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PER 30倍は割高? 割安?
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ある株のPER(株価収益率)が30倍だったとします。
皆さんはがもしこの株を持っているとしたら、
「まだ割安だと思って持ち続けますか?」
PERという指標は正反対の答えを出せる
株式投資をされている方なら、誰もが耳にしたことのあるPER(株価収益率)。
「割高・割安を見る指標」あるいは、「期待値を見る指標」と認識されているかと思います。
PER(株価収益率)は次の式で求められます。
このPERはなかなかの曲者で、証券会社に入社して間もない頃、この指標の捉え方に頭を抱えたことがあります。
同じ業種で、PER 30倍の株とPER 12倍の株があった場合
「割高・割安を見る指標」として捉えると、PER 12倍の株の方が割安と判断することができます。
しかし、「期待値を見る指標」として考えると、PER 12倍の株は「全然期待されていない(期待される状況にない)株」と捉えられ、投資対象として魅力なしと判断することもできます。
つまりこの指標は、見る人によって全く正反対の判断を下せるということです。
結論
PER 30倍は割高? 割安? という問題の結論は、「PER 30倍」だけでは、何の判断もできませんとなります。
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どうやって活用する?
このPERはどのように活用したらよいのでしょうか。私は
を判断するのに活用します。
普段はサッと目を通す程度でPERの倍率によって投資の判断をすることはありません。
しかし突出して高い、あるいは低い場合には、その企業について詳しく調べることにしています。際立った数字ということは、そこには何か理由があるからです。
日経平均のPERと市場別PERを把握しておこう
PERが際立った数字かどうかを判断するためには、基準となる数字が必要です。その基準として日経平均のPERと市場別PERを把握しておくとよいかと思います。
日経平均のPER
日経平均のPERをチェックするときに便利なのが日経平均プロフィルの「ヒストリカルデータ」です。
日々のPERのほか、過去のPERもチェックできます。
「加重平均」と「指数ベース」の2種類がありますが、本決算を発表後は次の決算期の予想数字に切り替えて計算されるため「加重平均」の方を確認します。
2017年10月27日現在の日経平均のPERは15.3倍です。日経平均のPERは、日経平均に採用されているような大型株の平均です。
これに該当しないような銘柄も多いかと思うので、市場別PERも把握しておくとよいでしょう。
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市場別PER
市場別PERは日本取引所グループの「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧」が役立ちます。
月末時点の東証1部・2部・東証マザーズのPERを確認できます。東証1部については、大型株・中型株・小型株のPERも見られます。
2017年9月末時点で、東証一部全体では24.8倍、東証マザーズになると51.2倍と大きな差があります。ちなみに東証2部は数字が出ていません。
「該当数字なし」か「数値がマイナスになる」ためで、
と予想できます。
毎日チェックする必要はありません
本決算の多い3月や9月の決算発表が過ぎた頃に確認して、大体のところを把握しておけば、極端に高い・低いPERを判断できるかともいます。
日本取引所グループのサイトでは、「業種別PER」も確認できますので、気になるかたは合わせてチェックしておいても良いと思います。
ヤマトホールディングス(9064)の場合
PERの高い銘柄ランキングを見ていると、目に留まったのが宅配をしている、ヤマトホールディングスのPER 74.08倍(11/2時点)です。
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日経平均に採用されている銘柄ですが、日経平均のPER 15倍をぶっちぎっています。
あまりにも違和感があるので、東証1部の業種別PERで陸運業を見ると15.6倍(9月末時点)と、日経平均とほぼ同じ。ヤマトホールディングスだけが高すぎる状態でした。
詳しく見てみる
2017年3月期の利益が前年から約半分になっています。
ようです。
それなら、2018年3月期は戻るのかと思い業績予想を見ると、売上は変わらないものの、利益は3割減の予想です。
そのため1株当たりの利益は少なくなり、PERが高くなるという状態になっていました。
配送料金の値上げなどを実施しているヤマトホールディングスですが、
のようです。
まとめ
PERという指標をどのように使うかは人それぞれです。どのような解釈もできるため、私自身はそれほど重視していません。
PERの高低にあまり振り回されずに、企業の内容をしっかりと見る方が重要だということを忘れないでほしいと思います。(執筆者:高橋 珠実)