
「公務員は副業禁止だから、不動産投資もできない」と思っていませんか。国家公務員の場合、一定規模未満の不動産賃貸なら承認を要しないケースがあります。しかも2026年4月には、自営兼業とみなす基準の一部が見直されました。どこまでなら承認不要で、どこから手続きが必要なのかを整理します。
「家賃収入が500万円を超えたらアウト?」古い情報に戸惑ったAさん
国家公務員として働くAさんが、将来に向けた資産形成のために不動産投資を始めたケースを考えてみましょう。
最初に購入したのは投資用の区分マンションです。本業に支障が出ないよう管理は管理会社に任せ、少しずつ物件を増やしていきました。
ところが、次の物件を検討しているときに気になったのが「公務員の副業禁止」です。
「そもそも公務員が家賃収入を得ても大丈夫?」
「何室までなら申請しなくていい?」
「収入が増えたら職場の承認が必要になる?」
公務員は不動産投資ができないと思われがちですが、実際には一定規模までの不動産賃貸なら、国家公務員でも承認を受けずに行える場合があります。
しかも令和8年(2026年)4月には、その判断基準の一部が見直されています。では、Aさんがどこまで物件を増やすと「承認が必要な不動産賃貸」になるのでしょうか。
「5棟・10室・1000万円」どれか一つでも該当するか確認
国家公務員の不動産賃貸では、次のような場合に「自営」として扱われます。

※建物の賃貸のみで、床面積の合計が600平方メートル未満の場合は、賃貸料収入の基準から除外。
つまりAさんの場合も、「年間家賃が1,000万円を超えるか」だけを見ればよいわけではありません。たとえば家賃収入が500万円でも、貸室が10室以上なら自営に該当します。反対に、区分マンション数室の賃貸で他の基準にも該当しなければ、国家公務員については承認申請が不要となるケースがあります。重要なのは、昔よく言われた「5棟10室」だけでも、「年間500万円」だけでも判断しないことです。2026年4月の改正後の基準を、物件数・貸室数・収入・用途までまとめて確認する必要があります。
規模を超えても承認され得る条件
規模の基準に当てはまっても、承認そのものが得られないわけではありません。人事院規則14-8の運用通知は、次のような基準をいずれも満たせば承認できるとしています。
まず、職員の官職と賃貸との間に特別な利害関係やその発生のおそれがないこと。次に、入居者の募集や賃貸料の集金、建物の維持管理といった管理業務を事業者に委ねるなどして、職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。そのうえで、公務の公正性や信頼性の確保に支障が生じないことです。
管理を自分で抱え込まず専門の会社に任せる形が、承認を受けやすい典型といえます。相続で引き継いだ不動産についても、賃貸すること自体は可能です。ただし規模が基準を超える場合は、やはり承認が必要になります。転勤などで自宅を一時的に貸し出すケースは、基本的に申請が不要とされていますが、これも規模が大きくなれば承認の対象です。
承認を受けた後も、異動や自営の内容に変更があった場合は、変更後1か月以内に改めて承認を受ける必要があります。また、所轄庁の長等から承認に係る事業について報告を求められることもあります。申請の様式や添付書類は、人事院の様式を基準にしつつ所属組織の内規が関わる場合があるため、実際に進めるときは所属先の人事担当に確認するのが確実です。
地方公務員は自治体ごとに判断が分かれる
ここまでは国家公務員の話です。地方公務員の場合は、地方公務員法第38条が営利企業への従事などを制限しており、任命権者の許可を受けたうえで兼業を行う仕組みになっています。
国家公務員のような全国一律の数値基準がそのまま適用されるわけではなく、許可の考え方や運用は自治体ごとの規則によって異なります。5棟10室や年額1,000万円といった目安を1つの参考にしつつも、自分が勤める自治体の規定を必ず確認する必要があります。判断に迷うときは、勤務先の人事担当や服務を所管する窓口に相談するのが安全です。
制度を正しく押さえれば選択肢は広がる
公務員だから不動産投資は一切できない、というのは誤解です。国家公務員なら、独立家屋5棟や貸室10室、賃貸料収入年額1,000万円などの基準に当てはまらない範囲であれば承認は不要で、超える場合も管理を委託するなどして承認を得れば続けられます。令和8年4月に承認ラインも緩和されました。地方公務員は自治体ごとに扱いが違うため、まずは最新の基準と勤務先の規定を確認することから始めましょう。


