
お墓を持たないという選択が珍しくなくなりました。ただ、遺骨をどこに置いてもよいわけではありません。墓地、埋葬等に関する法律は、焼骨を土に納めてよい場所と、施設を営むのに許可が要る場合をはっきり定めています。置き方を選ぶ前に、法律がどこに線を引いているのかを押さえておきましょう。
置き方ごとに、法律の関わり方が違う

同法4条1項は「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」と定めています。庭に埋めるという発想が出たときは、ここで止まります。
墓地とは、墳墓を設けるために都道府県知事などの許可を受けた区域を指します。納骨堂も同じく許可を受けた施設で、経営そのものにも10条1項の許可が要ります。管理料が安いという理由だけで施設を選ぶと、許可の有無を確かめないまま契約することになりかねません。
散骨は事業者向けの目安が示されている
散骨については、厚生労働省の研究事業から散骨事業者向けのガイドラインが示されています。そこでの散骨の定義は、適法に火葬されたあと、焼骨を粉状に砕き、法律が想定する埋蔵や収蔵以外の方法で陸地や水面に散布し、または投下する行為です。
ガイドラインは事業者に対し、陸上ではあらかじめ特定した区域で行い、河川や湖沼は避けること、海洋では海岸から一定の距離以上離れた海域で行うことを求めています。焼骨は形が分からなくなるまで砕くこと、周辺の住民や土地所有者、漁業者に配慮することも挙げられています。
守るべき法令として、この法律のほか刑法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、海上運送法、民法、そして地方公共団体の条例が並んでいます。散骨を考えるなら、実施したい場所の自治体に条例があるかを先に確かめてください。
選んだあとに残る手続き
置き方が決まっても、そこで終わりません。すでにお墓や納骨堂に納めてある焼骨を、他の墳墓や納骨堂へ移す改葬には、焼骨の現に存する地の市町村長の許可が要ります。手元供養に切り替える場合も、いま納めてある施設の管理者との話し合いが先に立ちます。
新しく納骨堂を選ぶときは、その施設が許可を受けているかを運営者に確かめられます。パンフレットに書かれた雰囲気ではなく、許可の有無と管理の仕組みを見るほうが、あとから困りません。
置き場所を決めてから、家族に伝える
お墓を持たない選択は、費用の話から入りがちですが、実際に効いてくるのは法律が引いた線のほうです。土に納めるなら墓地、屋内の施設なら納骨堂、それ以外なら散骨か手元での保管という区分けを頭に入れておけば、候補の絞り込みが早くなります。決めたら、その置き場所と理由を家族に伝えておきましょう。


