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株式投資のアノマリー
アノマリーとは、はっきりとした根拠を持つわけではないが、よく当たるかもしれないとされる経験則のことです。
私がプライベートバンクで働いていた時、お客様から「どの銘柄を買えばいいの?」など問い合わせを受け、お客様は儲かる銘柄を知りたがっていました。
しかし、金融のプロでも儲かる銘柄を百発百中で当てるのは不可能です。
しかし、個別銘柄の選別よりも、もっと高い確率で利益が出やすい投資戦略があります。それは、株式投資のアノマリーを利用する事です。
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1年間のマネーの動き
1月 : ご祝儀相場
新たな年に入り、株高になりやすい月です。
通常、年末年始はマーケットが休みなので、12月に利益確定をしたお金がキャッシュポジションとして大量にあります。
外資系の金融機関は評価体系が1月から12月までの評価体系になっており、年が変わってしまうと昨年の実績はゼロになり、新たな年の目標が課せられます。
すると、1月は大量の現金ポジションを再び金融商品に投資をする月になります。
通常、数百億円の預かり資産を持っているプライベートバンカーは、1月にお客様に新たな投資を提案することが多く、株価も値上がりすることが多いです。
4月 : 新年度相場
新年度に入り、生損保や年金基金などの機関投資家が、株式の資産配分を見直してきます。
個人投資家とは比べ物にならない規模のお金が、機関投資家の買いでマーケットに入ってきます。
更に、3月末決算発表の会社の業績予想が続々と発表になり、増収増益予想の企業などに買い注文が集まりやすい時期でもあります。
5月 : Sell in May(5月に売れ)
海外のヘッジファンドの決算が6月に多く、ヘッジファンドの解約には「45日ルール」というものがあります。
ヘッジファンドを解約する時には、決算日の45日前までに行わなければならないというものです。
すると、6月決算のヘッジファンドの解約に備えて、5月に売り注文が多くなりやすいのです。
また、日本株はゴールデンウィークの間は株式市場は休みです。
1週間近く身動きが取れない状態は嫌なので、ゴールデンウィーク前後には売り注文が出やすくなります。
8月 : 夏枯れ相場
海外投資家は、日本と違い夏休みが長いです。
約1か月間、長期休暇を取ることが多く、重要なニュースや政策などが出てこないので、閑散相場になりやすいです。
マーケット参加者が少ないので、値動きもあまりないことが多い月です。
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9月 : 大暴落が起こりやすい
海外の大統領や首相が夏休みから復帰し、ネガティブ発言をしやすい月です。
海外投資家もマーケットに戻ってきて、売り圧力が高まります。過去の9月の大暴落を見てみましょう。
・ 1992年9月 : ポンド危機(英国がユーロを断念)
・ 2001年9月 : 米国同時多発テロ
・ 2008年9月 : リーマンショック
10月 : 大暴落が起こりやすい
5月同様に海外のヘッジファンドの決算が11月に多く、45日ルールに基づく売り注文が出やすい月です。
過去の10月の大暴落を見てみましょう。
・ 1973年10月 : 第一次オイルショック
・ 1987年10月 : ブラックマンデー
・ 1998年10月 : LTCM破綻(世界最大のヘッジファンド破綻)
12月 : 利益確定の売却&損益通算
外資系プライベートバンクの売りが出やすい月で、今年の利益を確定したい投資家の利益確定の売りと、利益が出ている商品と損失が出ている商品を売却して損益通算をする売り注文も多く出る月です。
年末年始の1週間をポジションを持ったまま迎えるのも嫌なので、現金にしておく投資家が多いです。
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株式投資の買い時と売り時
アノマリーを参考にすれば、株式投資の買い時は、5月~6月、9月~10月で、売り時は4月と11月~12月です。
因みに、Sell in May(5月に売れ)の続きがあります。
それは、
But remember come back in September.
9月に再び市場に戻ってくることを忘れるなです。
株式投資で良い銘柄とは、有名企業ではありません。「良い銘柄 = 儲かる銘柄」です。
同じ銘柄でも、安い時に買って高い時に売れば良い銘柄になりますが、高い時に買って安い時に売ってしまえば悪い銘柄になってしまいます。
暴落時に買って暴騰時に売る! 誰も注目していない時にこっそり買って、みんなが注目しだしたら売り抜けることが儲けの秘訣です。(執筆者:渡邊 一慶)