
家族を亡くしたあと、勤務先からまとまったお金が振り込まれることがあります。弔慰金、花輪代、葬祭料といった名目で、遺族の暮らしを支えるために支払われるお金です。相続税の対象になるのかと不安になりますが、通常はなりません。ただし非課税には上限があり、超えた分は扱いが変わります。振り込まれたお金の名目と金額から、まず確かめておきましょう。
振込が2件あり、名目の違いに気づかなかった50代
「どちらも同じ性質のお金だと思っていました」
会社員の夫を亡くした50代の女性は、勤務先からの振込についてこう話したといいます。通帳には、日を分けて2件の入金がありました。一方は弔慰金、もう一方は死亡退職金という名目でしたが、どちらも会社から遺族へ渡されたお金という点では同じに見えたそうです。
相続税の申告を準備する段階で、税理士から名目ごとに扱いが違うと説明を受けます。弔慰金には非課税とされる範囲があり、その範囲を超えた部分は死亡退職金と同じ枠で見ることになる。振込の合計額ではなく、名目と金額の内訳を確認する必要がありました。
会社から遺族へ支払われるお金は、勤務先の規程によって名目も金額も変わります。まず内訳を確かめることが出発点になります。
非課税の線は、業務上か業務外かで大きく変わる
国税庁は、被相続人の死亡によって受ける弔慰金や花輪代、葬祭料などについては、通常相続税の対象になることはないとしています。そのうえで、非課税として扱われる範囲に上限を置いています。

3年分と半年分では差が大きく、どちらに当たるかで結論が変わります。
計算のもとになる普通給与とは、俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当などの合計額をいいます。賞与は含まれません。年収や賞与を含めて考えると、線引きを誤ります。
なお、葬儀の場で参列者から受け取る香典は、勤務先が遺族へ支払う弔慰金とは出どころが異なるお金です。ここでは会社から支払われるほうを見ていきます。
上限を超えた部分は、退職手当金等として扱われる
非課税の範囲を超える部分に相当する金額は、退職手当金等として相続税の対象になります。
退職手当金等には、相続人が受け取った分について500万円に法定相続人の数を掛けた非課税限度額があります。弔慰金の超過分は、死亡退職金とあわせてこの枠で見ることになるため、弔慰金だけを単独で判断することはできません。相続人以外の人が受け取った退職手当金等には、この非課税の適用がない点にも注意が必要です。
通帳の入金を、名目ごとに書き出しておく
弔慰金の扱いを判断するには、名目、金額、死亡の状況、そして死亡当時の普通給与の額がそろっている必要があります。勤務先の総務担当者に、支払いの名目と内訳が分かる書類を出してもらってください。業務上の死亡かどうかの判断に迷うときや、死亡退職金とあわせた金額が大きいときは、申告期限までに税理士や税務署へ相談しておくと落ち着いて進められます。


