5月1日(メーデー)に労働組合が集会をひらき、基本給アップなどを要求している様子を、ニュースで見たことがある人もいるでしょう。
「うちの会社には労働組合がないから」、「わたしはパートだから関係ない」と思って、気に留めていないかもしれません。
会社に労働組合がなくても、あるいはパートタイマーなどの非正規雇用であっても、労働組合に加入でき、個人で加入できる労働組合がいくつもあります。
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目次
労働組合とは何か
日本には「労働組合法」という法律があります。
その第2条で、労働組合について以下のように定義されています。
つまり、労働者の権利を守るために、使用者(会社の社長など)と交渉するための団体です。
労働者の権利とは、何も給与に関することだけではありません。
労働環境、セクハラやパワハラ、解雇などについても、労働組合は相談にのってくれます。
労働組合は5つに大別される
労働組合には、大きくわけて次の5つがあります。
(1) 企業別労働組合:特定の企業に属している労働者が加入できる労働組合
(2) 職業別労働組合:属している企業を問わず、同一の職業に就いている労働者が加入できる労働組合
(3) 産業別労働組合:属している企業を問わず、同一の産業に就いている労働者が加入できる労働組合
(4) 一般労働組合:属している企業・職業・産業を問わず、労働者であれば加入できる労働組合
(5) 合同労働組合(合同労組):属している企業・職業・産業を問わず、労働者であれば加入できる労働組合。
一般労働組合の形態の1つで、一定の地域ごとに組織される。
「企業別労働組合」以外はすべて「個人で加入できる労働組合」
「企業別労働組合」は会社の労働組合ですから、個人で加入できる労働組合とは言えません。
個人で加入できる労働組合は「職業別労働組合」、「産業別労働組合」、「一般労働組合」、「合同労働組合」の4つです。
具体的な名称や所在地を知りたいときは、インターネットで検索してみてください。
なかにはフリーランスが加入できる労働組合もあります。
フリーランスは基本的には「労働者」ではなく、労働基準法も適用されません。
ですが、最近ではフリーランスの労働組合をつくろうという動きも出ています。
労働組合に加入するメリット
労働者が会社と交渉をしようとしても、対等な立場でおこなうことは、なかなかむずかしいのが現実です。
労働者ひとり、まして非正規雇用の労働者ひとりでは、まともに取り合ってもらえず、交渉の席についてもらうことすらできないかもしれません。
なぜなら、
会社は労働組合が申し出た話し合い(団体交渉)を、正当な理由なしに拒むことができないからです。
この点も、前述した労働組合法に明記されています。
会社が団体交渉を拒否することは「不当労働行為」にあたり、法律違反となるのです。
ちなみに、「正当な理由」とは、交渉の場で組合員が暴言を吐きつづけた、交渉の場で暴力行為がくり返された、などです。
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団体交渉で金銭が支払われるケース
労働組合と会社が話し合いをした結果、労働者に「解決金」、「和解金」などの名目で金銭が支払われることもあります。
いくつか例をあげてみましょう。
【ケース1】未払い残業代とハラスメントへの慰謝料請求
結果:ハラスメントの主張は抽象的内容にとどまるものだったため、会社側が受け入れなかった。
ただし、残業代については客観的な裏付けがあるため、解決金を提示し、支払った。
【ケース2】解雇の撤回要求
結果:会社側が元社員に解決金を支払うことで、「合意退職」として決着した。
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「解決金」、「和解金」として支払われる金額には、明確な基準や相場というものはありません。
トラブルの内容や労働者の勤続年数などにも左右されるでしょう。
いざというとき頼りになる労働組合
万一のトラブルに備えて、まえもって労働組合に加入しておくという選択肢もあります。
いっぽうで、労使トラブルが発生してから、労働組合を探して加入し、団体交渉をしてもらうという選択肢もあります。
労働組合の存在も、加入しているメリットも、普段あまり意識することはないかもしれません。
ですが、いざというとき、労使トラブルが発生したときは、労働組合は頼りになる存在であり、加入のメリットを実感できます。
そう考えると、労働組合の出番がないというのは、労働者にとって、いいことなのかもしれません。(執筆者:社会保険労務士 嵯峨 朝子)