
家を売ろうと調べ始めると、最初に出てくるのが査定です。会社によって金額が変わると聞くと、どこまで信じてよいのか迷います。ですが査定額は、担当者の勘や希望で置ける数字ではありません。宅地建物取引業法は、価額について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければならないと定めています。
査定額は「価額の意見」で、根拠を示す義務がついてくる
査定という言葉は法律に出てきません。法律が定めているのは、売却を任せるときに結ぶ媒介契約のほうです。宅地建物取引業法34条の2は、媒介契約を結んだら、その宅地または建物を売買すべき価額またはその評価額を記載した書面を作成し、依頼者に交付しなければならないとしています。
そのうえで同じ条文の第2項は、価額または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定めています。査定額を出すことは、この「意見を述べる」場面にあたります。つまり売る側には、なぜその金額になったのかを説明してもらう手がかりが、あらかじめ用意されているわけです。
鑑定評価とは別のもの
似た言葉に鑑定評価があります。こちらは別の法律の世界です。不動産の鑑定評価に関する法律は、鑑定評価を「不動産の経済価値を判定し、その結果を価額に表示すること」と定義し、これを行うのは不動産鑑定士だとしています。同じ法律の36条は、不動産鑑定士でない人が不動産鑑定業者の業務に関して鑑定評価を行うことを禁じています。
不動産会社が出す査定額は、この鑑定評価ではありません。売却を任せてもらうために示す価額の意見です。相続税の申告や裁判で価格を示す必要があるなど、鑑定評価が要る場面かどうかで頼む先が変わります。
媒介契約を結ぶと動き出すこと
金額に納得して媒介契約を結ぶと、法律が定めた時計が動き始めます。

期間や報告の回数を依頼者に不利に変える特約は無効だと条文に書かれています。ただし、これらが働くのは他社に重ねて頼むことを禁じる専任媒介契約の場合です。複数社に頼める一般媒介契約では、期間や登録の扱いが変わります。
書面に書く項目はほかにもあります。売りたいのが既存の建物なら、建物の状態を診断する専門業者を紹介するかどうかについても、媒介契約の書面に記載することになっています。
金額より先に、根拠を聞いてみる
高い査定額を出した会社が、そのまま高く売ってくれるとは限りません。見るべきなのは金額そのものより、その金額をどう組み立てたかです。法律は根拠を明らかにするよう求めているので、遠慮なく尋ねてかまいません。複数社から話を聞くときも、金額を並べるのではなく、根拠の説明を並べて比べてみてください。


