、原則として遺産分割手続を行う余地がありません。無効かどうかで争いになるときは、先に民事裁判で有効性をはっきりさせる必要があります。

合意による分け直しは自由度が高い一方で、次に見る税金の面では思わぬ負担が生じることがあります。

分け直したときにかかる税金の考え方

遺産分割は、相続が始まった時にさかのぼって効力を生じます(民法909条)。そのため、無効や取消しの原因があって分け直す場合は、そもそも最初の分割がなかったものとして扱われ、税金も相続の範囲内で調整されます。

問題になりやすいのが、有効に成立した協議を、相続人全員の合意で分け直す場合です。このときは、当初の協議でいったん各自のものと確定した財産を、あらためて動かすことになります。国税庁の考え方では、こうして移った財産は相続で得たものではなく、贈与や交換によるものとして扱われることがあります。結果として、受け取った側に贈与税がかかったり、不動産などを渡した側に譲渡所得の課税が生じたりする可能性があります。

きっかけごとの違いを整理すると、次のようになります。

協議書に判を押した後でも、遺産分割はやり直せる。知っておきたい条件と税金

なお、相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。分け直しをしても、この期限は延長されません。期限との関係にも気を配る必要があります。

あわてず、自分のケースの道筋を見きわめる

協議書ができた後でも、遺産分割は見直せます。大切なのは、自分のケースがどの道筋にあたるかを見きわめることです。新たな相続人がいればやり直し、新たな遺産なら追加協議、勘違いやだましなら取消し、全員の納得があれば合意による再分割へ進みます。ただし合意で分け直すと税金が生じることがあり、申告期限も延びません。認知後の価額請求に現物で応じる場合も、税務上の扱いを確認しておきたいところです。迷うときは弁護士や司法書士、税理士などの専門家や家庭裁判所の窓口に相談しながら、一歩ずつ進めましょう。

《編集部》
この記事は役に立ちましたか?
+0
編集部

執筆者: 編集部 編集部

読者の皆様のマネースキルアップにつながる情報をお送りしていきます。 リリース窓口:contact@manetatsu.com 運営会社:株式会社イード

今、あなたにおススメの記事

編集部おすすめの記事