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【直葬 / 散骨 / デジタル供養】多様化する供養の相場と「利便性の裏にある影」

シニア 葬儀
【直葬 / 散骨 / デジタル供養】多様化する供養の相場と「利便性の裏にある影」

「供養の多様化」と言われて久しい昨今ですが、新たな葬儀や供養の登場についていけないと感じる人もいるのではないでしょうか。

この記事では、現代の葬儀事情をわかりやすくお伝えしながら、その光と影について考えてみたいと思います。

【直葬】セレモニーを行わずに火葬だけをする

骨壺

従来のお葬式といえば、通夜や葬儀のようなセレモニーを執り行ない、お寺や親族、さらには参列者を招いて故人を供養しました。

しかし最近では、家族葬や一日葬などの簡略化された葬儀が主流となり、その最たるものが直葬です。

直葬ではセレモニーを執り行わず、近親者が火葬場での火葬に立ち会うだけなのです。

小規模な家族葬でも100万円近くの費用が必要なのに対し、

直葬の場合は20万円前後で済む

ことから、経済的に余裕のない人や葬儀を不要と考えている人に選ばれています。

首都圏における直葬の割合は約20%にも及びます

しかし、直葬の満足度は他の葬儀スタイルと比較すると低い水準にあるとも言われており、実施の際には十分に検討しなければならないでしょう。

大切な家族の葬儀です。

一度火葬にしてしまったらやり直しはできません。

【散骨】パウダー状にした遺骨を自然に撒く

散骨とは、火葬した焼骨をパウダー状にして自然に撒く葬法のことです。

私たちはこれまで、当たり前のようにお墓を建てて、遺体や遺骨をお墓の中に埋葬してきましたが、実はお墓を建てない文化というものは昔からありました。

浄土真宗の地帯では、親鸞聖人の「私の亡骸は鴨川に投げ捨てて魚たちの餌にしてください」という言葉通りに、野焼きにした遺骨をそのあたりに放置したままにしていたとも言われています。

現代の日本では「墓地、埋葬などに関する法律」に則って埋葬や供養を行われなければなりません。

99.99%という火葬率を誇る日本では、亡骸は必ず火葬され、「墓地」として認められた場所でなければ埋葬できません

しかし、粉末状にした遺灰を撒くという行為は、法律で定義するところの「埋葬」に当たらないことから、1990年代より散骨が徐々に実施され、人々に知られるようになりました。

地権者とのトラブルなどを回避するために、その多くは海での散骨が主流です。

費用は、

・ 業者にすべてを委託する場合: 5万円~10万円

・ 乗船して沖合に出る場合: 10万円~40万円

が相場でしょう。

自然に還れる、お墓の費用や手間の負担がかからないなどの利点が挙げられますが、反面、手をあわせる場所がないなどの戸惑いの声も聞かれます

【デジタル供養】インターネットを活用したさまざまなサービス

ネット供養

葬儀業界にもさまざまなIT化の流れが押し寄せています。

たとえばインターネット霊園に登録すれば、パソコンやタブレットにいつでも故人のお墓や写真を表示してお参りができます

インターネット霊園の相場は、

・ 初回登録料: 約3,000円

・ 年会費: 2,000円~3,000円

です。

また、見積もりやサービスの提案にタブレットやクラウドシステムを用いる葬儀社はどんどん増えてきていますし、自社のホームページの整備やSNS発信を強化するところもよく見られます。

さらには、葬儀社紹介業者など、インターネット上での受注を見込んだ新規参入もあとを絶ちません。

2040年は死亡人口がピークになる年だと言われていますが、それに向けてマーケットは拡大傾向にあり、これからもさまざまな新しいアイデアやサービスが登場することでしょう

目新しさや利便性だけにとらわれないように

しかし、弔いや供養というのは、人が人に対して行う精神的な営みです。

新規参入にありがちなのが、その商品の目新しさや利便性ばかりが先行して、それを使う側の人の「心」にまで及んでいないこと。

あくまでも弔いは「人の心の営む」というアナログな活動であることを大前提に、商品の多様性やITの技術がそれらをサポートする図式が望ましいように思えます。(執筆者:五十嵐 信博)

《五十嵐 信博》
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五十嵐 信博

五十嵐 信博

葬儀社、仏壇店、墓石店と、供養関連の会社に勤務するライターです。業界歴は15年。1級葬祭ディレクター、2級お墓ディレクターを取得しています。亡くなった人を手厚く弔うことや、目に見えないものを大切にお祀りすることは私たちの幸せにつながります。葬儀やお墓などの記事を通じて、みなさまの仏事でのお困りごとを解消できればと、祈りを込めて綴ります。 寄稿者にメッセージを送る

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