
お盆に実家へ帰る予定がある方は、誰も住まなくなった家の様子が気がかりかもしれません。建物さえ残しておけば固定資産税は安いままだと思われがちですが、2023年12月に施行された改正空家法で、行政が関われる段階は1つ手前に広がりました。軽減が外れる分かれ目は、家の傷み具合ではなく、勧告後に1月1日まで改善できるかです。
帰省のたびに伸びる庭木、2年空いたままの実家
「去年の夏に帰ったときは、ここまで草は伸びていなかったんです。」
首都圏で働く50代の会社員が、年に1度の帰省で漏らした一言です。父が亡くなり、母が施設に移ってから、地方の実家は2年ほど誰も住んでいません。家財もそのままで、片づけに手をつけられないまま夏が2回過ぎました。
空家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる空家法は、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物とその敷地を「空家等」と定めています。人が住まなくなった実家は、たいていここに当てはまります。そのうえで所有者や管理者には、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理する努力義務が置かれています。事情は事情として、放置は法律が名指しする状態へ近づいていきます。
市区町村が動く入り口は2つある
改正空家法で加わったのが「管理不全空家等」という区分です。以前からある「特定空家等」は、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態など、周辺への影響が重い空き家を指します。管理不全空家等はその手前で、管理が行き届かず放置すれば特定空家等になるおそれのある状態です。実害が出る前の段階でも声がかかるようになった、と考えるとよいでしょう。

重い措置がいきなり届くのではなく、助言や指導から順を追って進みます。
勧告を受けたまま1月1日を迎えると、住宅用地特例から外れる
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を下げる住宅用地特例があります。200平方メートル以下の部分は価格の6分の1、これを超える部分は3分の1です。誰も住んでいなくても、住宅として使える状態が保たれていれば、この軽減は続きます。空き家が「置いておくだけなら費用はかからない」と見えるのは、ここが理由です。もっとも、取壊しを予定している家などは、そもそも住宅に当たらないと整理されています。
見落としやすいのが、外れる条件のほうです。地方税法は、勧告を受けた管理不全空家等と特定空家等の敷地を住宅用地から除くと定めています。実際の課税では、賦課期日(1月1日)までに勧告に対する必要な措置が講じられない場合に、住宅用地特例の対象外となります。軽減が消える分かれ目は家が傷んだ時点そのものではなく、市区町村からの勧告を受けた後、1月1日までに改善できるかです。裏を返せば、指導の段階や勧告後でも賦課期日までに状態を改善できれば、除外を避けられる可能性があります。
放置のコストは、いつか所有者に戻ってくる
特定空家等で命令にまで進み、それに従わなかったときは50万円以下の過料が定められています。行政代執行に至れば、かかった費用は所有者等から徴収され、国税滞納処分の例による強制徴収も認められています。片づけの段取りが決まらないうちは、庭木と郵便受けだけでも人の手が入った状態にしておきましょう。そのうえで自治体の空き家相談窓口に状況を伝えておくと、指導より前に打てる手が見えてきます。


