
65歳を過ぎて働き続ける人は珍しくなくなりました。給与から雇用保険料は引かれているのに、失業給付は65歳までのものだと思っていませんか。実は辞めたときに受け取れる一時金があり、老齢年金と一緒に受け取れます。退職を考え始めたら、雇用契約書で所定労働時間を確かめておきましょう。
定年後も週4日で働き続ける60代後半の会社員の戸惑い
「この年になっても、給与から雇用保険料が引かれているんです。」定年後に再雇用され、週4日・1日5時間の勤務を続けてきた60代後半の会社員は、明細を見るたびにそう感じてきました。失業給付は65歳までのもので、払うばかりのお金だと思っていたのです。
けれども雇用保険の加入に、年齢の上限はありません。被保険者になるのは、1週間の所定労働時間が20時間以上あり、31日以上引き続き雇用される見込みがある人です(厚生労働省)。保険料も2020年4月から、高年齢の労働者も他の被保険者と同じように納めます。
2つの職場を掛け持ちしている人には特例もあります。65歳以上で、異なる事業主の2つの事業所の週所定労働時間がそれぞれ5時間以上20時間未満で、合計して週20時間以上になり、どちらも31日以上の雇用見込みがあるなら、本人がハローワークに申し出て被保険者になれる仕組みです。なお、通常の雇用保険の加入要件のうち、週所定労働時間を20時間以上から10時間以上へ下げる改正は成立していますが、施行は2028年10月1日で、まだ始まっていません。
辞めたときに一括で受け取る高年齢求職者給付金
65歳以上の被保険者は高年齢被保険者と呼ばれ、離職して失業の状態にあるときに支給されるのが高年齢求職者給付金です。受け取るには、原則として離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あることが必要です。額は被保険者であった期間で決まり、1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分。失業の認定は1回限りで、その日に支給決定され、一時金として支給されます(ハローワークインターネットサービス)。

老齢年金が止まるのは65歳になるまでの話
気になるのが年金との関係です。65歳になるまでの老齢厚生年金は、ハローワークで求職の申込みをすると、求職の申込みをした月の翌月から受給が終了するまで、実際に失業給付を受けたかどうかに関係なく、いったん全額が支給停止になります。基本手当を受けていない月がある場合、その月分はすぐには支給されず、3カ月程度後に支給されます。ただしこれは雇用保険の基本手当との調整であって、止まるのも65歳になるまでの年金です(日本年金機構)。
高年齢求職者給付金は基本手当とは別の給付で、受け取れるのは65歳以上の高年齢被保険者に限られます。この調整はかからないため、老齢年金と一緒に受け取れます。ただし受け取れる期限は離職の日の翌日から1年です。期限を過ぎると高年齢求職者給付金は支給されません。期限近くに手続きすると、認定日から期限までの日数に応じて支給分が減ることがあります。
退職を決める前に、契約書と被保険者期間を確かめる
65歳を過ぎて働くことは、雇用保険の面では損になりません。要件を満たす限り被保険者であり続け、辞めたときには一時金が出て、老齢年金も止まらないからです。差が出るのは被保険者であった期間が1年に届くかどうかと、離職後1年という期限を使い切れるかどうか。退職の時期を考え始めたら雇用契約書で所定労働時間を確かめ、離職票が届いたら早めにハローワークへ足を運びましょう。


