
住宅ローンを完済すると、毎月の返済がなくなって家計はぐっと軽くなります。ただ、家にかかるお金がゼロになるわけではありません。完済で終わるものと、持ち続けるかぎり続くものははっきり分かれています。返済が消えても、税金と保険と修繕は自動的にはなくなりません。
完済で終わるもの、続くもの
まず全体を見渡してみます。

団体信用生命保険は、住宅ローンの残債に備える保険です。住宅金融支援機構の制度では、最終返済日のほか、全額繰上返済などで機構との債権債務関係が消滅した日にも保障が終わると定められています。完済は返済からの解放であると同時に、万一のときに残債が消える仕組みからも外れる節目だといえます。
税金は、所有し続けるかぎり毎年かかる
固定資産税は原則として市町村(東京23区では東京都)が土地や家屋などに課す税金です。地方税法359条により、賦課期日は当該年度の初日の属する年の1月1日と決められています。つまり、その年の1月1日時点で不動産登記簿や固定資産補充課税台帳などに所有者として載っている人に、その年の4月1日から始まる年度分が課されます。
税率は地方税法350条1項が標準税率を100分の1.4と定めており、多くの市町村がこの水準です。市町村が条例で別の税率を定めることもできます。
市街化区域内など課税対象区域に土地や家屋を持っていると、都市計画税も加わります。こちらは地方税法702条の4により、100分の0.3を超える税率にはできません。都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てられる税金です。
土地と家屋の評価額は原則として3年に1度見直されます。同じ家に住み続けていても、納付書の額が動く年があるのはこのためです。納付書が届いたら、前年と比べてどの項目が変わったのかを見ておくと、家計の見通しが立てやすくなります。
なお、返済が終わっても所有者としての立場は何も変わりません。ローンがあるうちは金融機関との関わりのなかで意識していた費用が、完済後は自分の管理だけで回っていくことになります。
保険と修繕は「自分で備える」段階に入る
ローンを組んでいる間は、金融機関との関係のなかで火災保険に入っていた人が多いはずです。完済後も建物の備えとして保険は必要ですが、契約の管理は自分の手に戻ります。更新の時期や補償の中身を、自分で確かめる立場になったと考えておくとよいでしょう。
修繕も同じです。マンションなら管理費と修繕積立金の引き落としが続きます。一戸建ての場合は積立の仕組みがないぶん、屋根や外壁、水回りの設備更新に向けて自分で準備しておく必要があります。築年数が進むほど、まとまった出費が来る確率は上がります。
浮いた返済額を、そのまま生活費に溶かさない
完済後にいちばん起きやすいのが、返済に充てていた分をそのまま日々の支出に吸収してしまうことです。税金は毎年、修繕は数年から十数年おきに、まとまった形でやってきます。返済がなくなった月に、その一部を家にかかる費用の置き場としてよけておきましょう。この一手間が、10年後の慌てを防いでくれます。


