
退職金はまとまった額を一度に受け取るものだと思われがちですが、勤め先の企業年金の仕組みによっては、年金の形で何年かに分けて受け取ることもできます。このとき税金の扱いは一時金のままではありません。年金で受け取る分は退職所得から外れ、老齢基礎年金や老齢厚生年金と同じ枠に入って、受け取る年ごとに計算されます。
年金で受け取る分は退職所得に入らない
確定給付企業年金の老齢給付金は、年金として支給するのが原則です。規約でその全部または一部を一時金として支給できると定めてあれば、一時金に変えられます。確定拠出年金も同じ作りで、企業型では企業型年金規約にその定めがある場合に一時金を選べます。個人型のiDeCoは、年金、一時金、または一時金と年金の組み合わせで受け取れます。
分かれ道はここです。一時金で受け取った分は退職手当等とみなされて退職所得になりますが、年金で受け取る分は公的年金等に当たり、雑所得として課税されます。iDeCoを年金で受け取る分も、この公的年金等に含まれます。

公的年金等控除は年齢と受取額で決まる
公的年金等の雑所得は、その年に受け取った公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を引いた残りです。ここでいう収入金額には、老齢基礎年金や老齢厚生年金も、会社から支払われる企業年金も一緒に入ります。企業年金の額だけを見ていると、控除の範囲に収まるつもりが実際には超えていた、ということが起こります。
控除額は年齢と収入で決まります。公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の人であれば、65歳未満は年金収入130万円以下で60万円、65歳以上は330万円以下で110万円です。年齢は、その年の12月31日時点で判定します。
ここで効いてくるのが受け取る期間です。年金として受け取るときは、制度や規約で定められた範囲で受け取る年数を選ぶ場合があります。iDeCoの有期年金は5年以上20年以下です。同じ額でも年数が変われば、1年あたりの収入金額も変わります。
受け取るたびに源泉徴収される
企業年金や確定拠出年金の年金は、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を出せない区分に入っています。この区分で源泉徴収される額は、支給金額から25%を引いた残りに10.21%を掛けた金額です。老齢基礎年金や老齢厚生年金とは、控除の仕方も税率も違います。
見落としやすいのが、この源泉徴収で終わりではないという点です。公的年金等には給与のような年末調整がないため、源泉徴収された税額とその年に納めるべき税額との差額は、確定申告で精算することになります。ただし、公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下など一定の条件を満たす場合は、所得税の確定申告が不要になることがあります。
受け取り方を決める前に、年金の収入を数える
退職金を年金の形で受け取ると、所得の種類が退職所得から雑所得に移り、老齢年金と同じ枠で毎年計算されます。控除は年齢と年金収入で決まり、受け取る年数によって1年あたりの収入も変わります。勤め先の規約で一時金と年金のどちらを選べるのか、年金なら何年で受け取る形になるのかを、退職の前に確かめておきましょう。


