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生保の業績悪化が鮮明
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2016年4月~6月期決算は、主要生保8社中6社の基礎利益(一般の会社で言えば営業利益に相当)が前年同期比で減少した。
首位の日本生命は1.5%減。第一、住友、明治安田、富国、朝日はいずれも2桁減益となった。業績悪化の要因の1つが、急激にすすんだ円高。
主要生保の昨年6月末の想定為替レートは1ドル=120円前後であったが、今年6月末は、100円前半。20円近い円高が、金利の高い外国債券などの運用益を吹き飛ばしたと思われる。
そして、日銀のマイナス金利導入により、生保の運用の大半をしめる国債運用の収益が悪化。
さらに、今年に入ってからの株価低迷により、株式や債券から得られる単体の利息・配当金収入も主要8社のうち7社で、前年実績を割り込んだ(ソニー生命のみ前年実績を上回る)。
逆ザヤの恐怖、再来か?
生命保険会社は、契約当時の予定利率を基に、保険料を計算し契約者からお金を集める。
このため、契約当時の予定利率 > 数年後の予定利率 となった場合、想定している収益(保険料+運用益)が不足することになる。(この状態を逆ザヤと言う)
逆ザヤになれば、不足分は自社で穴埋めしなければいけない。
1980年代後半からのバブル期に、生保各社は予定利率の高い保険(5.5%~6%)を販売していたが、バブル崩壊後の株価低迷で運用は急激に悪化。長い期間逆ザヤに苦しんだ。
1997年~2001年にかけて立て続けに7社が経営破たんしたのは、この逆ザヤが原因だ。
生保各社の逆ザヤ処理が一巡したのが2014年3月期ごろで、以後、生保経営も安定していたが、3年ぶりに、T&Dホールディングや朝日生命などは、逆ザヤに陥ったと見られる。
また、一般の会社の売上高に相当する保険料収入も全体的に減少傾向にある。
マイナス金利の影響も原因
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マイナス金利の影響で、銀行窓販を中心に売ってきた貯蓄性の高い「一時払い終身保険」などの利率を下げたり、販売を停止したりしたことが主な原因だ。
明治安田生命は、今年4月~6月期で銀行窓販が39.2%減。日本生命も同26%減など、大きな影響を受けている。円高が続き、マイナス金利の深堀りがすすめば、運用難による逆ザヤの恐怖が再来するかもしれない。
今後、貯蓄性が高い生命保険を検討する場合は、保険会社の安全性に注意して契約していただきたい。なお、掛け捨ての保険は、保険会社が破綻したとしても、影響は軽微か、ほとんどない。(執筆者:釜口 博)