
お盆の帰省で、親のお金の置き場所を確かめておこうと考える人もいる時期です。ただ、親が亡くなったあとの預金は、遺族の一存では動かせなくなります。取引が止まる起点として公式に確認できるのは、取引先の金融機関へ相続の連絡をしたとき。そこから払戻しまでの順路と、そろえる書類を解説します。
亡くなった親の預金が急に動かせなくなった50代会社員
「役所に死亡届を出したあと、念のため銀行にも電話をしたんです。その日から、父の口座は入金も出金もできなくなりました。」関東で働く50代の会社員は、父親を見送った直後をそう振り返ります。公共料金の引き落としも止まり、しばらく立て替えが続きました。
取引が制限される起点として公式に確認できるのは、金融機関へ相続の連絡をしたときです。全国銀行協会は、口座名義人が亡くなったらまず取引金融機関へ連絡するよう案内し、相続の連絡と同時に口座での入出金等は原則として制限される、としています。市区町村へ出す死亡届は戸籍の手続きで、預金のほうは金融機関への連絡から動き始めます。
理由は、亡くなった人の預貯金が相続人全員の共有になるからです。政府広報オンラインも、遺産分割が終了するまで払戻しは困難だと説明しています。
申し出から払戻しまで、手続きは4つの段階で進む
全国銀行協会が示す預金相続の流れは4つです。まず取引金融機関へ手続きを申し出ると、相続のケースに応じた案内を受けます。次に必要書類をそろえ、所定の相続手続書類に相続人が署名捺印して提出します。そのあと払戻し等の手続きが行われますが、日数がかかる場合もあるとされています。
「解除」といっても、申し出れば元どおりになるわけではありません。書類がそろい、預金が相続人等へ引き渡されて一区切りです。待つ時間の長さは、書類集めで決まります。
遺言書があるかどうかで、そろえる書類が変わる
全国銀行協会が挙げる代表例は次のとおりです。

検認は、公正証書による遺言(民法1004条2項)と、法務局の保管制度に預けた自筆証書遺言(遺言書保管法11条)には要りません。
重いのは戸籍集めです。令和6年3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書や除籍証明書を請求できます。ただし請求できるのは本人、配偶者、直系尊属、直系卑属に限られ、郵送や代理人による請求はできません。集めた戸除籍謄本等と、相続関係を一覧に表した法定相続情報一覧図を法務局へ出せば、認証文付きの一覧図の写しを無料で交付してもらえ、戸籍の束を何度も出し直さずに済みます。
ただし全国銀行協会も、相続の方法や取引先の金融機関によって必要な書類は異なる場合があるとしています。
動かせない期間は、書類の集め方で短くできる
親の預金が止まるきっかけとして公式に確認できるのは、金融機関へ相続の連絡をすることです。そこから申し出、書類の準備、提出、払戻しと進み、そろえる書類は遺言書、遺産分割協議書、家庭裁判所の調停調書・審判書の有無で変わります。戸籍の広域交付や法定相続情報一覧図を使えば、集め直しの往復を減らせます。まずは取引先の金融機関へ連絡し、何が要るのかを確かめておきましょう。


