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選択制DCのメリットとデメリット

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選択制DCのメリットとデメリット

会社の福利厚生の一環として、企業型DC制度を採用する会社があります。

企業型DC制度の中には更に「選択制DC」という制度があり、選択制DCの中には2つの選択肢があります。

端的には社員自身がこの2つのどちらかを「選択」できるということです。

そもそもどのような選択肢があるのか、そして、どのようなデメリットとメリットがあるのか、今回は選択制DCについて、解説します。

選択制DCの メリット・デメリット

選択制DCの2つの選択肢とデメリット

1つ目は前払い退職金等との「選択」です。

これは社員の中には、あえてDCを選択しないということも考えられ、掛金と同額を「前払い退職金」として受け取ることです。

前払い退職金は毎月受け取る給与などと同様に税金や社会保険料の対象となります。

2つ目は、毎月の給与や年に数回受け取る賞与の一部を切り分けて、〇〇手当として、切り分けた金額を原資として掛金とすることや、給与などに〇〇手当として、上乗せすることを社員に「選択」させるということです。

掛金に充てた部分は給与とは扱われないために税金や社会保険料の対象とはなりません

すなわち、掛金部分の所得税や住民税は軽減されるものの、デメリットとして、社会保険制度からの給付額が低くなるということです。

社会保険制度からの給付額とは一般的には老後の年金や、病気を患い、働くことができなくなった場合の傷病手当金などが代表的です。

今すぐに関わってくる問題ではないと考えられるケースも少なくありませんが、老後の年金は原則として65歳から亡くなるまで続く長期的な給付です。

しかし、30代、40代の方に「65歳以降のことを考えてみましょう」言ってもなかなか当事者意識になりきれないのが現状です。

しかし、デメリットを認識した上で選択するのと、何も知らずに選択するのでは全く違いますので、おさえておくべき部分です。

選択制DCのメリット

別途、「管理手数料」は発生しますが、既存の給与などを財源にして、制度を運用することができるために、会社としては負担が少なく導入しやすいという(会社側の)メリットがあります。

企業型DC自体、必ず導入しなければならない制度ではありません。

企業型DC制度自体が、社員の老後の資産形成のサポートとして位置づけられていますので、求人効果や社員の長期勤続への誘引としての機能も担ってくれます。

次に、社会保険料は会社が社員に払う給与や賞与額に基づき、会社と社員が半分ずつを払う仕組みです。

企業型DC制度の掛金は社会保険料の算定基礎には含まれませんので、会社も社員も社会保険料が減ることとなります。

選択制DCの隠れた問題点

ここまで、おおまかなメリットとデメリットを解説しましたが、隠れたデメリットについても検討します。

選択制DC制度で社員の給与を減額した場合、減額部分を掛金に充てることから、新たに費用負担が発生することなく制度を運用でき、その部分の代表的なデメリットは、将来の社会保険からの給付額が低くなることでした。

それだけでなく、給与が下がるということは、残業をした場合の基礎となる残業代の単価も減少するために、残業した際、従来もらっていた「残業代」が減ってしまうという悪循環が問題となっています。

数十年先の給付額の減少だけでなく、残業代の減少は、ある程度、毎月それなりに残業がある方の場合、毎月、手取り額が下がってしまうという問題があります。

もちろん、給与が減ることで、所得税や住民税、社会保険料も低くなるという点はメリットにも見えますが、単純に手取り額が減ることに対して、モチベーションを維持できるかという問題があります。

福利厚生制度が重要であることは異論ないでしょうが、月々の給与は、より重要視される傾向にあります。

そうなると、慎重に判断すべき部分であり、実際に導入するにあたってはシミュレーションをし、メリットとデメリットを理解しておくことが極めて重要です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
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執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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