
「今の会社を辞めたら、退職金は出るのだろうか」。転職を考え始めると、ふと気になるお金です。勤めた年数で自動的に決まると思いがちですが、線を引いているのは会社ごとの就業規則で、制度そのものがない会社もあります。退職金が出る条件をどこで確かめ、払われないときにどこへ相談するかを紹介します。
次の職場を探し始めた30代会社員が、自社の退職金でつまずいた場面
「辞めたら退職金は出るんでしょうか。入社してから、考えたこともなくて。」都内の中小企業で働く30代の会社員は、次の職場を探し始めて初めて、自社の退職金が気になりました。同期に聞いても「何年か勤めれば出るらしい」程度で、はっきりしません。人事に尋ねる前に、何を見ればよいのでしょうか。
答えは就業規則の「退職手当の定め」に書いてある
労働基準法89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成と届け出を求め、退職手当の定めをする場合は、適用される労働者の範囲、決定と計算と支払の方法、支払の時期を書くよう定めています。何年勤めたら出るかという支給要件も、自己都合の退職で減額や不支給にするかも、会社ごとに就業規則で決める事項です。厚生労働省のモデル就業規則も、不支給や減額の事由を設ける場合は就業規則に明記する必要があると説明しています。就業規則は掲示などの方法で労働者に周知することになっているので、閲覧できるか会社に確認してみましょう。作成と届け出の義務があるのは常時10人以上の労働者を使用する使用者なので、小さな会社なら人事に直接確かめます。

中退共に入っている会社なら、月数の線は法律が引いている
会社が中小企業退職金共済制度(中退共)に加入していれば、少し事情が違います。中小企業退職金共済法は、掛金納付月数が12月に満たないときは退職金を支給しないと定め、運営する独立行政法人勤労者退職金共済機構も、11月以下は支給されず、12月以上23月以下は掛金納付総額を下回る額になると案内しています。通算制度などを使う場合は11月以下でも支給されることがあります。この線は加入している会社の従業員に限った話です。
そもそも退職金制度を置く会社はどれくらいあるのでしょうか。厚生労働省の令和5年就労条件総合調査(常用労働者30人以上の民営企業が対象)では、退職給付制度がある企業割合は74.9%です。
規程があるのに払われないときは、書面での請求と相談窓口へ
就業規則の定めどおりに払われないときは、まず会社に書面で請求し、やり取りを記録に残します。それでも動かなければ、労働基準監督署内などにある総合労働相談コーナーで相談できます。法律違反の疑いがあれば労働基準監督署などの担当部署に取り次がれ、労働者が事業場の法違反を労働基準監督官などに申告できることも労働基準法に定められています。辞める前に、自社の規程を一度開いておきましょう。


