
この土地は孫に継がせたい、と考えている方は少なくありません。ですが何も手を打たないままでは、孫のものにはなりません。財産を受け継ぐのは原則として子であって、孫ではないからです。渡すつもりがあるなら、渡すための方法を先に選んでおく必要があります。使える手を順に見ていきます。
孫が相続人になるのは、子が先に亡くなったとき
民法887条1項は、被相続人の子は相続人となると定めています。孫が登場するのは2項からで、子が相続の開始以前に死亡したときや、相続人の欠格、廃除によって相続権を失ったときに、その子が代襲して相続人となるとされています。
裏を返すと、子が健在であれば孫は相続人になりません。祖父母の側がどれだけそのつもりでいても、遺産分割の話し合いに孫が加わる立場にはならないということです。
「長男が受け継いだあとで孫へ」と考える方もいますが、それは長男の代の相続で改めて決まる話です。祖父母の意思がそのまま届く保証はありません。
生前に渡すか、亡くなったときに渡すかで方法が分かれる
孫に土地を渡す方法は、大きく3つに分かれます。
生前に渡すなら、生前贈与です。名義を動かした時点で確定するため、あとから覆りにくい反面、渡した年に贈与税の対象になります。
亡くなったときに渡すなら、遺言による遺贈があります。民法964条は、遺言者が包括または特定の名義で財産の全部または一部を処分できると定めています。土地を特定して「孫に遺贈する」と書いておく形です。
もう1つが死因贈与です。民法554条は、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与について、その性質に反しない限り遺贈に関する規定を準用するとしています。生前に孫との間で約束を交わしておく点が、遺言との違いです。相手のある契約なので、孫の側に受け取る意思があるかを先に確かめられます。
養子にすると相続人になるが、数に上限がある
孫を養子にすれば、その孫は子と同じ立場の相続人になります。民法792条により、養親となれるのは成年に達した者です。民法上の成年年齢は2022年4月1日から20歳から18歳に引き下げられているため、現在は18歳以上が対象です。未成年者を養子にするには家庭裁判所の許可が必要ですが、798条のただし書きで、自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合は許可が要らないとされています。孫はこれに当たります。
ただし相続税法15条2項は、相続税の計算で法定相続人の数に算入できる養子の数を、実子がいる場合は1人、実子がなく養子が2人以上いる場合は2人までと定めています。孫を何人も養子にすれば、そのぶん基礎控除が増えるという仕組みではありません。縁組そのものの人数が制限されているのではなく、税の計算で数えられる人数に上限が置かれている、という形です。ただし、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合は、その原因となる養子は数に含められません。
家族に話してから、方法を決める
養子縁組も遺贈も、ほかの相続人の取り分に影響します。あとから知った子の側が納得できず、話し合いがこじれる例は珍しくありません。まず土地の名義と評価のおおよそを確かめ、誰に何を残すつもりかを家族に伝えたうえで、どの方法を使うかを決めてください。判断に迷うときは、司法書士や税理士など、登記と税の両方に相談できる相手を早めに探しておくと進めやすくなります。


