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税務調査を受ける確率は? 所得税・法人税・相続税それぞれ解説

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税務調査を受ける確率は? 所得税・法人税・相続税それぞれ解説

税金の種類が違えば確定申告書の提出件数は異なりますし、税務調査が実施される件数にも差があります。

税務調査の対象となる確率をイメージしていただくために、今回は所得税・法人税・相続税の申告件数・税務調査件数を比較し、各税金がどの程度割合で調査が行われているかについて解説します。

各税金がどの程度割合で調査が行われているか

所得税の調査を受ける確率は1%

令和4年分の所得税の申告件数は2,295万件で、令和4事務年度の調査件数は63万7,823件です。

調査件数には、調査担当者が自宅や事務所に訪れて実施する「実地調査」だけでなく、電話や手紙、来署依頼などにより申告内容を是正する「簡易な接触」が含まれます。

申告件数と調査件数を比較すると、税務署から接触がある確率は2.8%程度ですが、一般的な税務調査である実地調査(4万6,306件)に絞ると、調査を受ける確率は0.2%程度まで下がります。

数字上では所得税の実地調査の対象となる確率は非常に低いですが、所得税の申告書の60%程度は年金受給者や給与所得者等が行う還付申告です。

不正還付等を指摘するために還付申告が調査対象になることもありますが、基本的に税務調査は納税申告に対して実施されます。

したがって、主に納税申告となる個人事業主に限定すると、調査を受ける確率は1%程度になると考えられています。

法人税の調査を受ける確率は5年間で17.8%

令和4年度の法人税の申告件数は312.8万件で、令和4事務年度の法人税等(法人税・消費税)の調査件数は12.8万件実地調査件数6.2万件、簡易な接触件数6.6万件)です。

法人税等の接触率は国税庁が公表しており、令和4事務年度の接触率は3.9%、過去5年間をトータルすると17.8%と、6社に1社程度は5年の間に調査を受けている計算になります。

法人税の申告件数は所得税と比べると少ないですが、法人税の調査を担当する法人課税部門は税務署の中で最も大きな部署であるため、実地調査件数は所得税よりも多いです。

そのため、同じ事業内容であったとしても、数字上は個人事業主ではなく会社として活動している事業者の方が調査を受ける確率は高いです。

相続税の調査を受ける確率は15%程度

令和4年分の相続税の申告件数は15万858件で、令和4事務年度の相続税の調査件数は2万3,200件(実地調査件数8,196件、簡易な接触件数1万5,004件)です。

割合を単純計算すると、申告した15%程度が調査対象となるため、他の税金に比べると調査を受ける確率は非常に高いです。

相続税が所得税や法人税よりも調査を受ける確率が高いのは、それらの税金よりも申告書の提出件数が少ない点が挙げられます。

また、相続税は申告する機会がほとんど無い税金なので、申告誤りを指摘されやすい点にも注意が必要です。

参照:国税庁 令和4年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について(pdf)

令和4事務年度法人税等の調査事績の概要(pdf)、令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況(pdf)、

令和4事務年度における相続税の調査等の状況(pdf)、令和4年分相続税の申告事績の概要(pdf)

申告誤りがあれば調査を受ける確率は上がる

理論上では所得税が最も税務調査を受ける確率が低く、相続税が最も高いです。

しかし、確率的には調査を受ける確率が低くても、申告内容を誤魔化していれば調査対象者として選ばれますので、調査を回避するためには適正な申告書を提出することが求められます。

調査対象となる要素は納税額の大小などいろいろありますので、今回紹介した調査を受ける確率は参考程度に留めていただき、必要に応じて調査対策を講じてください

《平井 拓》
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平井 拓

執筆者:元税務署職員 平井 拓 平井 拓

12年勤務した税務署を退職し、ライターとして活動してます。税務署時代は資産課税部門に所属しており、相続税・贈与税・所得税が専門でした。 脱税は嫌いですが、節税は好きです。少しでも税金を身近に感じていただける文章をお届けします。 寄稿者にメッセージを送る

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