生命保険の見直しや新規加入を考えたとき、あなたならどうしますか。

「ほけんの○○」といった来店型保険ショップを思い浮かべた方も、少なくはないでしょう。

・ ショッピングセンターや商店街に店を構えていて気軽に立ち寄れる

・「多くの保険商品の中から自分で選べる」と思われている

・「保険のおばちゃんがいない」

点などが人気の理由だと言われています。

しかしながら、そこには大きな誤解があることも事実です。

来店型保険ショップとは何なのか、詳しくお話します。

「来店型保険ショップ」の大きな誤解

正式名称は「来店型保険代理店(乗り合い型)」

来店型保険ショップは、複数の提携先商品を仕入れて販売する「小売り販売店」、「セレクトショップ」のようなものです。

店員は相談員ではない

保険ショップを「中立的立場の保険相談窓口」だと思われている方もいるようですが、残念ながら誤解です。

店員は相談員ではなく販売員、つまり営業職員です

彼らには「販売ノルマ」が課せられており、いわゆる「保険のおばちゃん」と何ら変わりはありません

店員は「相談員」 ではありません

代理店の利益

保険商品には仕入れ価格がなく、売り上げ利益も発生しません。

販売した商品の手数料(バックマージン)が、保険ショップの利益です。

バックマージンは、保険会社や保険商品によって差があります

そのため、顧客ニーズに関係なく「利益率の良い保険」ばかり販売することが問題になり、金融庁から指導を受けたこともあります。

提携会社数は多くない

「40社以上の保険会社と提携」、「商品数は数百」などといったキャッチコピーが掲げられているショップも多いのが実状です。

まるで、日本の保険会社の商品が全てそろっているような気がしてしまいますが、それも誤解です。

今、日本で営業している保険会社は、生命保険会社42社・損害保険会社54社もあります(生保:令和元年10月1日現在損保:令和元年7月1日現在 / 金融庁)。

保険ショップでは、生保も損保も扱っています

40社では、合計96社の半分にも届きません。

国内生命保険会社の商品が少ない理由

保険ショップに掲げられた「提携保険会社一覧」を見て、ピンとくる方はいるでしょうか。

外資系生命保険会社と損害保険会社・損保系列の生命保険会社が、とても多いのです。

いわゆる日本の中堅・大手生命保険会社の名前は、あまり見ることがありません

あったとしても、扱っている商品が全く違うのです。

国内生保の商品は「難しい」

国内生保のメイン商品は、死亡保険や医療保険を組み合わせて、さらにさまざまな特約が付加されている「総合的な生命保険」です。

「お客様1人1人のライフスタイルに合わせて」とうたっている通り、主契約や特約ごとに金額や期間を細かく設定できる「複雑な商品」です。

国内生保各社はこれらメイン商品を「直営販売」のみとしていて、代理店には卸していません

なぜなら、金融庁管轄の保険業法により、「保険販売の際には、契約者がその契約内容(契約概要)を理解するために、適正な情報提供(説明)をすること」と定められているからです。

複雑な仕組みを正しく理解し、契約者の疑問に適切な対応をするためには、継続的かつ専門的な研修が必須です。

複数社の商品を一度に扱う代理店に、それを求めることは現実的ではありません

その代わり、「代理店用の商品」を作っています

代理店用の商品とは

例えば、「有名キャラクターが描かれたグッズ」は、公式ショップでも、雑貨店でも、100円shopでも売っていることがあります。

しかしながら、そのデザインや素材などの「品質」が、全く違います。

保険も同じです。

国内生保会社が保険ショップに卸す商品は、

「主力商品の一部を制限した簡易版」
「単品商品」
「貯蓄型商品」

など、説明が(比較的)簡単な保険だけに限られているのです。

代理店サイドにもメリットが少ない

また、保険ショップにとっても、実は国内生保商品は主力商品ではありません

その理由はいくつかありますが、「手数料が低い」というものが最も説得力のある理由でしょう。

国内生保会社と提携する理由は、立ち寄るお客様が「大手保険会社の名前があると安心する」ための広告のようなものなのです。

外資系と損保系の商品が多い理由

一方で、外資系保険会社や損保・損保系列生保会社の商品が多い理由は何なのでしょうか。

外資系と損保系の商品はバックマージンも大きい

代理店販売のノウハウ

もともと、損害保険会社の業界は、代理店を通じて自動車保険や火災保険を扱うことが多いのです。

代理店は、1社でも複数社でも提携することができ、他の職種との兼業も可能です。

外資系保険会社も、生保損保ともに代理店システムを確立しています

一方の生命保険業界は、1社専属が基本です。

試験や研修を経て、プロの「〇〇生命専属の保険のおばちゃん」として、自社の商品だけを扱います。

非対面販売の解禁

規制緩和当時、外資系保険会社や損保・損保系生保会社は、テレビや雑誌などにわかりやすい広告を出し、郵送手続きだけで契約できる「通販型保険」を販売し、契約数を急増させました。

通販型の商品では、契約者が「自分で説明文を読み、理解し、申し込む」ことが必要です。

そのため「安価な医療保険」や「ピンポイント保障」などの単純明快な商品がほとんどでした。

つまり、外資系保険会社や損保・損保系列生保会社には、「卸売り用の商品」が多いのです。

目的ごとに独立し、年齢と金額で簡単にカスタマイズできる商品なのです。

しかも、バックマージンも大きいのですから、多く扱われて当然です。

使い方を知っていれば、便利なところ

保険ショップに関する誤解は、解けたでしょうか。

残念ながら、中立公平な相談窓口ではありません

扱う商品にも偏りがあります。

しかしながら、「便利である」点に変わりはありません。

お手持ちの保障を含む数社の保険商品を比較検討でき、わからないところはすぐに質問でき、不都合を感じたら「行かなければいい」場というのは、とても貴重です。

保険ショップは、「セカンドオピニオン」先として利用したときに、最も真価を発揮する場所でしょう。

保険証券診断などを行っているショップも多いので、ぜひ利用してみてください。

ただし、

・ ショップの提携先は、国内保険会社の半分以下(中堅・大手含まず)

・ ショップの店員は、保険のおばちゃんと同じ

ということを、忘れないでください。(執筆者:仲村 希)