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ATMの振込手数料に相場はない。同じ銀行でも、どこからどう出すかで変わる

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ATMの振込手数料に相場はない。同じ銀行でも、どこからどう出すかで変わる
ATMの振込手数料に相場はない。同じ銀行でも、どこからどう出すかで変わる

ATMの前で、いくら引かれるのだろうと迷ったことはないでしょうか。振込手数料には共通の相場がなく、金融機関がそれぞれ決めています。効くのは金額よりも、窓口かATMか、自行宛か他行宛か、現金かカードかという出し方のほうです。同じ銀行でも、条件が変われば額は変わります。

振込手数料が変わる5つの分かれ目

同じ額を同じ銀行から送っても、窓口とATMで引かれる手数料が同じとは限りません。全国銀行協会は、振込手数料が「窓口なのかATMなのか」「自行宛なのか他行宛なのか」「同一支店宛なのか他の支店宛なのか」「3万円未満なのか3万円以上なのか」といった条件によって異なると説明しています。金額そのものよりも、どこから、どこへ、どう出すかで決まる部分が大きいわけです。

同協会は、窓口を使った場合よりATMを使った場合のほうが振込手数料が安い場合があるとしています。気をつけたいのが、ATMの中でさらに分かれる点です。同協会は、ATMではカードでも現金でも振り込めるとしたうえで、カードによる振込手数料のほうが安い場合があるとしています。操作画面で「現金」と「カード」が分かれているのは、お金の出し方の違いであると同時に、手数料の分かれ目でもあります。

ATMの振込手数料に相場はない。同じ銀行でも、どこからどう出すかで変わる

この表が示しているのは変わる軸であって、金額の目安ではありません。振込手数料は各金融機関がそれぞれ定めるもので、業界に共通する相場というものがないからです。よそで見かけた金額表は、あくまで別の金融機関の、ある時点の条件での額にすぎません。よく使う口座については、取引のある金融機関の案内で一度確かめておくと、その後は迷わずに済みます。

24時間365日の全銀システムと、金融機関ごとの接続時間

夜のうちにATMから送ったのに、相手からまだ入っていないと言われることがあります。この行き違いは、システムが動いている時間と、金融機関がつながっている時間が別物であることから起きます。

全国銀行協会は、2018年10月9日からモアタイムシステムの稼働により全銀システムの24時間365日稼働が実現していると説明しています。全国銀行資金決済ネットワークによれば、全銀システムは平日日中の内国為替取引に対応するコアタイムシステムと、平日夜間・土日祝日の内国為替取引に対応するモアタイムシステムによって構成されています。

見落としやすいのは、その先です。同ネットワークはモアタイムシステムに参加する金融機関の一覧と接続予定時間を公表したうえで、参加していない加盟銀行の接続時間は平日午前8時30分から午後3時30分までだと注記しています。12月を除く月末日の平日は、この時間が前後1時間ずつ広がります。システムが24時間動いていても、相手の金融機関がその時間につながっていなければ、入金はその場では完了しません。

ATMが使える時間と、お金が相手の口座に届く時間は、別に考えておく必要があります。期日のある支払いなら、相手の金融機関の事情を調べるより、平日の日中に済ませてしまうほうが結局は確実です。

現金の振込に引かれた10万円の線

ATMでの現金の振込は法律で10万円までと説明されることがありますが、法令が決めているのは金額の上限そのものではありません。

犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令7条1項は、現金の受払いをする取引で為替取引を伴うものについて、金額が10万円を超えるものを取引時確認の対象としています。全国銀行協会も、10万円を超える現金による振込をするときは取引時確認が必要だとし、その際は運転免許証など、窓口での提示のみで本人であることを確認できる書類を示すと案内しています。

ここが要点です。10万円という線は「現金をそれ以上出してはいけない」ではなく、「それを超えるなら窓口で本人を確かめる」という決まりから生まれています。係員のいないATMではその確認ができないため、現金で10万円を超える額を送るなら、窓口へ回ることになります。ただし例外もあり、同協会は、現金の振込額が10万円を超える場合であっても入学金や公共料金の支払いについては確認が不要だとしています。入学金や授業料については、小学校や大学、高等専門学校など一定の学校に対する振り込みが対象です。

一方、口座から引き落とすキャッシュカードの振込は、現金の受払いを伴わないので、この10万円とは別の話です。ただしこちらにも、1日あたりの振込限度額が金融機関ごとに置かれています。カードなら上限なく振り込めるわけではない、という点は変わりません。

誤って振り込んだお金が戻らない仕組み

口座番号を1桁打ち間違えても、その番号の口座が実在すれば、お金はそのまま届いてしまいます。ここからが厄介です。

最高裁は、振込依頼人と受取人との間に振込の原因となる法律関係があるかどうかにかかわらず、受取人と銀行との間に振込金額に相当する普通預金契約が成立し、受取人が銀行に対してその金額の預金債権を取得すると判断しています(最高裁判所第二小法廷 平成8年4月26日判決)。入金された時点で、そのお金は受取人の預金です。だから銀行は、自分の判断で引き落として送り返すことができません。

そこで使うのが組戻しの手続きです。ゆうちょ銀行は、他の金融機関へ誤って送った場合、貯金窓口での組戻しによって取り消せるとしたうえで、すでに受取人の口座に入金済みの場合は受取人の承諾がなければ組戻しができないと案内しています。しかも組戻しの料金は、戻ったかどうかにかかわらずかかります。

相手が承諾しないときに残るのが、民法703条です。同条は、法律上の原因なく他人の財産によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において返還する義務を負うと定めています。先の最高裁判決も、この場合の振込依頼人は受取人に対する不当利得返還請求権を取得し得るにとどまるとしています。銀行に頼んで戻してもらう話ではなく、相手に返してもらう話になるということです。

時間をかけるべきなのは金額の入力ではなく、相手の情報の確認のほうです。ゆうちょ銀行の案内では、受取人名の誤りは訂正の手続きで直せる一方、金融機関名・支店名と金額は訂正できず、組戻しをしたうえでもう一度手続きをすることになります。

久しぶりのATM振込でぶつかる限度額

限度額は、自分で設定した覚えがなくても掛かっていることがあります。

警察庁は、金融機関と連携して、一定年数以上にわたってATMでの振込実績がない高齢者のATM振込限度額をゼロ円または極めて少額とする取組を進めています。同庁の令和6年の確定値資料では、令和6年12月末現在で47都道府県、414金融機関が実施しているとされています。長くATMを使っていなかった人ほど、いざというときに画面が先へ進まないという形で足止めされます。

背景にあるのは還付金詐欺です。同庁が公表した令和7年上半期の暫定値によると、還付金詐欺は被害者の93.9%が60代以上で、主な被害金等交付形態別の認知件数の90.5%がATMからの振込でした。電話で指示を受けながらATMを操作させる手口が続いているため、ATMの側をあらかじめ細くしておく対策が取られています。

限度額に当たったときの行き先は窓口です。限度額の扱いや引き上げの手続きは金融機関によって違うので、取引のある金融機関に確認してください。高齢の家族に代わって振り込もうとして止まることもあるため、期日の決まった支払いを控えているなら、先に窓口で確かめておくほうが安全です。

振り込む前に確かめるのは、金額ではなく条件

振込手数料に共通の相場はありません。効いてくるのは、窓口かATMか、自行宛か他行宛か、現金かカードかという条件のほうです。時間も同じで、システムが24時間動いていても、届くタイミングは相手の金融機関の接続時間次第。間違えた振込は、受取人が承諾しない限り戻りません。確定ボタンを押す前に、口座情報だけは声に出して確かめましょう。

《編集部》
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